・給料のためだけじゃなく、もっと楽しい仕事がしたい
・やりがいを求めて転職した方がいいのかな?
今回は、この様な悩みにズバリ回答していきたいと思います。
ちなみに僕は、webサイト運営という自分のやりたい仕事で独立するまでに、会社の倒産や解雇などで5回ほど転職をしています。
また、過去に7年くらいの間、労働問題に関連する仕事をしながら転職、退職を考えている人の相談にも乗ってきたので、その体験も踏まえて情報をまとめてみました。
この記事を読んでもらえれば、少なくとも会社を辞めた後に、「あの時仕事を辞めたのは失敗だった!」「もっとちゃんと考えていれば・・・」という事にはならないと思います。
理由に関わらず会社をやめることを「退職」その中での分類として、自分の意思で会社を辞めることを「辞職」と言いますが、このページでは広く使われている表現として「退職」に統一して記載しています。
この記事についてご質問・ご意見がある場合は、記事の下部にあるコメント欄からご連絡ください。原則として24時間以内に回答を掲載させていただきます。
目次
すぐに会社を辞めるべきではない2つの理由
最初に言っておきますが、僕は基本的に仕事をする上で「やりがい」はとても重要だと思っています。
世の中には「仕事にやりがいなんていらない!」「会社での業務にやりがいなんて求めるな!」なんて言う人もいますが、そんな退屈な人生はまっぴら御免です。
フルタイムで働いていれば1日の3分の一、活動時間のほとんどを仕事に使うわけですから、それを充実したものにしたければ、一定のやりがいは絶対に必要でしょう。
しかし、それでも敢えて言います。
今の仕事にやりがいがない、もっと他に自分に向いている会社、好きになれる仕事があるんじゃないか、という理由で会社を辞めるべきではありません。
なぜ、そう断言するのかについて詳しく説明します。
仕事をやめても「やりがいのある仕事」は見つからない
まず、最初に知っておいてほしいのが、明確な目的が無い人が「とりあえず」会社を辞めて転職しようと考えても、やりがいのある仕事に出会える見込みはほとんどないという事実です。
その理由は、主に2つあります。
理由1:時間的・経済的に追い詰められるから
会社を辞めて今の環境から離れる事ができれば「一息ついて」ゆっくり次の展開を考えられると思う人も多いですが、現実にはなかなかそうは行きません。
退職することで自由を手に入れたように感じても、それはほんの一瞬の間だけのことです。
相当な資産家でもない限り、働かなければ手持ちのお金はジリジリと減っていきますし、そうすれば気持ちの上でも「早く次の仕事を見つけないとヤバイ!」と追い詰められてきます。
また、世の中には今だに「社会人=外に出て働くのが当たり前」という常識(のようなもの)がありますから、次の仕事に就くまでの時間が長くなれば、それだけ周りの風当たりも強くなってくるでしょう。
実際に僕が相談に乗ってきた人たちの中にも、就職活動や資格取得のための勉強を一生懸命やっているにも関わらず、
「いつになったら次の会社見つかるの?」
「いい大人が、一日中家にいるなんて・・・」
などと家族に言われて、人間関係が悪化したという人が結構いました。
もちろん、転職先での仕事が今よりも楽しいという可能性だってあるにはありますが、それに期待するのならまずすべき事は「転職の候補になる会社の下調べ」であって「退職」ではありません。
これまた世間の常識(のようなもの)の話になりますが、日本では転職の回数はその人のキャリアの中でマイナスと判断されることの方が多いです。
大手転職サイト「リクナビNEXT」の調査によると、だいたい転職の回数が3回くらいになると採用担当者は「転職回数が気になる」と感じるようです。
「今よりはマシだろう」という根拠だけで転職して失敗し、また別の会社に移ったとしたら、もうその時点で2回の転職。
一気にツーアウトまで追い詰められるわけですから、そういう社会の中で「とりあえず辞めて・・・」という考え方はあまり賢明ではないと思います。
理由2:やりたい事探しに最も必要なのは「経験」だから
今の会社を辞めて「他にやりたい仕事を探す」という人もいますが、これもあまり良い方法とは言えません。
将来やりたい事が見つからない時に「貯金」をすべき3つの理由にも書いたように、やりたい仕事というのは、考えて見つけるというよりは、経験の中から見つかることの方が一般的だからです。
そもそも雇われ仕事というのは「お金を払わなきゃやってもらえない」仕事であることがほとんどです。
求人雑誌を開いてみたり転職サイトで検索してみたところで、そうそうやりたいと思える仕事が見つかるものではありません。
普通、多くの人が「やってみたい」というような仕事は、ある程度の専門知識や実績を持っている人にしか与えられないものです。
仕事を辞めるべきなのはどんな時?
それでは逆に、どんな場合なら会社を辞めるべきなのかと言うと、それは次の2つのケースです。
職場環境が自分に害を及ぼすとき
僕たちはたとえ雇われている立場だったとしても、それは生きるために働いているだけであって、働くために生きているわけではありません。
だから、自分の身を守る必要があったり、その会社にいても自分の将来にとってマイナスにしかならないと思ったら、その時はすぐにでも退職していいと思います。
具体的に例を挙げるとしたら、以下のような場合がそれに該当します。
- 会社が安全に配慮せず、危険な仕事をさせられている
- 長時間のサービス残業を強いられている
- 申告やイジメやパワハラで追い詰められている
「我慢して続けることが大事」という人もいますが、我慢に意味があるのはそれが将来にとってプラスになる場合だけです。
例えば、
「営業のノルマがキツイけど、仕事だから一生懸命頑張ろう!」
という風に努力すれば、それは仕事の能力をアップさせるために大きな意味があるでしょう。
でも、いくらサービス残業や上司の暴言に耐えたところで、その人の能力が上がることはありません。
我慢の結果、それが自分の心や体を痛めつけるだけのものなら、それはタバコを体に押し付けて我慢する「根性焼き」と同じで、単なる自己満足の世界です。
脳に関する研究でも、ストレスにさらされ続けると、人は強くなるどころか、逆に弱くなることが分かっています。
参照:ストレスと脳(東邦大学のwebサイトより)
他に明確な「やりたい事」があるとき
また、今の仕事を辞めて次に挑戦したいことがあったり、就職したい会社がある場合には、退職・転職を考えてもいいと思います。
例えば、製造業の会社に就職して工場で機械の部品を作っていた人が「旅行業界で働きたい!」と思ったら、転職する以外にそれを叶える方法は無いですからね。
ただしその場合も、いざ会社を辞める前に十分な情報収集をしたり、転職サイトなどを利用して希望の会社に応募するなど、事前の準備は必須です。
「とりあえず」会社を辞めてはみたものの、希望の職種ではまったく採用されなかった・・・なんて事になったら、それこそまた不本意な就職をすることになりかねないからです。
また、転職のために勉強をしたり、資格を取ったりしなければならない場合にも、生活費の計算や、家族との話し合いを十分にしておきましょう。
転職までの期間が長引いた場合に備えて、予め派遣労働やアルバイトなどで「日銭を稼ぐ」方法についても考えておくと、いざというときに焦らなくて済むと思います。
今回のまとめ
それでは、最後に今回のまとめです。
ポイント
- 「仕事にやりがいがない」というだけで会社を辞めるのは危険
- 退職するのは緊急の場合を除いて、次のステップの準備ができてから
転職というのは、言ってみれば船を港から出港させて、別の港に移動するようなものです。
行き先は決まっていないけど「とりあえず」出港させて海の上で遭難しないように、しっかりとプランを立ててから動くようにしてください。