・お金持ちになるために、必要なことが知りたいです
成功するため、豊かになるため、もっとストレートに言えばお金持ちになるために、とても重要だと言われている要素の一つが「自制心」です。
「え?頭の良さとか、ビジネスセンスとかじゃないの?」
と思うかも知れませんが、そういう物を発揮するためにも、自制心は必須のものなんです。
一応、「自制心」の辞書の上での意味は、以下のようになっています。
でも、今回伝えたいのは、「感情に流されないで生きましょう」というようなフワッとした話ではありません。
貧乏な人がお金持ちになるためには、何を自制すればいいのか、そして、それがどんな風に「お金を手に入れる」ことにつながるのかということを、心理学の実験をベースに書いていきたいと思います。
ご注意
このページで言うところの「貧乏な人」というのは、単に「お金持ちではない人」という意味です。
管理者である僕のような「お金持ちでない」人間が、どうすれば資産家や億万長者と呼ばれる人たちに近づけるか、というのが、この記事の趣旨です。
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目次
なぜお金持ちになるためには自制心が必要なのか?
なぜ、貧乏な人がお金持ちになるために自制心が必要なのかと言うと、それは「今はガマンする代わりに、後で得になる」という選択をするためです。
例えば、会社勤めをしていて給料が入ると、次の給料日までに使い切ってしまう人の事を考えてみて下さい。
ちなみにお金の使い道は、飲み代や洋服代、ギャンブルやタバコ、スマホのパケット代などです。
こういうタイプの人は、目先の楽しみや快楽を優先するので、手に入れたお金で「将来のために何かをする」ということができず、結果として貧乏なままです。
逆に自制心がある人は、できるだけお金を残しておいて、それを勉強や投資などに使ったりできるので、お金持ちになれるチャンスが広がります。
世界のお金持ちランキングを見ると、必ずと言っていいほどベスト3くらいに入っている投資家のウォーレン・バフェット氏が最初に株式に投資したのは、なんと彼が11歳の時だったそうです。
普通の小学生なら、ある程度まとまったお金を手にした途端に、ゲームとかトレーディングみたいなおもちゃに散財してしまいそうですよね。
しかし、バフェット氏の場合は、子どもの頃から目先の楽しみよりも、未来への投資を選択していたわけです。
貧乏からお金持ちを目指すなら「時間割引率」に注目
人間の行動と、その結果として得られるもの(報酬)の価値の関係について、大阪大学の田中准教授は「時間割引率」という言葉を使って解説しています。
参考:特集「よみとく」(大阪大学HPより)
人間は、将来の報酬よりも「すぐに」もらえる報酬の価値を大きく感じる性質があり、たとえ待つことを我慢すれば報酬が増える場合でも、人によっては目先の報酬を選んでしまうことがあります。
例えば、「今すぐ1万円もらえる」と「1年後に2万円もらえる」という事を同じように考える人の場合、時間割引率は50%ということになるでしょう。
「今もらえるなら、金額は1年後の半分でもいい」。
これを数字にすると、割引率が50%になるということです。
こういう人は「すぐもらえないと嫌だ!」という低い自制心をベースに行動するので、貧乏なまま「とにかく目先のものを手に入れて満足する」ことを繰り返します。
逆に、「1万円が1万1000円になるなら、1年間待ってもいい」という人の場合、時間割引率はだいたい9%くらいです。
こういう自制心のある人は、利益のためならじっくり待つことができるので、結果的にお金持ちに近づいていくことができるというわけです。
マシュマロを我慢すると成功できる?自制心と将来性の話
自制心と報酬に関係する話の中に「マシュマロ実験」という、とても興味深い心理学の実験のエピソードがあります。
これは、アメリカのスタンフォード大学で1970年から行われたもので、実験には4歳の子ども186人が参加しました。
内容としては、
- 何もない部屋に机と椅子だけを起き、机の上の皿にはマシュマロを1つ乗せる
- 子どもはその部屋に通されて、椅子に座らされる
- 実験者は子どもに、次の言葉をかけて部屋を出る
「私はちょっと用がある。それはキミにあげるけど、私が戻ってくるまで15分の間食べるのを我慢してたら、マシュマロをもうひとつあげる。私がいない間にそれを食べたら、ふたつ目はなしだよ」
結果として、3分の1にあたる子どもが15分間の我慢に成功して、2個のマシュマロを手に入れたそうです。
そして、1988年に追跡調査では、15分間我慢して2個目のマシュマロを手にできた子ども(だった人)たちの成績が、すぐにマシュマロを食べてしまった人たちよりも高いということが分かりました。
この実験から、幼児期の自制心の強さが将来性に大きな影響を与えるという結論になったわけです。
参考:、マシュマロ実験(Wikipediaより)
この実験の結果だけを見ると、人の将来性は幼児の段階で既に決まってしまっているような印象があるでしょう。
レベルの高い学校を卒業した人のほうが、そうでない人よりも年収レベルが高いですから「貧乏かお金持ちか」という部分についても、子どもの頃にある程度決まってしまうのではないか、という考えも成り立ちそうです。
しかし・・・
ごく最近になって、この考え方を大きく変える、新しい実験結果が発表されました。
2018年になってから、ニューヨーク大学で行われた再現実験の中で、最初に行われたマシュマロ実験とは違う結果が得られたという話が出てきたんです。
この実験では被験者の数を900人に増やし、人種や親の学歴などについても、最初の実験よりも偏りが出ないように工夫して調査が行われました。
その結果、実験の中で「マシュマロをすぐに食べることを我慢できたかどうか」が将来に与える影響は限定的で、重要なのは親の学歴や経済力というような部分であるという事が分かったそうです。
つまり、子どもの頃の性格よりも、その後に育っていく環境のほうが、将来の能力に与える影響は大きかったということになります。
この理由については、家が貧乏だったり、家庭環境が不安定な中で育った子どもは、楽しいことを我慢して先延ばしにしても、「その約束が守られない」という経験をするためではないか、と考えられているようです。
「先のことなんてどうなるか分からないから、手に入りそうなものは今手に入れておくべき」と考えるようになっていくという事なんでしょう。
※参考:2018年の再現実験に関する記事(英語サイト)
親が貧乏なら子どもも貧乏?
再現実験の結果だけを見ると、貧乏な家に生まれた子どもは大人になっても貧乏になりやすく、逆にお金持ちの家に生まれたら、将来もお金持ちになりやすいということになるでしょう。
そう考えると、
「親が貧乏なら人生終了ってこと?」
という悲惨な結論にたどり着きそうですが、僕はむしろ最初の実験よりも、再現実験のほうが「希望のある結果」になったと思っています。
なぜなら、生まれつきの性格や、自分ではコントロールすることができない幼児の頃の環境よりも、その後に経験する後天的なことの方が、人生に与える影響が大きいと考えられるからです。
人間というのは、生まれながらにしてひどく不平等なものです。
経済的な麺だけでなく、外見も知能も頭の良さも、運動能力も手先の器用さも、人によって驚くほどの差があります。
得意なことと不得意なことの数が決まっているならまだしも、人によっては複数の能力が飛び抜けていたり、逆に何もかもが平均以下だったりすることもあるでしょう。
だから、スタートラインが違うのは、歴然たる事実だと思います。
それでも、将来性が後天的なもの、つまり自分で変えられるものの影響のほうが大きいなら、最初はハンデを背負っていたとしても、努力次第で条件に恵まれた人たちとの差を詰めることができるはずです。
使えるお金の違いを計算してみた
最後に、手に入れたお金をそのまま使った場合と、そのお金を投資に回して運用した場合に、どれくらいの差が出るかということを計算してみました。
仮に毎年100万円ずつ貯金して、それを年に4%の利率で運用した場合と、投資などをしないでそのまま使った場合のトータルの金額の差は、下のグラフのようになります。
計画的に運用した人と、そのままお金を使ってしまった人では、20年くらいの時点で約1000万円、30年の時点で2000万円ほどの差が付いています。
この図は税金によって目減りする分などについては考慮していませんが、早い段階で自分への投資を行って年収を増やしたり、さらに副業をしたりすれば、グラフ上のオレンジの線よりもさらに急激にお金を増やすことは十分可能でしょう。
しばらく前に、金融庁が「老後に十分な生活資金を確保するには、夫婦で2000万円程度必要」という数字を出して「そんなの無理だ!」と激怒する人が続出し、このことがSNSなどでも大きな話題になりました。
しかし、少なくとも最低限の金融の知識と、計画的にお金を運用する自制心さえあれば、2000万円というのは決して無理な数字ではないと言えるのではないでしょうか。
もちろん今の年金制度には大きな問題がありますし、政府はもっとちゃんと責任を果たすべきだとは思いますけどね。
今回のまとめ
最後に、今回のまとめです。
ポイント
- お金持ちになるためには、自制心が必要
- 自制心があると「後で得する」選択ができる
- 「時間割引率」が高いと貧乏から抜け出せない
- 自制心の強さは、育つ環境に影響を受ける
- 将来に投資すると、時間とともに利益は増大する