・お金持ちになるために、経済の勉強は必要ですか?
前回の記事「経済の勉強を始めよう-知らないと怖いお金の話【超入門1】」では「経済のことを勉強しておかないとヤバイよ!」という事を書きました。
今回は第二回目として、そもそも「経済」とは何なのか。
そして「経済学」というのが何のためのものなのか、ということをサラッと解説した上で、経済を勉強する人がハマりがちな罠について説明しておきたいと思います。
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経済とは何か?
色々なサイトを調べてみた所、どうやら「経済」とは、もともと「経世済民」という言葉を略したものなんだそうです。
で、この「経世済民」は中国の古典に登場する言葉で、その意味は「世を治め、民を救う」。
つまり、政治なども含めた大きなスケールの話だったのが「お金の部分に焦点を当てて、人々が豊かに暮らせるようにする」という意味で、学問の名前に使われるようになった、ということのようです。
参考:経済学ってなに?(福山大学HPより)※現在削除されています
参考:経世済民(Wilipediaより)
「お金がどういう風に世の中を流れているか?」ということを総合的に理解できるようになれば、「経済の勉強を始めよう-知らないと怖いお金の話【超入門1】」にも書いたように「何をすべきか?」ということが分かりやすくなります。
逆に、経済のしくみをよく分かっていないと、世の中で起こっていることの本当の意味が理解できません。
それによって、自分の身の回りに起きている小さな事だけを基準に物事を判断してしまったりすることがあるわけです。
例えば、経済学の世界では、家計と企業、政府(国)が、こんな風につながっているとイメージしてみて下さい。
矢印はお金やサービスなど、何らかの価値があるものを表してます。
一般家庭の人々が会社で働いて、モノやサービスをつくる。会社はお給料を働いた人に支払う。
で、人々は会社からモノやサービスを買ったりもする。
政府は会社や人々から税金を取りますが、それによって道路を作ったり、警察や消防署をつくるというような公共サービスを用意したり、年金を配ったりしてくれます。
こういうつながりの中で、例えば国が「法人税の引き下げ」つまり、会社から取る税金を安くしたとしたら、いったいどんな効果が生まれるでしょうか?
経済には色々な要因があるので、「必ずこうなる」と断言はできませんが、会社は税金が安くなれば、そのお金をビジネスの拡大に使ったり、給料に回したりしやすくなります。
最近、日本の会社は、儲かってもにも関わらず給料を上げなかったりするので、「どうせ浮いたお金は会社がフトコロに入れるんだろ。」と思う人の方が多いかも知れません。
しかし、少なくとも法人税が下がれば、法人税が高い時よりは給料が増えやすい状態になるし、仮にそうならなかったとしても、会社が潰れたりリストラされたりする可能性は小さくなるわけです。
また、会社の資金力が上がれば、外国の企業と競争する上でも有利になります。
それなのに、経済の中でのお金の流れを全く理解していないと、
「法人税を下げたって、庶民には何も良いことがない!」
という風に、視野の狭い考え方しかできなかったりするわけです。
当然の話ですが、そもそも「経済とはどんな仕組みで動いているものなのか?」ということをちゃんと理解していなかったら、「どうするのが正しいのか」という判断はできません。
だから、「税金をどれくらいにするか?」とか「どれくらい道路や橋をつくることにお金を使うべきなのか?」という事を考える上でも、経済の知識は欠かせないわけです。
「使える経済学」とは何か?
起業して会社を作ったり、投資などでお金を増やそうと思っている人はもちろん、社会人として生きていく以上、最低限の経済の知識は必須と言えるでしょう。
「GDP」とか「インフレ」みたいな、基本的な経済用語の意味すら分からなければ、テレビのニュースだって理解できないし、そうなれば世の中がどんな風に動いているかも分からないままです。
取引先や上司との会話の中で、そういう無知が相手にバレれば、「コイツには大事な仕事は任せられないな」と思われてしまうかも知れません。
ただし、その逆に、経済学の知識だけを一生懸命頭に詰め込んでも、それが役に立つとは限りません。
例えば、経済で使われる用語の一つに「消費関数」というものがあります。
消費の大きさをCとし、基礎消費αと限界消費性向βを定数とすると、国民所得を表すYのみが変数となり、民間経済モデルでは一次関数C=α+βYという公式が成り立つ
経済の専門家のような人たちの間では「基本的な考え方」だと言われているようですが、経済評論家や経済学を人に教える仕事でもしない限り、この公式を丸暗記する意味は無いでしょう。
少なくとも、これを知っているかといって、自分がお店を開いた時に売上が上がったり、株式投資やFXで利益が出るようになったりはしないはずです。
新しい分野について勉強し始めると、知識を仕入れることが楽しくなって、頭でっかちになりがちです。
しかし、経済学に詳しくなったとしても、その知識が必ず「自分の生活を豊かにしてくれる」とは限りません。
経済とは「人が豊かに暮らす」ためのものだということは既に書きましたが、学問としての経済学は、あくまでも「仕組み」を学ぶだけのもの。
それを「どう活かすか?」という訓練は別のところでやらないといけないんです。
例えば、FP(ファイナンシャルプランナー)は「お金の専門家」として人気のある資格ですが、ファイナンシャルプランナーの平均年収は300万円~400万円くらいだそうです。
統計によれば、全ての職種の平均年収は491万円ですから、ファイナンシャルプランナーは「普通の人よりもお金のないお金の専門家」になってしまっているわけです。
(あくまでも「全体として」の話であって、個人で見れば高収入なファイナンシャルプランナーもいます)
参考:平成29年賃金構造基本統計調査 結果の概況(厚生労働省HPより)
話は変わりますが、化学でよく登場するものに「元素周期表」というものがあります。
これは中学校くらいで初めて習うもので、水素とかヘリウムとかの元素が一覧表になったものです。
で、学校ではそれを暗記させられたりもするわけです。
時には「すいへーりーべーぼくのふね・・・」なんていう語呂合わせまで使って。
でも、実は化学の研究者のような人達は、こんなのほとんど暗記してません。
だって、一覧表があるなら必要な時に、それを見ればいいだけの話なんですから(笑)。
逆に言えば、こういうものを一生懸命暗記しようとしている人は、もっと重要な知識を知るチャンスを失っていることにもなります。
プログラミングの勉強をする場合でも、学校のテスト勉強をする時のように、テキストの先頭から、出てくるものを全て覚えようとするのは、非常に効率が悪いです。
短期間でプログラミングをマスターして仕事ができるようになるのは、とにかく自分自身で何かを作ってみて、何か問題にぶつかった時にだけ必要な情報を収集する人です。
僕も簡単なプログラムなら自分で組んだりしますが、今だに簡単な構文の書式すら忘れてしまうことがよくあります(笑)。
その理由はとても簡単で、細かいことまでいちいち覚えていなくても、ネット検索や他のプログラムからコピペすれば、記憶に頼る必要はないからです。
行動しながらの勉強がベスト
経済とは、どんな仕組みで動いていものなのか。
それを知ること自体は、とても有意義だと思います。
しかし、「お金持ちになりたい」とか「自分で会社を作りたい」「会社を辞めて独立したい」という目的があるのなら、せっかくの時間を「勉強」だけに使いすぎてしまわないように気をつけて下さい。
よく、ビジネスに関しての相談を受けていると、「今はまだ勉強中です」という人に出会います。
でも、勉強だけでは「経済オタク」のようなものにはなれても、ビジネスで成功したり、お金持ちになることはできません。
実際に何かを売ってみたり、投資をする場合と違って、勉強をしているだけなら失敗して傷ついたり、努力しても結果が出ずにガッカリするということはないので、気持ち的には楽かもしれません。
でも、通信教育の格闘技では強い格闘家になれないのと同じで、いくら経済の勉強をしても、それだけでは意味がないということは知っておいてほしいと思います。
一番効果的なのは、自分の目的に向かって色々な挑戦をしながら、それに関連する経済の知識を仕入れていくことです。
例えば、投資でお金持ちになりたいと考えているのなら、経済の状態がどうなったときに株価が上下するのかということを勉強すれば、知識のない人よりも相場の流れが読みやすくなるでしょう。
そうやって「必要な事から知識を広げていく」というのが、最も効率的で「使える」知識を身に付けるコツだと思います。
今回のまとめ
最後に、今回のまとめです。
ポイント
- 経済学は「人々が豊かに暮らせるようにする」為のお金の学問
- 経済学を知ると、世の中で起こっている事を正確に理解しやすい
- 経済の知識を詰め込むだけでは、金銭的に豊かにはなれない
- 目標に向かって行動する上で、必要な経済の勉強をするのがベスト