・モチベーションが上がらなくて困っている
こんな風に、やる気の問題について悩んでいる人に向けて書いてみます。
僕は「三日坊主を克服する」というテーマの講座を運営していますが、何かをちゃんと続けて成果を出すためには、モチベーションのアップダウンを乗り越えられるようになる必要があります。
「いつでもやる気100%!」なんていう人は滅多にいないですし、やる気が低下するたびに挫折していたら、何をやっても大した結果は出せないからです。
そこで今回は、モチベーションが生まれる根本的なしくみを確認しつつ、すぐにモチベーションアップのために利用できる色々なコツを紹介していきたいと思います。
メモ
「モチベーション」という言葉には、「動機づけ」つまり「やる気を出させるための要因」という意味もありますが、今回の記事では単純に「やる気」という意味で使用しています。
この記事についてご質問・ご意見がある場合は、記事の下部にあるコメント欄からご連絡ください。原則として24時間以内に回答を掲載させていただきます。
目次
モチベーションアップの必要性を考える
いきなり逆説的なことを言うようですが、実はやろうとしていることの内容によっては、モチベーションアップのための努力が必要ないこともあります。
例えば、僕は自営業者なので、毎年の年末から3月にかけて確定申告のための書類を作ります。
事務作業が嫌いな僕にとって、これはただ「必要だからやっている」というだけであって、特に楽しいと思うことはありません。
単純にルールに沿って書類を作るだけなので、高いモチベーションも不要です。
「健康のためのストレッチ」とか、苦手な科目のテストで「赤点を取らないための勉強」のようなものも、同じグループに入ると考えていいと思います。
極端に言えば、歯磨きや洗顔にモチベーションアップが必要ないのと同じ様に「必要なことをただやればいい」だけです。
そういう場合に必要なのは、「やる気」というよりも、やるべきことを淡々とやるための方法なので、まずは以下のページを参考にしてみて下さい。
「やるべき事をやる人になるための4ステップ」
あなたのモチベーションはどこから?
それでは、やる気や集中力が必要な物事に取り組む時に「どうやってモチベーションをアップさせればいいのか?」ということについて書いていきます。
まず最初に、君のモチベーションがどんなところから湧いてきているのかを確認してみましょう。
多くの人は、これを飛ばしてテクニック的な事に走りがちですが、それはちょっと危険です。
実はこの部分を言葉にしてはっきり表現できるくらいになっておかないと、後で足元をすくわれるようにモチベーションが消えて無くなってしまうこともあるからです。
例えば、僕のところに来る相談の中には、以下のようなものがけっこうあります。
「今まで一生やってきたけど、最近になってそれが周りの人の期待に応えるためだった事に気付いたんです。今は自分が何をしたいのか分かりません・・・。」
仮にここまで深刻な状況にならなかったとしても、「なぜそれをやる必要があるのか?」そして「それをやることで何が得られるのか?」をはっきりさせておいたほうが、モチベーションは格段に維持しやすくなります。
「何のためにやるのか?」を意識する
人が何かをする時には、その行動に見合った目的が必要になります。
例えば、お金のために働くのであれば、いくら一生懸命モチベーションをアップさせようとしたところで、報酬の安い仕事を続けるのは難しいでしょう。
ダイエットのために運動をする場合も「健康になりたい」からやるのと「スタイルを良くしたい」からやるのでは、目指すものが変わってきます。
モチベーションの2つの種類を理解する
一口に「モチベーション」と言っても、その種類には大きく分けて2つのものがあります。
1つ目が「外発的モチベーション」もう一つが「内発的モチベーション」です。
※このモチベーションの区分は、心理学の世界では有名な1950年に行われたウィスコンシン大学心理学教授のハリー・ハーロウ氏の実験が起源だと言われています。
参考:「The Puzzling Puzzles of Harry Harlow and Edward Deci」(英文PDF)
外発的モチベーション
外発的モチベーションは「外発的動機づけ」とも呼ばれていて、これは周りからの評価や報酬、強制力などによって生まれるものです。
典型的な外発的モチベーションには、以下のようなものがあります。
- 英語が話せるようにって人から尊敬されたい
- ダイエットてスリムになって異性にモテたい
- 上司に怒られないように、この仕事を終わらせたい
内発的モチベーション
内発的モチベーションは「内発的動機づけ」とも呼ばれていて、自分自身の興味や関心、向上心などによって生まれます。
典型的な内発的モチベーションには、以下のようなものがあります。
- プログラミングに興味があるから勉強したい
- 自分に自信を付けるために体を鍛えたい
- 営業の仕事を通して自分を成長させたい
行動の内容が成果につながることをイメージする
モチベーションアップのためには、君が取り組んでいる事について、それをやり遂げた場合に起こる理想的な結果をイメージできるようになりましょう。
人前に立って流暢な英語で話しているシーンを思い浮かべてもいいですし、スリムな体に合う服を着て街を歩く自分の姿でも、稼いだお金で高級車を買うところでも、何でもOKです。
ただし、ここで頭に思い浮かぶイメージが、外的モチベーションに偏りすぎているようなら、少し注意が必要です。
モチベーションの元になるものが「期待に応えたい」とか「評価されたい」というような事だけだと、努力の結果が思い通りにならなかった時に、一気にやる気を失うことになりかねません。
他人の評価というのは、どんなに頑張っても自分の力だけでは変えられないので、モチベーションの中には必ず内発的なものを含めておくべきなんです。
例えば、仮に勉強を頑張った結果として試験に合格できなかったとしても、「継続的に勉強できた」という事は誇れることだし、次の機会にも必ず役立つでしょう。
また、ダイエットを成功させた結果として、たとえ好きな人に振り向いてもらうことができなかったとしても、そこまでの努力や身につけた自信は絶対に無駄にならないはずです。
安定したモチベーションを維持するためには、できるだけ内的モチベーションに目を向けるようにしてみてください。
モチベーションアップのコツ
それではここからは、手軽にモチベーションアップを実現する方法を紹介していくことにしましょう。
効果や努力の「見える化」
「継続力がない人が続ける力を鍛える為の5つのコツ」のページにも書いた通り、努力した内容やその成果は、必ず目に見える形で記録に残しておくべきです。
そして、特におすすめなのは、テストのスコアや体重といったような「成果」よりも、内発的モチベーションにつながるような「努力の記録」を残すことです。
例えば、運動した時間や勉強したテキストのページ数というようなものは、長く続ければ続けた分だけ、確実に積み上がっていきます。
一見地味なようですが、手帳やノート、カレンダーなどにそれを記録するクセは、確実にモチベーションアップのために役立ってくれるでしょう。
映像や音楽、言葉による刺激
映画などの映像や音楽、偉人の名言などをモチベーションアップのために利用している人も多いです。
このサイト内の色々なところで、映画のワンシーンや有名な人の言葉、歌の歌詞などを引用しているのも、そういう物に人の心を動かし、モチベーションを上げてくれる効果があるからです。
なので、お気に入りの映画や音楽、本などについては、モチベーションをアップさせたい時にいつでも使えるように準備をしておくことをおすすめします。
今現在、そういうものが無いという人は、「amazonプライム」や「Netflix」「Apple music」 などのサブスクリプション系のサービスを使うと、好みに合うものが見つかりやすいと思います。
見放題や聴き放題のサービスなら、「とりあえず試してみよう」という気持ちで、色々な作品に触れることができますからね。
ちなみに僕は価格の安いamazon派で、月に100本近く映画を見ていたこともあります。
自分へのご褒美
「自分へのご褒美」というのはよく使われる表現ですが、これをモチベーションアップのために使うなら、正しい形で計画的にやらなくてはいけません。
給料やボーナスが入った時に、
「毎日頑張ってる自分へのご褒美に、美味しいものでも食べに行こう。」
と決めても、それは特定の行動に結びついたものではないので、単なる気分転換やストレス解消になるだけです。
行動とご褒美をリンクさせるには、
- 勉強を1時間やったら、おやつを食べながらコーヒーを飲んで休憩する
- 1週間ダイエットのための運動と食事制限を継続できたら、週末に1回好きなものを食べる
というように、条件を明確にした上で「ご褒美」を設定するようにしましょう。
インターバル行動
長時間何かをしていると、集中力やモチベーションはだんだん落ちていくことが多いです。
例えば、せっかく勉強を始めても、少し時間が経つと気が散ってしまって別のことを考え出したり、漫画の本を読み始めてしまったりするわけです。
仕事をするつもりでPCに向かったのに、いつの間にかYouTubeで動画を検索してしまっていた・・・なんていう事もあるかも知れません(僕の体験談です)。
そんな時は、勉強や仕事に充てる時間を、15分とか20分というような短時間に区切るようにしてみてください。
タイマーなどを使って「その時間だけは集中する」という風に決めれば、限られたモチベーションと集中力をその時間に集中することができます。
設定した時間が経ったら一度休憩して(休憩の長さもあらかじめ設定しておきます)それからまた集中する、ということを繰り返しましょう。
人のモチベーションは「開始直後」と「終了間際」に高くなりやすいので、時間あたりの効果を上げるためにも効果的な方法です。
ネガティブ感情の利用
これは、過去に経験したつらいことや、誰かに対しての恨みなどをモチベーションアップに役立てる方法です。
例えば、勉強ができなくて悔しい思いをした経験や、誰かに見下されたり馬鹿にされたという経験があれば、それを思い返すことで「二度とあんな思いはしたくない!」という気持ちが湧いてくるでしょう。
やるべきことをサボってしまいそうになった時に「自分が落ちぶれたら、あいつを喜ばせることになる」と考えれば、ダラダラと過ごしてはいられなくなると思います。
ちょっと根暗な印象があるかも知れませんが、愚痴や八つ当たりをするよりはずっと前向きな考え方と言えるのではないでしょうか。
交感神経の刺激
普通は「勉強」というと机に座った状態でやることを想像すると思いますが、実は立った姿勢でやった方が、脳の働きがよくなるという調査結果があります。
参考:Standing Up for Learning: A Pilot Investigation on the Neurocognitive Benefits of Stand-Biased School Desks(英語サイト)
また「一流の頭脳」の著者であるアンダース・ハンセン氏も、体を動かしながらの方が記憶力や創造性が高まり、ストレスに対する抵抗力も上がると説明しています。
これは、座ってじっとしている時よりも、立っている時の方が神経が活動した状態になりやすいという性質によると考えられます。
なので、モチベーションが上がりにくい時は、部屋の中を歩き回りながらテキストを読んだり、単語帳などで勉強するという方法を試してみて下さい。
運動をする場合にも、とりあえず立ち上がって準備体操などをすることで、神経の働きが活発になって、モチベーションがアップする効果が期待できます。
計画的に休養を取る
高いモチベーションを維持するには、計画的に休養を取ることも大切です。
脳や体が疲れていると自然にモチベーションが下がってくるので、特に激しい運動や長時間の勉強をしている場合は、意識的に休養の時間を作りましょう。
既にやることが習慣として定着している場合は、モチベーションが低下したタイミングで、丸一日を完全な休養にしてしまうという手もあります。
人は習慣としてやっていることをやらないでいると違和感を覚えるので、強制的に休養を取ることで、その後のモチベーションがアップしやすくなるわけです。
ただし、習慣として定着していないことに関しては、休養が「中断」になり、そのまま挫折ということもあるので、その点には十分に注意して下さい。
今回のまとめ
最後に、今回のまとめです。
ポイント
- モチベーションアップの前提として「何のためにやるのか?」を明確にする
- モチベーションには2種類あり「外発的」側に偏りすぎるのは危険
- 望む結果をイメージすると、モチベーションは上がりやすくなる