・仕事にすると好きなことも嫌いになりそうで不安
・好きなことが仕事として成り立つかどうか分からない
こんな悩みを持つ人のために、いくつかの判断基準を紹介していきましょう。
好きなことを仕事としてやるべきかどうか?
これには絶対的な答えが存在するわけではなく、どんな生き方を望んでいるかによって変わってくると言えます。
そこで、僕自身が脱サラして自分の好きなことを仕事にしているという経験と、色々な起業家・会社のビジネスの展開を見てきたことをベースに、4つの判断基準を設定してみました。
この記事にある4つのポイントをチェックすれば、好きなことを「仕事」にすべきどうかを見極めるための判断材料になるでしょう。
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経済的成功を望んでいるか
もしも将来的に何かしらのビジネスで大成功したい、大きなお金を稼いでみたいと思うのなら、できれば大好きなことを仕事にしたほうがいいと思います。
理由はごくごくシンプルで、好きなことを仕事にした方が、少なくとも嫌いな(あるいは興味のない)分野で働いたほうが頑張れるからです。
なんとなく想像がつくとは思いますが、仕事をする上では、全てが順調にいくことはまずありません。
一生懸命やっても望み通りの売上が立たなかったり、時間的・経済的に追い詰められることも出てくるでしょう。
場合によってはその仕事をあきらめて、別の仕事をしなければならない事だってあります。
でも、安定重視で仕事を選んだとしても、それで本当に安定した未来が手に入るかどうかは誰にも分かりません。
これについて、数々の映画に主演した売れっ子コメディアンのジム・キャリー氏がとても印象深いスピーチをしていました。
-マハリシ経営大学でのスピーチより抜粋-
My father could have been a great comedian but he didn't believe that that was possible for him.
And so, he made a conservative choice instead.
He got a safe job as an accountant and when I was 12 years old, he was let go from that safe job. And our family had to do whatever we could to service.
I learned many great lessons from my father not the least of which was that you can fail at what you don't want so you might as well take a chance on doing what you love.-訳文-
僕の父は偉大なコメディアンになれる可能性があったけど、彼はそんな事は無理だと思っていた。
で、父は保守的な選択をして、安定した仕事として会計士になったんだけど、僕が12歳の時にその安定した仕事をクビになったんだ。
そして、僕の家族は生活のためにありとあらゆることをしなければならなかったんだ。
僕は父から大切なことを学んだんだ。
やりたくないことをやったって失敗するかも知れないんだから、大好きなことをやってチャンスを掴んだほうが良いってね。
※引用文の話は11:21くらいから
現実的に考えれば、両方に失敗の可能性があるとは言っても、個人のビジネスと大企業の社員とではリスクの度合いが違うでしょう。
だから、好きなことはあくまで趣味として楽しんで、生活のための仕事は徹底的に安定重視!という選択だって、全然アリだとは思います。
でも、もしも経済的に大きく成功したり、大好きな事を四六時中やり続けたいと思っているなら、多少の辛いことがあっても耐えられるくらい好きなことをやったほうがいいんじゃないでしょうか。
つまり、リスクを取ってでも理想の人生を目指したいと思っているかどうか。
これが第一の判断基準になると思います。
外的モチベーションに依存していないか
好きなことをやる動機(モチベーション)には、大きく分けて2つのものが存在します。
一つは内的モチベーションといって、これは自分の中にある「もっと知りたい」とか「自分で立てた目標を達成したい」というような気持ちから湧いてくる動機です。
逆に外的モチベーションというのはその反対で、周りから褒めてもらえるからとか、報酬が与えられるからというような外の要因によって引き起こされます。
参考:The Power of Positive Internal Motivation(英語サイト)
一見すると内的モチベーションの方が健全で、外的モチベーションはただの「見栄っ張り」とか「欲張り」みたいに感じるかも知れませんが、大切なのはこの両者のバランスで、どちらかが良くてどちらかが悪いというものではありません。
一生懸命頑張っていたら他人にも評価してほしいのは当然ですし、仕事で実績を残しても、それが全く報酬に反映されなかったら、不満に思うのは当然ですよね。
でも、やりたいことのバランスが外的モチベーションに偏りすぎていると、好きでやっているつもりのことが逆に自分の首を締めることになりかねません。
例えばYouTubeやブログなどで、自分のキャラクターを売りにして情報発信している人が増えてきましたが、人気が出てファンが増えると、外的モチベーションが悩みのタネになる事も多いようです。
最初は自分の「好きなこと」をそのまま配信しているだけなので何の問題も無いのですが、周囲の期待が大きくなると、「どうやったらその期待に答えられるか」という事に囚われるようになり、それがストレスになってくるということです。
好きなことを仕事にするなら、その仕事とは長く付き合うことになるわけですから、その好きなことをする動機が外的モチベーションに偏りすぎていないかどうか、また、将来的にそうなる危険が無いかどうかについてもよく考えておいたほうが良いでしょう。
成長が見込める分野かどうか
これは、仕事にどれくらいの利益を期待するかということにもよりますが、ビジネスとして大きな利益を狙うのであれば、「その時代に合っているかどうか?」もっと言えば「将来的に成長が見込めるか?」という点も判断のポイントになります。
ここで、時代の流れとビジネスについての対照的な事例を一つ紹介しておきましょう。
2001年から2004年頃に、日本テレビ系で「マネーの虎」という深夜番組が放送されていました。
この番組は、資金のない一般人が、
「私はこういうビジネスをやりたいので、◯◯万円出資して下さい!」
というプレゼンをして、審査員である企業の社長さん達が納得すれば出資、ダメならそのまま退場・・・という流れのバラエティーショーのようなものです。
そんな候補者の中に居たのが、やたらと黒く日焼けした一人の男性。
その人のプレゼンは「日焼けすることが大好きで、日焼けサロンを起点にした日焼けビジネスを展開したい!」という内容。
当時は、それまで流行っていたガングロファッション(日焼けした肌に派手はメイクをするもの)が既に下火になってきていて、多くの社長は「日焼けビジネスの見通しは暗いのでは?」と批判的でしたが・・・
「むしろライバルが減って好都合かも。」と判断した投資家から資金を獲得することに成功し、彼は無事開業にこぎ着けたんです。
また別の階には、内気そうな印象の男性が現れて、
「水道やカギのトラブルと同じように、パソコンに起きた問題を出張サービスで解決する事業を始めたい。」
とアピールしました。
当時はまだ「Windows XP」が発売された直後くらいで、パソコンはどんどん普及してきてはいたものの「パソコンのトラブル対応」というビジネスはあまり一般的では無かったと思います。
その候補者のプレゼンはそれほど上手ではありませんでしたが、「将来性のある事業だ。」と判断した社長さんがいて、何とか資金調達に成功しました。
さて、その二人の候補者は、今どうなっていると思いますか?
日焼けサロンを開業した男性は、しばらくは経営が苦しいながらも何とかお店を続けていましたが、その後に閉店してしまったそうです。
本人の所在は不明で、投資されたお金も返済されていないんだとか・・・。
一方で、パソコンのトラブル対応サービスを開業した男性は、首都圏を中心に複数の店舗を開業し、今でも「パソコン救急バスターズ」というサービスを運営しています。
ニッチを見つけられるかどうか
今はビジネスにインターネットを使うのが当然の時代で、逆にインターネット上で一定の地位を獲得しないと、なかなか利益が確保しにくい状態にあります。
既に大きなお金が動きやすい分野では競争が激化しているので、後から商売を始めた人が経営を成り立たせるのはなかなか大変です。
例えば、金融や不動産などの分野で、趣味で株をやっているような素人投資家が「投資のブログでアフィリエイトをやろう。」と考えても、相当厳しい戦いを強いられると思います。
「インターネットではなくて実店舗で勝負!」という手もありますが、今は大企業が大きなお店を建てて物を売ろうとしても「家に帰ってamazonで買います。」なんて言われてしまう時代ですから、リアル店舗でもインターネットの世界の状況は無視できません。
だから、好きなことを商売として成り立たせるためには、まだ強力なライバルが少ないニッチな分野を見つけたり、今までにない切り口で勝負していくというような工夫が必要になります。
好きな事の内容が、既に激戦区になっている分野で、さらに企画力で勝負するのも難しいような場合は、方向転換を考えたほうが得策かもしれません。
今回のまとめ
最後に、もう一度今回紹介した判断基準をまとめておきます。
ポイント
- (リスクを取ってでも)経済的成功を望んでいるか
- 外的モチベーションに依存していないか(他人の評価に依存し過ぎていないか)
- 成長が見込める分野かどうか(時代に合っているか)
- ニッチを見つけられるかどうか(ライバルとカブりすぎないか)