・ライフワークはどうやって見つければいいの?
こういう疑問を持っている人のために、明確な答えを書いておきます。
「ライフワーク」の意味について解説している本やwebサイトは多いですが、残念ながら考え方がぞれぞれ違ったりして、なかなかイメージが湧きにくいと思うんですよね。
全体としては、
ライフワーク=天職
という考え方の説明が多いようですが、実はそういう考え方をしていると、やりたい事がなかなか見つからなかったり、見つかったと思ってもすぐに見失ってしまうという人も多いんです。
そこで、100冊近い自己啓発書を読み、ライフワークを探している人たちの相談に乗り続けてきた僕が「こう考えるといいですよ」という一つの回答を、図解による説明でシェア(共有)しておきたいと思いました。
なので、この記事を読んでもらえば、君が本当の意味で情熱を傾けて一生取り組めるライフワークの発見に役立つはずです。
進路や職業を選ぶ上でも参考になると思うので、ぜひじっくりと読んでみて下さい。
この記事についてご質問・ご意見がある場合は、記事の下部にあるコメント欄からご連絡ください。原則として24時間以内に回答を掲載させていただきます。
目次
ライフワーク=「特定の職業」ではない
いきなりですが、ライフワークというのは特定の職業を示す言葉ではありません。
一応、ライフワークという言葉の定義を調べてみると、以下のようなものが見つかります。
(wblio辞書より)
(本田健さんの書籍中の表現※Wikipedia「ライフワーク」より)
両方を読むとちょっと混乱してくるかもしれませんが「職業のこと」だとはどこにも書いてありませんよね。
人によって微妙に考え方は違うかも知れませんが、まとめると、
- 広い意味では:一生をかけて情熱を傾けて幸せを感じられること
- 狭い意味では:一生をかけて取り組む事業(仕事)
という感じでしょうか。
もちろん、お金のためにやっている職業や仕事(ライスワーク)がそのままライフワークになっている人もいますが、「ライフワーク」という言葉そのものが「職業の種類」を表しているわけではないということです。
上で引用した辞書の内容を見て、
「「仕事」って「職業」のことじゃないの?」
と思う人もいるかも知れませんが、厳密には違います。
職業というのは、
(デジタル大辞泉より)
つまり、生活費のためにやる仕事です。
上の図でいうと、左側のライスワークの部分です。
「仕事」という言葉には
(goo国語辞典より)
という広い意味があり、ライフワークの説明で使われている「仕事」はこっちの意味です。
中には「お金を稼げる」ということをライフワークの条件として説明する人もいますが、これは完全な間違いだと僕は思います。
もしもお金が手に入らなければライフワークじゃないなら、人は「お金にならないことをライフワークにできない」という変な縛りが生まれてしまいます。
例えば、人を救うためのボランティアは、たとえ一生を捧げたとしてもライフワークになり得ないということになる。
非暴力を貫いてインドの独立に貢献したガンディーさんの活動も、黒人差別の撤廃に生涯を捧げたキング牧師がした事も、
「お金を稼ぐ仕事じゃないからライフワークじゃないですよ。」
というのは、僕たちの多くが持つ「ライフワーク」というものとは明らかに矛盾していると思います。
なので、上に書いた通り、生活のためなどにお金を稼ぐ仕事は「ライスワーク」に分類したほうが、矛盾はなくなると思います。
(ライスワークについては、「「ライスワーク」がライフワークにつながる理由」でも説明しています)
ライフワークとライスワークが一緒なら毎日の仕事が楽しくて最高ですが、例えば食べるための仕事は別に確保して、趣味のアートに生涯を捧げるというような人もいるわけなので、両者を混同してはいけないと思います。
こんなことを言うと、
「いや、天職という意味でのライフワークが知りたいんだけど・・・」
と思うかもしれませんが、安心して下さい。
ここから先は、その説明に入っていきます。
ライフワークを理解するための「具体性ダイアグラム」
「天職」つまり職業を選ぶ上でライフワークを意識している人には、恐らく次のような迷いがあると思います。
- 自分が本当にやりたい事ってなんだろう?
- できれば、自分にしかできない仕事がしたい
- 得意なことと好きなこと、どっちを仕事にすればいいんだろう?
- 自分にどんな仕事ができるのか、どんな仕事が向いているのか分からない
- 人の役に立つ仕事がしたいけど、具体的なプランがない
そこで、これらの問題を解決するための大きなヒントになるような図(ダイアグラム)を作ってみました。
ちょっと見ただけでは意味不明だと思うので、一つずつ説明していきましょう。
まず、人が何かを成し遂げようと考える時、その内容には目先の小さな事から一生をかけて取り組むことまで、色々なレベルのものがあります。
例えば、
「パソコンのプログラムが組めるようになりたい。」
というのは、一生という時間中で考えれば、比較的小さな目標だと考えられます。
それに対する大きな目標は(これもあくまで一例ですが)
「世界を変えるようなアプリを作りたい。」
というようなものです。
ここでは、小さな目標をマイルストーン(距離をはかる目印として、道に埋め込まれた石のこと)大きな目標の方を「ビジョン」(理想像というような意味)と呼ぶことにします。
これを「具体性ダイアグラム」に当てはめると、以下のような感じになります。
右側の青い部分は達成するまでにかかる時間や労力の大きさを表しています。
それに対して、左側の黄色い部分が表すのは「どうやってそれを達成すればいいか」という手段がどれだけハッキリしているかということ。
言い換えると方法の「具体性の度合い」です。
これらについて、さっきのプログラム作成と世界的アプリの話を当てはめてみます。
まず、下の方にある「簡単なプログラム」の部分から見てみましょう。
簡単なプログラムを組むという事に対して、何をすればいいかという手段はかなり明確です。
例えば、プログラムを教えてくれる学校に通うとか、本を買って勉強するというようなことは、特に知識がなくても簡単に思いつくでしょう。
つまり、マイルストーンにたどり着く方法は具体的「具体性が大きい(高い)」=黄色い部分の幅が広い、ということになります。
その代わり、目標としては小さくて、達成するまでにかかる時間も短い=青い部分の幅が狭い、という形になっています。
それに対して「世界を変えるようなアプリ」を作るとなると、専門家でもすぐにどうすればいいかを具体的に答えることはできません。
そのアプリがスマホ上で動くSNSのようなものなのか、ロボットの中で動くAIのようなものなのか、どんな使われ方をするのか、という選択肢は無限に近いほどあります。
さらに、世界規模のアプリを作るとなると、すでに自分自身は経営者になっていて、プログラムを組む作業にはかかわらない(実際に開発をするのは経営する会社の社員になる)可能性だってあります。
だから、具体性が低い=黄色い部分の幅が狭いという形をしていて、逆に達成するまでにかかる時間が長く、大きな目標という意味で、青い部分の幅は広くなります。
補足:手段と具体性の関係についてのもう一つの例
「ラーメン食べたい」という具体性が高いことに関しては、その方法は限られていますが、「何か楽しいことをしたい」という具体性が低いことなら、それを達成する手段は山ほどある、というように考えてみて下さい。
ここまでの話を簡単にまとめると、
- 小さな目標(マイルストーン)=手段が具体的で、すぐに実現しやすい
- 大きな目標(ビジョン)=手段が抽象的で、実現するまでに時間がかかる
ということになります。
そして、ライフワークというのはマイルストーンのことでもビジョンのことでもなく、この図を下から上に向けて登っていく行動のことです。
ビジョンというのは、そこにたどり着いたら終了!という性質のものではなくて、たどり着くことでまた別のビジョンが生まれます。
それまでに目指していたビジョンが。実際にたどり着いてみるとマイルストーンに変化する、というような感じです。
ライフワークと具体性の関係が重要である理由
ここまでの部分を読んで、「なぜそんな話が必要なの?」と思った人もいるかもしれません。
しかし、まずこの具体性の問題を(「何となく」でもいいので)理解しておくことが、ライフワークを見つける上で非常に重要なんです。
その理由は、大きく分けて3つあります。
「今すべきこと」を決めるため
「人や世の中の役に立ちたい。」「歴史に名を残したい。」「人の記憶に残るような仕事がしたい。」
何となくこんなビジョンを持っている人は多いですが、ビジョンそのものには具体性があまりないので、そのままでは行動しようがないのは当たり前です。
そういう場合は、何をすべきかを考え続けるよりも、まずは自分を向上させてくれそうな「とりあえずのマイルストーン」を設定しましょう。
もし後になって、それが目指していたものでないと分かったとしても、それが分かること自体が一つの成果だと考えれば、何も無駄にはなりません。
また、今は自分が何をしたのか分からない、つまり「ビジョンを持っていない」という場合でも、「とりあえずのマイルストーン」を設定することは重要です。
このあたりの話は「将来の夢がない人がないための「展開型」思考法」のところに詳しく書いていますが、とりあえずのマイルストーンを設定してそれに向かって行動すれば、それによってビジョンが見てくるということはよくあります。
山の頂上がどっちにあるのか分からないのなら、少なくともそこに立ち止まって悩んでいるよりは、あっちこっち歩き回ってみたほうがいいでしょう。
ライフワークを探すための行動は、一歩間違えば遭難や事故につながる山登りと違って「とりあえず行ってみよう」という考え方が重要なんです。
失敗を恐れずに行動するため
「具体性ダイアグラム」の右側の部分を見ると、上に登れば登るほど、横幅が広くなっていっていることが分かります。
これは、ビジョンに近づけば近づくほど、色々な道があるということでもあります。
ここで、さっきの例をもう一度まとめてみましょう。
プログラマーの話で考えると「世界を変えるようなアプリを作る」方法は、
- 自分がプログラマーになって開発する
- プログラムを開発する会社の経営者になる
- 大きな資産を作って開発できる人に資金を提供する
など、色々なものが考えられます。
多くの人は最初から「正解」を探そうとして、
「果たしてこれでいいんだろうか?」
「後悔することになったらどうしよう・・・。」
となって行動できなくなりますが、大抵の場合はどっちに行ったって大丈夫なわけです。
自分に何が出来るか、何に向いているかという事は実際にやってみないとわかりませんし、趣味を仕事にすべきかどうかという事だって、身を持って体験してみないと答えは出せません。
最短でビジョンに近づくための方法があるとすればたった一つ。
それは実際に登ってみて、間違えたと思ったら方向転換することだけです。
未来のことが事前に分からない限り、いくら考えても先に答えを知ることはできません。
目標を見失わないため
ライフワークの意味を「特定の職業について働くこと」だと考えていると、それを失った時に人生の目標まで失うことになります。
例えば、プロ野球やサッカーの選手が「引退した途端に夢を失って道を踏み外してしまった」というような話を、一度くらいは聞いたことがあると思います。
僕はプロ野球を引退した選手に仕事を紹介している会社の社長さんと話をしたことがありますが、引退した選手の中には、その後の人生について悩む人がかなり多いそうです。
プロのアスリートとしてプレーすることそのものをライフワークだと考えていると、それを失った途端に「自分には何もない」という状態になるわけです。
もしもその選手が自分自身のビジョンを意識していて、
「スポーツの楽しさを人に伝えていくことが自分のライフワークだ。」
と考えていたら、仮に選手を引退したとしても、次に何を向かうべき道を見つけやすくなるでしょう。
また、ライフワークというのは「ビジョンに向かっていく行動」だということを書きましたが、これを意識しておくことも大切です。
ビジネスの世界で一定の収入を達成したり、定年退職によって引退したり、スポーツなどの大会で優勝したりすると「目標を達成した途端にやることが無くなった」という状態になる人がいますが、これは目標を「達成すること」がライフワークのように感じているからです。
「なぜ、その目標を達成したいと思ったのか?」ということを追求していけば、きっと更に大きなビジョンと、それに向かって進むという新しい道がライフワークになるはずです。
コンピューターソフトの事業を通して世界一のお金持ちになったビル・ゲイツ氏は、今ではマイクロスソフトを引退して慈善事業に取り組んでいますが、そんな風に終わりが無いのがライフワークの姿だと思います。
今回のまとめ
最後に、今回のまとめです。
ポイント
- ライフワークは特定の職業ではなく「好きな事を追求する行動」
- ライフワークを理解するには、目標と具体性の関係を知ることが大事