・人の役に立つ仕事をしたいけど、何をしたらいい?
・将来の夢のために、人に役立つ仕事の種類を知りたい
今回は、こういう疑問を持っている人に向けて、ぜひ知っておいてほしいことを書いておきたいと思います。
最初に誤解のないように言っておきますが、僕は「人の役に立つ」という条件で仕事を探すような人が大好きです。
そして、そういう人が本当に幸せになるためには、やっぱり誰かの役に立てていると実感する必要があると思います。
でも、もしもその条件に加えて「でも今、何をしたらいいか分からない・・・」という言葉が続くとしたら、ぜひこのページに書いてあることについて一度考えてみてほしいんです。
また、このページには、人がどうやって夢や目標を見つけて、それを実現するかということについての基本的なしくみも解説するので、それが目先の行動につながるアクションにつながるはずです。
この記事についてご質問・ご意見がある場合は、記事の下部にあるコメント欄からご連絡ください。原則として24時間以内に回答を掲載させていただきます。
「人の役に立つ仕事」という言葉のイメージ
「人の役に立つ」と聞いて多くの人がイメージするのは、いったいどんな仕事でしょうか。
「国境なき医師団」や「青年海外協力隊」のように、発展途上の国の人の手助けをすることでしょうか。
あるいは、弁護士や警察官のように犯罪の被害に遭っている人たちを「悪」から守ることでしょうか。
この点については人それぞれで、一つの答えがあるというものではないでしょう。
しかし、極論を言ってしまえば、世の中に存在するほとんどの仕事は、何らかの形で人の役に立っているはずです。
コンビニのアルバイト店員だって、笑顔で接客をすればお客さんが喜んでくれるし、ビルの清掃員だって、気合を入れて床をピカピカにすれば、雇い主にもその場所の利用者にも喜ばれるでしょう。
「仕事」という言葉には、「何かを成し遂げる行動」という意味もありますから、ボランディアとして近所の公園の掃除をすることも、誰かのためになる立派な仕事です。
とはいえ、多くの人はそういう意味で「人の役に立つ仕事」を求めているわけではないと思います。
恐らく人の役に立っていることを「直接実感できる仕事」であって、さらに言えば、仕事を通して自分自身が成長し、それによってさらに大きな事を成し遂げたいと考えているんじゃないでしょうか。
だとすると、「人の役に立つ仕事」を求める人が本当に探しているのは、単に人に貢献できる仕事ではなく、「人を助けていることを実感しつつ、自己実現ができる仕事」という事になるはずです。
この違いを理解することは、本当にやりたい事を探す上で、非常に重要なポイントになってきます。
「人の役に立つ仕事」=上級者向け
目指しているものの中に「自己実現」が入ってくると、これはかなり高いハードルになります。
誰もがすぐにイメージできるようなやりがいのある仕事には、特別な免許や資格や経験が必要だったり、多くの人が目指している競争率の高いものだったりして、なかなかたどり着く事が難しいのが現実です。
「仕事にやりがいがない、という理由で会社を辞めると失敗する」にも書きましたが、求人雑誌の中に「これだ」と思えるような仕事が載っていることもまずありません。
青年海外協力隊のような制度に参加するのは比較的ハードルが低いかも知れませんが、実情をよく調べてみれば、彼らの活動の内容は「途上国支援」というよりも「国際交流」であることが分かるでしょう。
僕自身はその国際交流にも十分に意味があると思いますが、一部では「税金が使われている割に効果に関する検証が不十分」という意見もあるようです。
そして、1~2年の派遣期間の後は日本に帰って来るわけですから、そこから先の計画は自分で立てて、就職するなり起業するなりしなくてはいけません。
途上国での国際交流の経験が直接役に立つ仕事は少ないので、無計画に海外に行っても就職活動では不利になるとも言われています。
参考:青年海外協力隊(Wikipediaより)
介護や福祉関係の仕事も「人の役に立つ」という点ではとても意義のある仕事ですが、残念ながら低賃金・長時間労働で大きなストレスにさらされることが多く「人を助ける前に、自分が助けてほしい・・・」という状態になりかねません。
僕は以前に、弁護士事務所の人たちと連携して法律相談に関する仕事をしていましたが、介護職の人たちからサービス残業や時間外残業、パワハラなどの相談を受けることがとても多かったです。
現実には、高い理想を持ってはいても、自己実現のための「入り口」を探すことすら難しいという人が多いんです。
自己実現のための高い山
ここで、次の図を見て下さい。
これはアメリカの心理学者であるエイブラハム・マズローという人が自己実現論という説の中で提唱したもので「マズローの欲求5段階説」とも呼ばれています。
参考:自己実現理論(Wikipediaより)
この図について細かいことを覚える必要はありませんが、一応簡単に説明しておきましょう。
欲求段階 | 内容 |
---|---|
生理的欲求 | 食べたい、寝たいなどの動物的な欲求 |
安全欲求 | ちゃんとした家に住みたい、安心な暮らしをしたいというような欲求 |
社会的欲求 | 仲間が欲しい、集団に属したいという欲求 |
尊厳欲求 | 他人から求められたい、尊敬されたいという欲求 |
自己実現欲求 | 自分の力を発揮したい、何かを生み出したいという欲求 |
ピラミッド型の図の中で分けられた5つのエリアは、それぞれ人の欲求の種類を表しています。
そして、その内容は下に行くほど原始的で、上に行くほど文明的で高度なものになっていきます。
つまり、人間は低レベルな欲求が先にあって、それが満たされるほどレベルの高い欲が出てくるということです。
もちろん、食べるのに困ってるような人だって人助けをしたい思うことはあるとは思いますが、その欲望の占める割合が違います。
例えば、お金がなくてギリギリの生活をしてる人は、人助けの方法より家賃やガス代、今月の食費の方が切実な問題でしょう。
友達も仲間もいなくて寂しいと感じている人は「人に尊敬されたい。」よりも先に「誰かに一緒にいほしい・・・。」という気持ちの割合のほうが強くなるわけです。
向上心の強い人は、下の方にある欲求が完全に満たされないうちから自己実現について考える傾向がありますが、そこには2つの問題があります。
- 自分にできること(つまりは選択肢)が少ない
- 自分に何ができるかがよく分かっていない
何ができるか、どれだけできるかということがよく分からないで「人の役に立ちたい」と思っても、それが具体的なプランに結びつかないのは当然と言えるでしょう。
逆に言えば、企業の経営者のように、何らかの分野で大きな実績を残している人が、「人の役に立ちたいけど、何をしていいか分からない」というのを僕は一度も聞いたことがありません。
彼らは自分に何ができるかということをある程度知っていて、さらにそれを実行するだけの力があるからです。
人を助ける前に山を登る
「人の役に立つ仕事」というのは確かに素晴らしい考え方だし、面接の時にアピールしたり、就職の際のエントリーシートに書いたりするにも好都合かもしれません(笑)。
しかし、本当に「自己実現」というところにまでたどり着くためには、まずは上の図のマズロー欲求段階の「山」をある程度登るべきではないでしょうか。
ちょっと厳しい言い方をしてしまうと、本当に人の役に立ちたいのなら、まずは自分自身という存在をしっかり鍛える必要があると思うのです。
「給料日前だから生活苦しいなぁ、食費足りるかなぁ、明日も仕事かぁ、嫌だなぁ、また残業になりそうだ・・・ところで、他人のためになにかできることはないかな?」
という状態では、なかなか自己実現は難しいですから。
先進国に生まれている場合は、さすがに一番下の生理欲求は無視してもいいかも知れませんが、経済的な面を含めた安全欲求や、人に評価されることで満たされる社会的欲求については、満たされていない人のほうが圧倒的に多いはずです。
それならまずは、できるだけ自分の心に正直になって、もっと生々しいというか、欲望に素直な「やりたいこと」を追求するのもアリだと思います。
高級車に乗りたいとか、毎日おいしい物を食べ歩きたいとか。
ブランド品を買いたいとか、異性にモテたいとか。
ビジネスでしっかり稼いで、人に尊敬されたいとか。
下品だと思われるのが嫌だったら、人に言わなければいいだけですからね(笑)。
とにかく最初は、心に浮かぶ欲に正直になって、それを実現するためにどんどん行動する。
その手段はお金になりやすい資格を取ることでもいいし、とりあえず「やりたい事が無いときの仕事選び3つの条件」に書いたような条件に合う会社に就職することでもいい。
もちろん僕のように、お金のために副業を始めるのもおすすめです。
経験を積めば、自分が何に向いているか、何ができるかということも分かってくるし、できることの幅も広くなってきますから、マズローの山の2番めにとどまって「できそうな範囲」で悶々と悩むことは無くなるはずです。
今回のまとめ
ポイント
- 「人の役に立つ仕事」の意味は「人の役に立つことを実感できて、自己実現ができる仕事」
- (自己実現が可能な)人の役に立つ仕事に就くのはかなり難しい
- 人の欲求には段階があり、普通は低い段階のものから満たされていく
- 人の役に立ちたければ、まず自分が自立しなければならない