・バイナリーオプションって、詐欺が多いんですか?
数年前からSNSなどでは「バイナリーオプション」という金融商品について書く人が多くなりました。
特にtwitterには、若い女性のアイコンを使って、「こんなに儲かっちゃった。」とか「稼ぎ方を教えます!」みたいなツイートが山ほど投稿されています。
しかし、バイナリーオプションのしくみを知っていると、こういった投稿の大半は嘘や誇張、詐欺だということがすぐに分かります。
というわけで今回は、バイナリーオプションの基本的なしくみと、バイナリーオプションを推奨する人たちの裏事情、詐欺の手口などについて書いてみることにしました。
最初に言っておきますが「バイナリーオプションで稼ぐ」なんていうのは、基本的に「無理ゲー」だと思ったほうがいいです。
基本的な仕組みとして、投資(と言えるかどうか微妙ですが)した人が損をするように設計されているので、もしもバイナリーオプションで勝てるのなら、他の投資をしたほうがいいです。
為替レートを読んで勝負をするのなら、FXなどをやった方が確実に儲かるので、そもそもバイナリーオプションには存在価値があるのかどうかも疑問です。(これについては後で詳しく解説します)
ステマ記事の中には「でも、この業者なら違うよ」という記事を書いて、そこに人を誘導するというものも多いですが、このページでは最後までバイナリーオプションに関して否定的な内容になっているので、それを覚悟して読んでもらえたらと思います。
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目次
バイナリーオプションとは?
バイナリーオプションとは「binary(2の、2つの成分の)+ option(選択)という意味の言葉で、一応は金融商品の一つということになっています。
バイナリーオプションのルールは、簡単に言うとコインの裏表を当てるゲームや、サイコロを2つ投げて、出た目の合計が偶数か奇数になるかに賭ける「丁半博打(ちょうはんばくち)」のようなものです。
2つの選択肢のうちのどちらかに賭けて、当たったら掛け金が増える。逆に負けたら掛け金が没収されるということですね。
ただしバイナリーオプションでは、賭けの対象に、コインやサイコロではなく為替レートを使います。
膨大な人が取引している為替レートなら簡単には操作できないので、インチキが成立しにくく、第三者から見ても公平性が評価しやすいからでしょう。
なので、バイナリーオプションに投資する人は、一定時間後の為替レートが今(エントリーした時点)よりも上がっているか、それとも下がっているかに賭けることになります。
例えば今のレートが1ドル=100円だったとして、5分後のレートが100円より上だと思ったら「高い(High)」方に、100円を下回ると思ったら「低い(Low)」方に賭けるわけです。
為替レートを予測すること自体は非常に難しいですが、実際にやることは「2つのうちのどちらかを選ぶ」事だけなので、一見すると「簡単な投資法に見える」というところが、バイナリーオプションの特徴だと思います。
バイナリーオプションをやるべきでない理由
僕がバイナリーオプションをやるべきでないという最大の理由は、期待値が低すぎるということです。
この点は非常に重要なので、少し詳しく説明しておきましょう。
もしも、コインの表と裏を当てるゲームで、
- 1000円を賭ける
- 当たった場合は2000円になる
- ばずれたら0円になる
という条件だった場合について、期待値の計算をしてみます。
買った時の金額2000円に勝てる確率1/2(0.5)をかけると、
2000 X 0.5 = 1000円
になりますよね。
そして、賭ける金額もこれと同じ1000円なので、
1000 / 1000 = 1
となり、期待値は1、つまり、元本に対してのパーセンテージで考えると100%になります。
期待値が100%ということは、このゲームをずーっと繰り返していると、一時的にお金が増えたり減ったりすることはあっても、最終的には元の金額の100%、つまりプラスマイナスゼロの状態に近づいていく事になるわけです。
ただし、実際の投資の世界では、期待値が100%以上ということはまずありません。
ほとんどの場合、手数料が発生する分だけマイナスになるので、1000円で買った株を1000円で売っても、別のところで手数料を取られて、ちょっとだけ損をします。
そして、バイナリーオプションの場合、この期待値がかなり厳しく設定されているんです。
例えば、1000円賭けるとして、負けた場合は0になりますが、買った場合にもらえる金額は1800円から1900円くらいになるのが一般的です。
仮に1850円だとすると、この場合の期待値は 92.5%で、これはカジノに行ってギャンブルをするのとほぼ同じくらいです。
これに対して、同じように為替レートを対象としたFXなら、99%以上の期待値で勝負できたりします。
つまり、バイナリーオプションで勝てるなら、FXではもっと勝てるはずなんです。
少なくとも理屈で考えれば、99円戻ってくるカジノの代わりに、全く同じ取り引きをして92.5円しか戻ってこないカジノで勝負するのは「馬鹿げた選択」としか言いようがありません。
中には1000円賭けて勝った時に2000円もらえるような業者もありますが、そういう場合は業者が損をしないように、勝敗判定が少し不利に設定されているので、結局は同じことです。
バイナリーオプション詐欺の手口
バイナリーオプションが根本的に儲からないように(業者側が儲かるように)設定されているにも関わらず、「バイナリーオプションで儲けるのは簡単!」というようなことを主張する人が多いのはなぜでしょうか?
・・・答えは非常に簡単ですよね。
「他人を利用して儲けるため」と考えて、まず間違いないでしょう。
全てが詐欺とは言えないまでも、事実とは違う説明や誘導であるケースは非常に多く、消費者庁への相談件数を見ても、バイナリーオプションについては、過去にたくさんのトラブルが発生していることが分かります。
2014年に関しては8月ごろをピークに相談件数が減っているようですが、今でもSNSには「簡単に稼げます」系の書き込みで人を騙そうとする手口が横行しているので、まだまだ油断は禁物です。
ここからは、バイナリーオプションを利用した詐欺や、詐欺まがいの方法で稼ごうとする人たちの手口を紹介しておきましょう。
紹介報酬稼ぎのための嘘
ここまでに書いてきた通り、バイナリーオプションは業者側に有利、つまり運営して言える会社がガッツリ儲かるしくみなので、アフィリエイト報酬もかなり高く設定されています。
1件あたりの報酬が万単位なのは当たり前で、自分の紹介で入った人がお金使うと、さらに追加報酬を受け取れる場合もあります。
なので、自分は取引していないにも関わらず「こんなに儲かりました!」と言って参加者を集める手口が広まるわけです。
これが厳密に「詐欺」に該当するかどうかはともかくとして、実際には儲かっていないのに「儲かった」と言って利益を得ようとすれば、間違いなく人を騙していることになるでしょう。
シグナル配信・「教えます」詐欺
「過去の予想がこんなに的中しています」とアピールして為替の動きを予想する情報を配信したり、自分の勝率や利益をアピールして「勝ち方を教えます」という話も非常に危険です。
出会い系サイトやSNSで、若い女性のアイコンを使って「カモ」になる人を集めるという手口が定番になっていて、実際には役に立たない情報を高額で売りつけようとしてきます。
少し考えれば分かることですが、バイナリーオプションで本当に儲けることができるのなら、倍々ゲームに近い形でお金を増やせるわけですから、わざわざ他人に教えてお金を取るような面倒なことはしないはずです。
ちなみに、もし僕がこの方法で人を騙すとしたら、まずは「無料で情報を教えます」と言って、多くの人にバラバラな予想結果を送るでしょう。
そうすると、一定の数の人は連続して(偶然に)当たった結果を手にするので、それによって「この人の情報は当たる!」と信じ込ませてから大金をボッタクるという手口です(笑)。
あるいは、実際に何回か取引してみて、連続して勝った時の状況だけを動画にして見せるのもいいかも知れません。
別の方法としては、過去の相場の動きを再現するような画面をプログラムで再現して、本当に「取り引きして儲けた」いたように見せかけることもできるでしょう。
高額なソフト・ツールを販売する詐欺
これは、バイナリーオプションで勝つためのアプリ(ソフト)やツールを高額で販売することで、お金を騙し取ろうとするという手口です。
当然ですが、本当に勝てるソフトがあるなら、それを人に売る必要は全く無いので、本物である可能性はほぼゼロと言っていいでしょう。
一時期には、いわゆる「オレオレ詐欺」と同じように、色々な役割を演じる人が出てきて人を騙す手口が流行ったようで、若い人の間でたくさんの被害者が出たことが話題にもなりました。
同級生やバイト仲間などに、
「実は俺、バイナリーオプションで儲けてるんだよね。」
といって「お金持ちの成功者」役の人を紹介し、その人を経由してツールの入ったUSBメモリを高額で売りつける、という詐欺が広く行われていたようです。
出金できないバイナリーオプション業者
海外の業者などでは、バイナリーオプションで勝てる・勝てないという話以前に、入金したが最後、お金が一切戻ってこないという被害も出ていました。
海外の業者だと、素人にはまず追求できないので、ほぼ確実に泣き寝入りの結果になります。
この場合はバイナリーオプションによる詐欺というよりも、「バイナリーオプションをネタにお金を騙し取る」というタイプの詐欺ですね。
業者によってはレート操作疑惑も?
証拠が無いので確かなことは分かりませんが、一部の業者では、運営側が確実に儲かるように為替レートを不正に操作しているのでは?という疑惑もあるようです。
バイナリーオプションでは原則として、
利用者の勝ち=業者の損失
になるので、もしも業者がレートを操作して「負ける人」を増やせたとしたら、その分だけ業者が儲かることになります。
為替レートが「上がる」に賭けた人より「下がる」に賭けた人が多ければ、レートを微妙に上げてやれば、負ける人を増やせるということです。
為替レートというのは、全世界で完全に同じというわけではなく、業者によって微妙にズレが出ることもあるので、多少であれば他の業者との間に差があったとしても、それ自体が不正だとは言えません。
さすがに大きくズラしたりすれば不正がバレる可能性もありますが、仮に「怪しい」と思うレートの動きが発生したとしても、利用者がそれを証明するのは難しいでしょう。
そして、もしも業者がレートを不正に操作しているとしたら、それは完全な詐欺だと言えます。
バイナリーオプションは「娯楽のためのギャンブル」
以上のように、バイナリーオプションを「お金を稼ぐ方法」として考えるのは、基本的に間違いだと思います。
特にオイシイ儲け話に関しては、まず詐欺だと考えて間違いありません。
もしもバイナリーオプションをやるのなら、それは投資やビジネスとしてではなく「お金を払って楽しむ遊び」だと割り切るべきでしょう。
競馬やカジノと同じ娯楽としてやるなら、期待値が50%もない宝くじを買うよりは、かなり良心的な投資商品だと言えるかも知れません。
バイナリーオプションで詐欺られた!と思ったら
バイナリーオプション詐欺の被害に遭ったと思ったら、できるだけ早く法律の専門家に相談することをおすすめします。
「法テラス」(国が設立した法的トラブル解決サイト)などでは、無料相談も受け付けてもらえます。
対面での相談を希望する場合は、各自治体で実施している法律相談も利用できると思うので、市役所などに詳細を問い合わせてみてください。
今回のまとめ
最後に、今回のまとめです。
ポイント
- バイナリーオプションは、そもそも儲かりにくい
- バイナリーオプションを勧める動機は「他人を利用して儲ける」こと
- バイナリーオプションの儲け話は基本的に詐欺
- バイナリーオプションの利用価値は「娯楽としてのギャンブル」