・これからの時代、AIが翻訳してくれるんじゃないの?
・この歳から英語を勉強しても遅いですよね?
今回は、英語を勉強しようかどうか迷っている人に向けての話です。
特に日本人の場合は、母語(日本語)と英語の間に共通点がほぼないので、ある程度の英語力を身に着けようと思ったら、かなりの時間を勉強に費やす必要があります。
例えば、ほとんど英語の勉強をしたことがないという人が、TOEICで900点以上のスコアを取ろうとした場合、大体2000時間近くかかると思います。
参考:オックスフォード大学の資料(英語PDF)
普通に考えれば、最低でも数年はかかるわけですから、一生懸命勉強している間にAIによる自動翻訳がどんどん発達して、
「他のことをやればよかった・・・」
なんて後悔したくない、と思うのも当然のことです。
また、大人になってから勉強しても「もともと英語を武器にしているような人には敵わない」とか「身に付くかどうかが心配」という人もいるでしょう。
その点を踏まえた上で、一人の英語学習者という立場から、AIや自動翻訳が発達しつつあるこの時代に「英語を学ぶ意味」について書きたいと思います
ちなみに僕の場合は、30代になってから英語の勉強を始めました。
何らかの目標があったほうがいいと思ってTOEICのAクラス(860点以上)を目指していましたが、それを達成するまでに、大体1年ちょっとかかっています。
今でも決して「英語ペラペラ」ではありませんが、一応周りの人からは「英語を話せる人」という区分に入れてもらえているようです。
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目次
AI翻訳の存在は無視してOK
いきなり乱暴なことを言うようですが、英語を勉強する上で、翻訳アプリやAIの発達によって「勉強したことが無駄になるのでは?」という心配をする必要は全くないと考えています。
その理由は、いくら自動翻訳やコンピューターの技術の発達が速いとはいえ、それが人間の言語能力と同等以上になるには、まだまだ時間がかかると思うからです。
一応、現時点でも「ある程度」使える自動翻訳は存在していますが、複雑な会話や特殊な言い回しを処理できるようにはなっていません。
人の話す言葉というのは、コンピューターが処理するプログラム言語などと違って、文化的な背景や状況によって単語の意味が変わったり、表情や仕草によっても解釈が変わったりすることがあります。
例えば「よろしく」という言葉はただの挨拶ですが、
「昨日は彼女と俺の部屋で"よろしく"やってたんだけど・・・」
と言ったら、全く意味が変わってきます。(詳しくは書きませんが)。
また、
「この間運転してる時に、暑くてホヘーンってなってたら、前の車にドッツンしちゃってさあ・・・」
なんて書いても、日本人同士であれば(たぶん)何となく意味は伝わると思います。
この場合の「ホヘーン」や「ドッツン」は何語でもなく、辞書で調べてもネット検索しても意味が通る表現は見つかりませんが、音の響きから考えて、それが擬音語だということや、どんな状況を表しているかということは大体想像できるでしょう。
これは僕たち人間が、文化的背景や共感覚(音や色から受ける共通した印象のこと)のようなものをベースに言葉を使っているからです。
さらに、自動翻訳が完全に人間に置き換わるためには、相手の身振り手振りや表情まで細かく認識し、それを言葉で表現する必要もあります。
つまり、機械的に翻訳するだけでなく、人間としての「感覚」まで再現する必要があるということです。
とはいえ、将来的にはそういうものもAIに組み込まれるようになるでしょう。
人間の脳だって、基本的には電気で動いている回路みたいなものですから、それが本当の電子回路に置きわるのは「時間の問題」だと思います。
翻訳や通訳が完全に機械に置き換わるまでの時間が、あと30年あるのか、それとも10年なのか、5年なのかは分かりません。
ただ、それについては考える必要はないと思います。
なぜかというと、もしAIが人間の思考を完全に再現できるようになれば、英語どころか何を勉強しても無駄だからです。
自動翻訳が人間の言葉を完全に理解して、相手の感情や文化的な背景、やの場の状況なども考慮した話し方ができるようになれば、もう人間の出る幕はありません。
中国語を勉強しようと、プログラミングやデザインの勉強をしようと、人間の処理能力はコンピューターの足元にも及ばないので、やるなら本人が楽しむための「趣味として」ということになるでしょう。
つまり「英語の勉強をしても、AIが発達してしまえば無駄になるのでは?」ということについては、心配しても意味がないということです。
英語に興味があるならおすすめ
AI脅威論の心配がなくなったところで、次の話に移りましょう。
英語を勉強するかどうかについて迷っている人の中には「将来のために何らかのスキルを身に着けたい。」と考えていて、その選択肢の一つが英語である、という人もいると思います。
もしそういう人に「英語を勉強すべきかどうか」と聞かれたとしたら、僕はこう答えるでしょう。
英語に興味があるなら、やる価値は十分にあると思います。
まず、英語に限らず、何かを勉強するのなら、できるだけ興味のあること、好きなことのほうが圧倒的に続きやすいはずです。
そして、英語というのは日本人にとって、最も学習環境が整っている分野の一つです。
図書館に行けば、山程のテキストや参考書が読めますし、ネット検索しても英語の学習法がいくらでも見つかりますし、マンツーマンのレッスンですら1回数百円くらいで受けられたりします。
なので、その気になれば、ほぼお金をかけなくても、海外留学した人と同等以上の英語力を付けることは可能です。
しかも、語学力というのは、実用性のあるスキルでもあります。
英検やTOEICなどで一定のスコアを取れるようになれば、就職や転職にも役立ちますし、たとえ目に見えた実績のようなものがなくても、英語力が上がれば映画などを英語で楽しんだり、ネット検索で日本語では見つけられない情報を発見したりできるようになります。
海外旅行などで役に立つということは、今さら言うまでもないでしょう。
ただし、英語を勉強するのなら、目的をはっきりさせておいた方がいいと思います。
ペーパーテスト対策の英語だけを一生懸命勉強しても会話力は上がっていきませんし、逆に会話レッスンばかりやっていても、文章を読む力はあまり上がりません。
僕の周りでも、全く関係ない英語教材や会話レッスンばかりやっていて「TOEICのスコアが上がらない・・・」と挫折した人が何人かいますが、目的と手段が合っていないとそういうことになりがちです。
勉強を継続していく上で、一番モチベーションにつながるのは、何と言っても「努力の成果を実感する」ことですから、「どんなスキルを伸ばしたいのか?」ということは常に意識しておきましょう。
それと、聞き流し系の英語教材を買うのは絶対にやめがほうがいいです。
僕は自分自身でもその手の教材を試したことがありますし、周りの人にもやってもらったことがありますが、完全にお金の無駄です。
聞き流し系の英語教材は、最初のうちこそ「分かるようになる気がする」んですが、すぐに学習効果は頭打ちになって、そこからはただの「雑音」にしかなりません。
もし試してみたいのなら、お金を払って教材を購入するのではなく、YouTubeなどで無料配信されている、聞き流し英語のチャンネルを利用するのがいいでしょう。
「英語をやらない」という選択肢もあり
逆に、英語にもともと苦手意識があったり、興味がないという場合には、英語を勉強しないという選択肢もアリだと思います。
英語を話せるということは一つの長所ですが、数十年前ならともかく、今ではそれほど「希少性のあるスキル」ではありません。
言い換えるなら、英語を話せる人は珍しくないので、それだけでは武器にはなりにくい、ということです。
なので、他に得意な分野や興味のあることがあるなら、そっちのスキルを磨いて、英語は他の人に任せたほうがビジネスとしては効率的です。
「人生がときめく片づけの魔法」の著者である「こんまり」こと近藤麻理恵さんも、今はアメリカをメインに活動していますが、アメリカ人のクライアントと仕事をする時は、必ず通訳の人の力を借りているようです。
もちろん彼女もある程度は英語を話せると思いますが、彼女自身はあくまでも「掃除の専門家」として、言葉に関しては「言葉の専門家」に任せたほうが、良い仕事ができると判断しているんだと思います。
また、現時点では「特に専門分野がない」という人の場合も、手っ取り早く副業のためのスキルを身に着けたいのであれば、英語学習は少し「遠回り」になるでしょう。
その人がもともと持っている適性や過去の経験にもよりますが、普通の人が英語を武器にして仕事をできるようになるでには、最低でも数年の時間がかかると思います。
それに対して、プログラミングやライティングなどの分野なら、勉強を始めてから数ヶ月から半年程度で副業として成り立つこともあります。
必ずしも、
「身につけるために時間がかかるスキル=お金を稼げるスキル」
というわけではないので、仕事として何かを身につけるのであれば、「今はどんな仕事が求められているのか?」という部分を見極めることが大切です。
英語の勉強をおすすめしたいのはこんな人
ここまでの話を踏まえた上で「こんな人にはぜひ英語の勉強をおすすめしたい」というケースについて書いておきます。
ブログやサイト、動画サイトやSNSなどで情報発信する人
ネット上で情報発信をしていくのであれば、英語はかなり強力な武器になります。
これは単純に、日本語しかできない人よりも、色々な情報を早く得ることができるからです。
また、YouTubeなどで動画を公開する場合、簡単な字幕を付けるだけでも、海外の視聴者を増やしやすくなるでしょう。
日本語だけの場合と比較すると、単純に考えて数十倍の人を対象に情報を公開できるようになるわけですから、それだけでも非常に「オイシイ話」だと思います。
もちろんこの場合も、英語ができる人に翻訳を頼むことは可能ですが、自分でもある程度の英語ができた方が、スピードと費用の面で圧倒的に有利になります。
IT系の仕事や研究職に就職、転職を考えている人
IT系の仕事をする場合も、日本語しかできない人は、海外の情報を参考にすることができません。
技術情報などは英語版しか存在しないこともありますし、海外の技術者とコミュニケーションを取る上では、英語ができたほうが断然有利でしょう。
研究職の場合も、科学論文というのは英語が共通言語になっていますから、英語が全く読めない人を採用する会社というのは非常に少ないと思います。
今回のまとめ
最後に、今回のまとめです。
ポイント
- 英語を勉強する上で、AIや自動翻訳の存在は無視してOK
- 英語の勉強に向いているのは「英語に興味がある人」
- ビジネスが目的なら、あえて英語を捨てるのもアリ
- 情報発信者や研究職を目指すなら、英語は強力な武器になる