・会社で嫌な上司に振り回されなくなる方法を知りたい
こんな人に向けて、僕なりの考え方をまとめたいと思います。
僕は今では独立していますが、その前には10年以上サラリーマンをしていました。
そんな中で、嫌な上司にも何度か悩まされましたし、社内イジメや報復人事による解雇(クビ)なども経験しています。
上司との関係に問題が起こった時は、色々な対応策を考え、うまく立ち回ろうと努力していましたが、残念ながら解決できなかったことも多々あります。
また、独立してからは、法律事務所の人たちと提携して、会社での人間関係(主にパワハラやいじめなど)の相談を受ける仕事をしていました。
そういう立場から見ると、色々な所に書かれている「嫌な上司への対応法」はほとんどは机上の空論で、全く役に立たない事の方が多いと感じています。
というわけで、今回はそういう対応法をバッサリ切り捨てた上で、本当の意味で「嫌な上司に惑わされないためにはどうすべきか?」ということについて書いていきます。
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目次
「嫌な上司への対応法」が役に立たない理由
念の為言っておきますが、僕はこの記事で紹介する対応法が「絶対にダメ」というつもりはありません。
理屈としては正しいけれど、残念ながら現実には「役に立たないことが多い」という事を言いたいだけです。
というより、僕の経験から言うと、根本的な問題に目をつぶって小手先の方法で対処しようとすると、逆に苦しい時間が長引くだけだったり、さらに問題が悪化する場合もあるので要注意です。
役にたたない対応方法1
気にしないようにして受け流そう
これは要するに、
「嫌な上司の言葉には意味がないと考えて、気にせず受け流そう。」
というものですが、この方法は「その場しのぎ」にしかなりません。
会社の中で、その上司が大した権限を持っていなくて、無視しておいても問題が無いようなケースならともかく、ストレスや悩みのタネになっているようなら、いくら受け流しているつもりでも、少しずつダメージは蓄積されていきます。
ストレスに耐える事で、ストレスをうまく処理できるようになると考えている人もいるようですが、実際には人の脳はストレスを感じれば感じるほど弱くなるということが科学的に証明されているんです。
参考:ストレスと脳(東邦大学のwebサイトより)
真面目で向上心のある人は、精神修行のようなつもりで「気にしなければいいんだ。」「ポジティブに考えよう。」なんて思いがちですが、うつ病になってしまうのは大抵そういうタイプの人です。
心のバランスを崩したら少なくとも年単位、下手をすると数十年後を引く可能性もあるので、くれぐれも注意して下さい。
役にたたない対応方法2
自分の考えを変えて相手を理解しよう
これは、
「相手には相手の考え方があるから、自分の考えが正しいと思い込まずに、相手の考え方を認めるようにしてみよう。」
という話ですね。
確かに相手を理解することは大事かもしれませんが、これが通用するのは、問題が単に「見解の違い」「価値観の違い」に留まっている場合だけです。
考え方が違っていたとしても、お互いに「何とかうまくやって行きたい」という思いがあれば、相手を理解する努力も無駄にはならないでしょう。
ですが、一般的に嫌な上司というのは、好き嫌いだけで物事を判断したり、言うことがコロコロ変わったりするので、理解しようとした側のストレスが溜まるだけになることが多いです。
そして、これは他の対処法にも言えることですが、どんなに相手を尊重しようと思ったり理解しようとしても、相手に悪意がある場合は全てが無駄な努力に終わります。
役にたたない対応方法3
その会社を辞めて転職しよう
これは一つの選択肢にはなりますが、根本的な解決方法ではないということは覚えておくべきです。
なぜなら、たとえ転職したとしても、また嫌な上司に当たらないという保証はどこにもないからです。
厚生労働省の調査でも、約40%の人が「働く上でのストレスは職場での人間関係」と答えているくらいですから、単純に他の会社に転職したところで、またおかしな上司に悩まされる危険は十分にあると思います。
参考:平成24年労働者健康状況調査(厚生労働省資料)
そして実は、多くのwebサイトでは、この「転職」という選択肢に人を誘導するために、一見まともに見える「困った上司の扱い方」を掲載しているということも知っておくべきです。
なぜそういう事をするかというと、転職サイトに人を誘導すると、提携している会社から高額の報酬がもらえるからです。
そういうサイトの運営者にとって、嫌な上司との関係に悩んでいる訪問者が「問題を解決できるかどうか」ということは基本的にどうでもいいので、その点には十分に注意して情報を利用するようにして下さい。
役にたたない対応方法4
成果を出して出世し、上司を追い越そう
これは一見、前向きな考え方のように見えますが、実現できることはほとんどないと思います。
大抵の場合、部下の能力を評価するのはその嫌な上司の仕事ですし、そういう人が上司として人の上に立っているような場合、そもそもその会社にはまともな評価制度がないからです。
実力がちゃんと評価されない環境で頑張っても、時間と労力の無駄ということです。
上司が何を言おうと、個人の営業成績などの数字が評価されるような職場なら話は別ですが、嫌な上司の判断が人事に影響するような会社なら、まず見込みはないでしょう。
役にたたない対応方法5
対立しないようにして、関係悪化を避けよう
これも、大抵の場合は解決策になりません。
いわゆる嫌な上司は「強いものには弱く、弱いものには強い」という事が多いので、反論や反抗をしない人はパワハラのターゲットになり続けることがよくあります。
これは、いじめっ子といじめられっ子の関係と同じですね。
正面を切って反抗すれば改善できるとは言いませんが、被害者が一方的にやられ続けるというのが、社内イジメやパワハラの典型的なパターンです。
繰り返しになりますが、相手に歩み寄って問題が解決するのは、両方にその意志がある場合だけです。
役にたたない対応方法6
さらに上の上司に相談しよう
これは嫌な上司の行動に対して、さらに上の上司に「何とかして下さい。」と相談するというものです。
これは基本的には正しい対応方法だと言われていますが、実は逆に問題がこじれるというケースもけっこうあります。
大企業のようにコンプライアンス窓口(会社の中で起きた問題を、規則や法律に従って解決する部所)があるような場合ならまだマシですが、そうでない場合は要注意です。
例えば、嫌な上司に対して「別の上司に相談した」という情報が漏れて、パワハラやいじめが激化するというようなことが起こったりするわけです。(法律相談でも、比較的よくある種類のトラブルです)、
僕の場合、直属の上司が社内の問題をもみ消そうとしていた時に、更に上の上司に相談したところ、その情報が漏れてめでたくクビになりました(苦笑)。
「嫌な上司」に悩まされない根本的な解決策
では、嫌な上司に悩まされている場合、一体どうすればいいんでしょうか?
僕は、根本的な解決策は2つしかないと考えています。
「上司を選べる」レベルのスキルを身につける
嫌な上司に高く評価してもらえなくても、個人の努力で専門知識や技能を身につけることは可能です。
一見、上に書いた「役に立たない対応策」の「成果を出して出世し、上司を追い越そう」に似ているように見えるかも知れませんが、これは会社に評価してもらおうとするのではなく、自分のスキルを上げることにだけ集中するという考え方です。
例えば、英語やIT関係のスキルを磨いたり、難易度が高めの資格を取ったりするという事ですね。
それで確実に嫌な上司に当たらないという保証はありませんが、よりレベルの高い会社に転職するという選択肢が生まれる分だけ、リスクは軽減できます。
逆にアピールするスキルが何もないと、働ける場所はとにかく「雇ってもらえる会社」ということになり、自分の意思で会社を選ぶことが難しくなります。
会社に頼らずに生きていけるようにする
もう一つの選択肢は、会社への依存を減らすことです。
たとえ会社をやめなくても、「イザとなったらやめられる」という自由があれば、精神的にはかなり楽になります。
僕の場合はこっちを選択したので、会社の仕事は「及第点」、つまり怒られない程度に一通りこなしたら、後はさっさと帰宅して副業に時間と労力をつぎ込んでいました。
これについては批判もあるとは思いますが、会社に一生懸命尽くして嫌な上司のせいでうつ病になったとしても、誰かが責任を取ってくれるということはありません。
結局のところ、最後に自分の身を守れるのは自分だけですから「会社に評価されなければ終わり」という生き方はすべきでないと思うわけです。
今回のまとめ
それでは、今回のまとめです。
ポイント
- 嫌な上司に対しての「対応策」はほとんど役に立たない
- 根本的な対策は、特定の会社や上司の評価に依存せずに生きられるようになること