・ネットワークビジネスで不労所得が手に入るって本当?
こんな人に向けて、非常にリアルな話を伝えていきたいと思います。
実は、僕はネットワークビジネス経験者です。
それも、「勧誘されてちょっと商品を買ってみた」とかそういうレベルではなく、そこそこの人数のグループを作って、セミナーなども開催してました。
もう昔の話ではありますが、僕自身も壇上に上がって話をしていたくらいの、ネットワークビジネス「ガチ勢」だったわけです。
年収でいうと数千万円レベルの人たちとも直接会って話をしていましたし、逆に実績ゼロの人が挫折して消えていくのも山ほど見てきました。
そんな経験を元に、ネットワークビジネスの厳しさについてまとめてみます。
なので、ネットワークビジネスに少しでも興味のある人、現在取り組んでいる人はぜひ読んでみて下さい。
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目次
ネットワークビジネスの基礎をざっくり解説
念のために一応解説しておきますと「ネットワークビジネス」というのは、人から人へ、クチコミによってつながったネットワークを通して商品やサービスを販売するビジネスです。
A社の商品をBさんが愛用して、そのBさんがCさんを誘って、そのCさんがDさんを誘って・・・という風に人間関係がつながっていって、A社の販売網が拡大していくという方式になっています。
ここで重要なのは、
「紹介した人が手数料を受け取れる」
ということです。
上の例で言えば、BさんはCさんやDさん、そしてCさんやDさんが誘ってきた人が購入したすべての売上から、一定の金額が報酬として支払われます。
Aさんが10人の人を勧誘して、その10人がさらに10人ずつ勧誘したとすると、Aさんには合計で100人の購入金額に応じて、会社から報酬を受け取れることになります。
「・・・それって「ねずみ講」じゃないの?」
と思うかもしれませんが、厳密に言うと違います。
確かに「一部の人にお金が集まる」という意味では、違法行為である「ねずみ講」に形が似ているかもしれません。
※ねずみ講は「無限連鎖講の防止に関する法律」によって禁止されています。
参考:無限連鎖講の防止に関する法律(Wikipediaより)
しかし、ちゃんとした商品やサービスを売っていて、合法的に運用されていれば、何の問題もない(はずの)ビジネスです。
実際、大手企業の中にもこの仕組を使っているところはありますし、古くから日本にある「家元」という制度もこの一種です。
例えば「タッパーウェア」や「ミキプルーン」も、これに近い代理店ビジネスをやっています。
ネットワークビジネスの末路:3人の失敗例から学ぶ
ネットワークビジネスが合法なら、一体何が問題なのでしょうか?
理屈よりもまずは実例として、僕を含めた3人の末路を紹介していきましょう。
ネットワークビジネスの末路1
<人間関係を崩壊させたOさんの例>
これは僕の昔の友人の話です。
Oさんはフリーターでしたが、将来について不安を感じていました。
そんな中で職場の先輩に勧誘されてネットワークビジネスに没頭。
当時、Oさんには好きな人がいて「その人に相応しい男になりたい」という動機から一生懸命ビジネスをしていたようです。
Oさんはあまり人付き合いが得意な方ではありませんでしたが、とにかく熱心に活動をしていたので、先輩の助けもあって何とか2人の勧誘に成功しました。
しかしその後、「突然知り合いを呼び出し、長々と商品や収入プランの話をする」というOさんの悪評は一気に広まり、周りの人たちから「要注意人物」としてマークされてしまいました。
完全に行き詰まって挫折したOさんは誰の連絡にも応じなくなり、それ以来ずっと完全に音信不通のままです。
ネットワークビジネスの末路2
<ある日突然収入を失ったRさんの例>
(これは僕自身の話です)
Rさんは、もともと「ビジネスに興味がある」という人を探してから勧誘をしていたので、3ヶ月の間に約20人のグループを作ることができました。
人間関係もだんだん広がってきて楽しく活動をしていたのですが、結局は「素人の集まり」ですから、メンバー同士が色恋沙汰で揉めるというような小さなトラブルが起こり始めました。
さらにその後、商品を扱っていた会社が、メンバーへの報酬を半分以下にするという計画を発表。
関係者全員で話し合った結果「これではやっていく意味がない」という結論になり、活動を停止することを決定しました。
ネットワークビジネスの末路3
<グループが崩壊してしまったSさんの例>
これも僕の知り合いの話です。
Sさんは、年間3000万円近く稼いでいた親のすすめでネットワークビジネスに参加しました。
既に家族の人脈があったので、勧誘活動はとても順調で、Sさんは半年も経たないうちに月収30万円を達成しました。
しかしその後は伸び悩み、やがて「参加したけど儲からない」と挫折した人が次々と離脱。
Sさんの参加していたネットワークビジネスでは、会社から商品を大量に購入すると大幅な割引が受けられ、さらにその売り上げが個人の「成績」に計上されるしくみになっていました。
そのため、自分自身のランク維持の為や、自分を勧誘してくれた人への義理で、大量の在庫を買い込んでいた人もいたようです。
そういう人たちも、お金が尽きてネットワークビジネスの世界から消えていきました。
Sさんのビジネスは1年後には成り立たなくなり、その後は普通の会社に就職して働いています。
「誰でも不労所得」は真っ赤なウソ
多くのネットワークビジネスビジネスでは、「儲かる」ことをエサにして人を勧誘しますが、実際にはその難易度は恐ろしいほど高いです。
まず、人を勧誘してお客さんを増やすなんて、素人が簡単にできるようなことじゃありません。
大多数の人が「これで自分も!」と夢を持って参加するものの、勧誘できずに挫折していくのが最も一般的な「末路」です。
仮に何人かを勧誘することに成功したとしても、その後が大変です。
「儲かる」ことを動機に参加した人は、別にその会社の商品やサービスに魅力を感じてはいないからです。
そういう人たちは、「こりゃ儲からないな」と感じた途端に一気に熱が冷めて行きます。
つまり、ネットワークビジネスで成功するには、既存のメンバーが止めていくのを上回るスピードでどんどん新しい人を入れていかないといけないんです。
2人勧誘できれば、その2人が2人を・・・なんて言ったりしますが、やめていく人を計算に入れていない時点で「机上の空論」です。
ネットワークビジネスは参加人数の割に儲からない
そもそも、売上と報酬の額を計算してみれば、儲かるのはどうやったって上位の人だけだということはすぐに分かります。
例えば自分の下に100人の会員がいて、全員が月に1万円の商品を購入したとしましょう。
そして売上の半分(ネットワークビジネスでは一般的な数字です)が報酬に回されるとすると報酬額の合計は50万円ということになります。
全員でこの金額を分配するわけですから、仮にピラミッドの上の方にいる何人かが5万円~10万円程度の報酬を受け取っただけでも、他の人にはほとんど行き渡らないことがわかるでしょう。
100人集めてもこの程度。
さらに「儲かるから」という理由で参加している人が、そんな状態で商品を書い続けることもあり得ません。
だからネットワークビジネスでは、穴の空いたバケツに水を入れるようにして、どんどん新しいメンバーを勧誘していく必要があるんです。
成功している人は凄まじいペースで勧誘している
僕は月収200万円以上を達成しているネットワークビジネス実践者と一緒に行動したことがありますが、その仕事ぶりは本当に凄まじいものでした。
例えば、外に洋服を買いにでかけたら、家に帰ってくるまでにデパートの店員さんや喫茶店でお茶を運んできてくれたウェイターさんなど、会話した人のほぼすべてを勧誘してるんです。
もちろん大抵は断られますが、そんな事は全く気にしません。
とにかく前へ、出会った人は全てが「見込み客」。
ネットワークビジネスビジネスで成功するには、それくらいの勢いが必要だということです。
ネットワークビジネス問題点まとめ
ここまでの情報とエピソードを元に、ネットワークビジネス問題点をまとめてみましょう。
参加を検討しているという人は、それでも本当にやる価値があると思えるかどうか、よく考えてみてください。
多くの人を勧誘し続けなければいけない
上記の通り、ネットワークビジネスでは、
やめていく人<入ってくる人
という状態を維持する必要があります。
それに対して、1人のメンバーが勧誘できる人数は、平均すると1.6人程度だと言われています。
(データの出処が見つかりませんでしたが、僕の経験から言っても1~2人くらいが平均だと思います)
さらに、儲け話に乗ってネットワークビジネスに入会するような人は、他のネットワークビジネスに「浮気」することも多いので、一度勧誘に成功しても維持のための努力がかかせません。
一つの会社に依存することになる
ネットワークビジネスでは、
「今は大企業でも倒産する時代です。他の収入源を作りましょう!」
「年金なんて当てにできません。自分の力で稼ぎましょう!」
みたいなことを言っていますが、ネットワークビジネスの収入のほうが、会社の給料や年金よりもよっぽど不確実です。
だって、報酬システムは会社が決めてるんですから(笑)。
給料や年金にはある程度の保証がありますが、ネットワークビジネスの場合は会社のさじ加減でいつでも変えられます。
ある日その会社が潰れれば報酬はゼロになるし、業績が悪化すると報酬の割合は容赦なく下げられてしまうんです。
結局、誰かに命綱を握られていることに代わりはないということです。
ビジネスモラルが崩壊しやすい
僕の失敗例にあるように、ネットワークビジネスに集まってくる人たちは所詮「素人集団」です。
会社のような指揮命令は存在しないので、全てが参加者の自己管理能力にかかっています。
だから「目的を知らせずに呼び出して勧誘」なんて違法なことをする人もザラにいますし、最近は出会い系アプリで勧誘する相手を探す人も増えているようです。
借金をしてまで在庫を買い込む人も出てきますし、お金に関係するトラブルも少なくありません。
そういう性質を持っている以上、今後もネットワークビジネスの悪いイメージが改善されることはないでしょう。
ネットワークビジネスは「オワコン」
これはあくまでも僕自身の見解ですが、今の時代においてネットワークビジネスというのは既に「オワコン」(既に時代遅れの「終わった」コンテンツ)だと考えています。
というのも、ネットワークビジネスというのはもともと「広告費を使わない代わりに、クチコミで情報を伝えた人にお金を払う」というビジネスだからです。
今ほど通信手段が発達していない時代には、クチコミというもの自体に価値があったかも知れません。
しかし、インターネットがこれだけ一般的になった今では、少し検索すれば誰でも沢山の人の体験談を知ることができるようになっています。
ネット販売のコストも下がっているので、企業が問屋などを経由せずに、直販の形で商品を販売することも増えてきました。
そんな時代に「儲かりそうだから」という理由で人が集まるビジネス形態に、価値があるとは思えないのです。
「日本アムウェイ」や「ニュースキンジャパン」など、一部の大手ネットワークビジネス系会社の売上は全盛期に比べて半分くらいになってきているそうですが、既にネットワークビジネスの時代は終わりに近づいてきているのではないでしょうか。
参考:日本アムウェイ公開データ(削除済み)
参考:ニュースキン会計データ(英語)
今回のまとめ
ポイント
- ネットワークビジネスは人づてに販売網を広げる合法ビジネス
- ただし、一般の会員が勧誘を行うため、問題点も多い
→多くの人を勧誘し続けなければいけない
→一つの会社に依存することになる
→ビジネスモラルが崩壊しやすい