・スピリチュアルカウンセラーのアドバイスを信じていいでしょうか?
こんな風に、いわゆるスピリチュアル系の考えに基づいた自己啓発や、カウンセリングなどを参考にしている人、それに加えて、逆に疑問を持っている人に伝えておきたいことを書きます。
一応最初に言っておきますが、僕は別にスピリチュアル系の話の全てが胡散臭いと思っているわけではありません。
ただ、色々な本やwebサイトを見ていると、根拠がはっきりしない、非常に胡散臭いと感じるものが多いのも事実です。
世の中には、スピリチュアル主義にかこつけて、人を騙そうとするような人もいるので、そういうものを見分ける目は絶対に必要でしょう。
なので、変な話に騙されたり、意味のないものを信じて時間を浪費しないためにも、このページに書いてあることを役立ててもらえたらと思います。
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目次
胡散臭さの最大の原因は「根拠がない」こと
「スピリチュアル」という言葉の意味をネット検索すると「霊的な」とか「精神的な」とか色々な結果が出てきます。
参考:スピリチュアル(Wikipediaより)
ただ、一般的に自己啓発やカウンセリングなどで使われている言葉としてのスピリチュアルというのは「魂」とか「神」とか「宇宙の法則」なんていう話がよく出てくるので、もっと範囲は広いと思います。
ざっくりと表現するなら(今の段階では)科学的に証明されていない何かが、人に影響を与えているという考え方でしょう。
そういうものを信じるかどうかということについては、人によって大きく差があると思います。
何にでも科学的な根拠(エビデンス)を求める人は、スピリチュアル的な要素の全てが胡散臭いと感じるかもしれません。
逆に、何らかの信仰を持っていて、この世のどこかに神様の存在を感じている人にとっては、スピリチュアルな要素を無視して考えることの方が、むしろ胡散臭くてバカバカしく見えるでしょう。
実際のところ、何が本当に正しいかなんて誰にもわからないことです。
僕はどちらかというと前者に近いですが、友人にはキリスト教徒もいるし、彼らの考え方が間違っているとも考えていません。
お互いがそれぞれの考え方を尊重して、違いは違いのまま生きていけばいいだけの話だと思います。
今は科学的に証明されていることの中にも、昔は超常現象だと思われていたことはたくさんあるわけだし、スピリチュアルな考え方が人を成長させてくれることも多いでしょう。
それでも、
- 根拠が示されていて、本当である見込みが高いこと
- 根拠が示されていないけど、本当のように思えること
この2つは明確に分けて考えるべきだし、もっと厳密に言えば「1」についても疑うくらいの慎重さが必要だと思います。
特にスピリチュアルな話については、以下の3つの理由から、この点が重要だと考えています。
- スピリチュアルな要素には再現性がない
- スピリチュアルな考え方にハマると論理的に考えられなくなる
- スピリチュアルな要素はカルトや詐欺に悪用される
スピリチュアルな要素には再現性がない
科学の世界で特に重要な考え方の一つに「再現性」というものがあります。
これは要するに、「条件をそろえれば、同じことを再現できるかどうか」。
言い換えれば、同じことをすれば、同じ結果が得られるかどうかということです。
例えば筋トレやダイエットについて考えてみましょう。
「最大筋力の半分で持ち上がる重さを10回持ち上げれば、筋力アップ効果が得られる」
とか、
「食事の量を、1日に必要なカロリーの8割にすれば体重減少効果がある」
ということが研究によって証明されれば、それは基本的にほぼ全ての人に当てはまります。
仮に効果がイマイチだったとしても、原理そのものは過去に何度も実験して証明されている事なので、必要なのは個人差による微調整だけです。
一方で、スピリチュアルな話に関してはどうでしょう?
「強くイメージすれば、宇宙の法則に従って願いが実現する」
というような話は、一部の人がそう主張しているだけで、同じことを他の人がやっても同じ結果になるとは限りません。
「なぜ」そうなるのかという原理や、願いを実現させるための条件も証明されていないので、狙って再現することはできないわけです。
スピリチュアルな考え方にハマると論理的に考えられなくなる
繰り返しになりますが、スピリチュアルな要素には「根拠」と言えるものがありません。
そして、根拠が無くてもいいということは「本人が信じさえすればなんでもアリ」という事になります。
以前に、「どうしてもやる気が出ない・・・。」という話をしている人がいたんですが、その人はどこかで聞いたスピリチュアルな話を元に、「やる気が出ないのは、私の魂が若くないからなんです。」だと主張していました。
それを信じ込んでるから、どんな解決策にも取り組もうとしないんです。
胡散臭いスピリチュアル主義の人たちは、よくこういう話をします。
他にも例を挙げるとすれば、
「あなたが不幸なのは前世で悪い行いをしたからだ。」
とか
「人が生きているのは、魂を成長させるためだ。」
というような事を言うわけです。
そして、こういう話にはもともと根拠が無いわけですから、他人が理論的に否定することもできません。
結果として、簡単に「神様が~」「魂が~」と結論付けることが、スピリチュアルにハマった人の逃げ道になり、理論的に考えることもできなくなっていくわけです。
そうなれば周りの人からも「胡散臭い人」のレッテルを貼られることになるでしょう。
スピリチュアルな要素はカルトや詐欺に悪用される
何の根拠もない事でも、スピリチュアルな話を出せば片付けられるわけですから、それを誰かに信じさせる事ができれば、まさに「無敵」の立場を手に入れることができます。
本来なら理屈が通らないメチャクチャ話をこじつけて、相手を思い通りに操れるということです。
胡散臭い霊媒師や占い師などが、
「あなたの魂を浄化するためにお金が必要です。」
みたいなトンデモ理論を展開して人からお金を騙し取ったりするのは、この典型的なパターンと言えるでしょう。
だから、スピリチュアルな話を信じ込みやすい人は、マインドコントロールのターゲットにもなりやすくなります。
スピリチュアルとの向き合い方
スピリチュアル系ビジネスの業界には、胡散臭い人が時々登場するので、スピリチュアルな考え方に対してマイナスのイメージを持っている人は多いかもしれません。
しかし、スピリチュアルな考え方というのは、正しく付き合いさえすればえば、とても有意義なものにもなり得ると思います。
実は、もう亡くなった僕の祖母は、毎日仏壇に向かってお経を唱えているような、信心深い仏教徒でした、
昔、まだ子どもだった頃の僕には、なぜ祖母が目にも見えず、存在を感じることもできない「仏様」を信じているのかがサッパリ理解できず、祖母にそのことを率直に聞いてみことがあります。
その時の祖母の答えはこうでした。
でも、誰かに見られてるって思ったら、恥ずかしい生き方はできなくなる。
そのことがおばあちゃんにとっては一番大切な事なんだよ。
おこがましいかも知れませんが、僕はその言葉を聞いた時に、宗教というものがこの世に存在する意味を理解できた気がしたんです。
これは推測に過ぎませんが、もし神様がいて、僕たちの成長を願ってくれているとしたら「何も考えずに他人の教えを盲信しろ」とは言わないんじゃないでしょうか。
そう考えれば、僕たちは「何が自分の幸せにつながるのか」ということをきちんと考えて、違和感をおぼえたことや疑問に思ったことについては、自分自身で追求する努力をすべきだと思います。
悪徳スピリチュアルに騙されるな
胡散臭いスピリチュアル主義の人たちは、根拠の無いことを他人に信じさせるために、色々な手法を使います。
ここでは多くの人が騙されがちなそれらのテクニックについて、代表的なものをいくつか紹介しておきましょう。
コールドリーディング
これは占い師などが使う方法で、本来は相手との親和関係(ラポール)を作るための技術です。
内容としては、心理的なトリックを使って、相手の考えや、まだ聞いていない事実を言い当てる(心を読んだと感じさせる)テクニックになります。
悪徳なスピリチュアルカウンセラーや「自称」霊媒師のような人たちは、自分の能力を誇示するための手段として、このコールドリーディングをよく使ってきます。
例えば、
「あなたには、やろうと思って先延ばしにしている事がありますよね。」
「以前に、事故に遭いそうになったことがありませんか?」
と、いきなり切り出したりするわけです。
実を言うと、これはほとんどの人に当てはまる事を言っているだけなのですが、熟練した占い師やカウンセラーは相手の目をじっと見たり、水晶玉を覗き込んだりして演出するので、かなりインパクトがあります。
感受性の高い人は「当たってる!」と驚愕してしまうでしょう。
(コールドリーディングについては「適職を占い師に見てもらう前に知っておきたい2つのこと」でも説明しています)
「そんなバカな」と思うかも知れませんが、胡散臭いスピリチュアル主義の人たちは、騙されやすい人だけをカモにすればいいので、注意深い人が引っかからなかったところで、何の問題もありません。
疑似科学
これは、科学に見せかけた「ニセ科学」です。
例えば、
- 植物に「かわいいね」「いつも綺麗だね」と話しかけると元気に育つ
- 水に「ありがとう」と言いながら凍らせると綺麗な形に結晶する
- ピラミッド形の入れ物に入れた食べ物は、長い間腐らない
というような話ですね。
これが「科学的に」証明されたということになれば、世の中には不思議な力が働いているということになる。
そういう風に話を展開するのが、胡散臭いスピリチュアル主義の人たちです。
でも、よく調べると、これは「偶然そうなった」という少ない例を取り上げただけだったり、実験そのものがでっち上げだったりして、「科学的な証明」とは程遠いということが分かります。
参考:疑似科学(Wikipediaより)
「奇跡」の演出
以前にスピリチュアル系のあるタレントさんが、
「大正7年の7月7日に生まれた人は、平成7年の7月7日に77歳になる。こんな偶然は神様のいたずらとしか思えない!」
なんて言っていました。
しかし、これはそれほど珍しくない偶然を「奇跡」だと思わせる演出です。
まず、この話の中で「7月7日」という部分には何の意味もありません。
ちょっと分かりにくいかも知れませんが、これは単に「大正7年と平成7年の間の年数が77年離れている」というだけの話です。
この条件だけ揃えば、必ず年齢と誕生日がその数字に合致してゾロ目が完成する人が出てくることになります。
もう少し詳しく言うと・・・
「平成7年の7月7日に77歳になる」という人は、77歳の人全体のうちの365分の1くらいの確率で、必ず存在することはすぐに分かると思います。
これは「平成6年の6月6日に66歳になる」でも「平成2年の2月2日に22歳になる」でも、全部のパターンで同じことが言えます。
さっきの「7が揃った事例」では、たまたま過去の元号との間隔にも同じ数字のゾロ目があったというだけです。
そして誕生日は常に同じですから、当然生まれた日も7月7日になり、数字が揃うのは当たり前です。
しかもこの例では、明治と昭和という2つの元号を飛ばしています。
連続していない元号でもいいという条件なら、複数の元号のどれか2つの間に「間隔のゾロ目」が成立すればいいだけなので、見た目の印象以上に確率は高いというわけです。
「カクテルパーティー効果」の応用
以前にスピリチュアル系のwebサイトに、こんな話が載っていました。
「宇宙の法則を意識し始めると、色々と神秘的なことが目の前に起こりは始めます。引き寄せの法則が働くことで、例えば、時計や車のナンバーなどがゾロ目だったり、あなたの誕生日の数字だったりすることをよく目にするようになるでしょう。」
この話を「本当だ!」と信じる人は多いですが、これは「カクテルパーティー効果」という心理現象であって、宇宙の法則でも何でもありません。
カクテルパーティー効果というのは「パーティーなどでカクテルを飲みながら談笑していても、自分に関係のある話題だけが耳に飛び込んでくる」というように、ある特定のものを意識し始めると、それに関連する情報だけが自然に目に留まりやすくなるという現象です。
カクテルパーティー効果(Wikipediaより)
多くの人は、一日の中で何度も時計を見ます。
さらに外に出れば、車のナンバーや電話番号など、無数の数字が目に入るでしょう。
その中から自分の誕生日やゾロ目など「その人にとって意味のある、またはそう見えるものがある確率は、決して低くはありません。
例えば、自分や恋人の誕生日と+ゾロ目をすべて合わせれば、それだけでも組み合わせのパターンは12個です。
さらに、色々な記念日や、それらの数字の並びが逆転したものなども合わせれば、パターン数は数十くらいにはなるでしょう。
そうなれば、何となく目にした時間や番号などがそのパターンに合致したとしても、それほど珍しいことではありません。
しかも、時間を知るために時計を見た時などに、その番号が「意味のある組み合わせ」でなかったとしても、それを「ハズレ」だなんて考えないでしょう。
そうすると、合致した時だけが記憶に残り「すごい!不思議だ!」と思ってしまうというわけです。
今回のまとめ
最後に、今回のまとめです。
ポイント
- スピリチュアルな要素の問題点
→ スピリチュアルな要素には再現性がない
→ スピリチュアルにハマると論理的に考えられなくなる
→ スピリチュアルな要素はカルトや詐欺に悪用される - スピリチュアル要素は自分にプラスになる範囲で活用すべき
- 胡散臭いスピリチュアル主義者のトリックに注意
胡散臭いスピリチュアル主義の人に騙されたり、自分自身が胡散臭い人にならないように、くれぐれも気をつけて欲しいと思います。