・セルフイメージを書き換える方法が知りたい
・セルフイメージが低いとどうなるの?
今回は、自己啓発系の話の中によく登場する「セルフイメージ」という言葉の意味と、セルフイメージがなぜ重要なのか、そしてどうすれば書き換えることができるのか?ということについて書いていきます。
遺伝学の世界では、DNAのことを「命の設計図」なんて表現することがありますが、これはあらゆる生き物の体がDNAに記録された情報を元に作られるからです。
そして、DNAが肉体の設計図だとしたら、セルフイメージは「性格の設計図」と言えるくらい重要なものだと思います。
なので、どうかこのページの情報を、セルフイメージ向上のために役立ててみてください。
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目次
セルフイメージとは
セルフイメージ(self-image)の辞書的の上での意味は「自己イメージ」です。
「イメージ」はカタカナ英語ですが、さらにこれを日本語に訳すのなら「自己像」ということになるでしょう。
これに近い印象の言葉として、自尊心(self-esteem)や自己評価(self assessment)というものがありますが、これらはそれぞれ「自分を大切に思う気持ち」と「自分に対する(優劣の)評価」なので、少し意味は違います。
要するに、自尊心とか自己評価とか、そういう物を全部ひっくるめた上で「自分はこういう存在だ」という、自分自身の中でのイメージがセルフイメージということです。
そして、セルフイメージには、他人から「どう見られているか?」「どんな存在だと思われているか?」という自分の「感覚」も含まれます。
これはちょっと分かりにくいかも知れませんが、他人からの言葉や態度を元に「自分はこう見られているんだな」と考えるのは自分自身なので、それも自己イメージの一部だということです。
つまり、自己イメージというのは、過去に経験したすべての事をふまえた上で、「自分の視点で作られる”自分という存在”のイメージ」ということになります。
なので、本人の考え方次第で、いくらでも変化する可能性があるわけです。
これを理解する上で非常に役立つのが、スタンフォード監獄実験という心理学の実験です。
何度もテレビ番組で取り上げられたり、映画になったりしたので、知っている人も多いかと思いますが、一応簡単に内容を紹介しておきましょう。
スタンフォード監獄実験
これは1971年にアメリカのスタンフォード大学で行われた心理学の実験の話です。
実験の目的は、「肩書きを人に与えると、人はその役割によって行動するようになる」という仮説を証明することでした。
参加者たちは「囚人」と「看守」に分けられ、最初はそれぞれ自分の役割を「演じている」だけでしたが、だんだんとその状況が変わっていきました。
看守役の人たちは自分たちの権威を利用して囚人役の人たちを虐待したり、実験の禁止事項であった暴力を振るう人まで出てきたそうです。
あまりに酷い状況だったので、本物の警察が介入することで実験は中止になりましたが、その後も看守役の人たちは、実験の中止に対して抗議していたそうです。
さて、セルフイメージそのものの解説に戻りましょう。
セルフイメージには多面性があって、同じ人でも状況や環境が変わると、ガラッと性格や行動が変わってように見えることがあります。
だから、会社では「頑固で厳しい上司」である人が、家に帰れば奥さんに甘えていたり、ペットをやたらと可愛がっていたりするような事もあるわけです。
勉強や研究などの専門分野では自信満々なのに、恋愛のことになると消極的で引っ込み思案になる、というような人がいるのも、セルフイメージが多面性をもっているためです。
なぜセルフイメージが重要なのか
スタンフォード監獄実験の例からもわかるように、人は無意識のうちに自分の行動をセルフイメージに合わせようとします。
なので、仮に同程度の能力を持つ2人の人が同じことをしたとしても、セルフイメージによって結果に差が出てくるわけです。
さらに、同じ結果が出たとしても、セルフイメージの違いによって受け取り方が変わったりします。
例えば、仕事で何らかの商品を売ろうとした時に、
「自分は世界一のセールスマンだ。」というセルフイメージを持っている人と、「自分にセールスなんてできるわけがない・・・」と考えている人では、どっちが結果を出せるか想像してみて下さい。
※現実には、能力に差がない2人の人物が全く違うセルフイメージを持っていることはまず無いと思いますが、ここでは話を分かりやすくするために極端な状況を例に話を進めます
たとえ商品に関する知識や話術のレベルが同じくらいだったとしても、まず間違いなく「世界一のセールスマン」というセルフイメージを持っている人のほうが結果を出しやすいでしょう。
セルフイメージが高ければ、自信と余裕を持って行動できますし、それは相手にも安心感を与えるからです。
逆に、自信なさげに、ビクビクしながら商品の説明をしたりすれば、仮に話している内容が同じだったとしても、「この人と取引するのは不安だなぁ・・・。」と思われてしまいます。
そして、仮に商品が売れなかった場合でも、感じ方や次の行動に大きな違いが出ます。
セルフイメージが高は自分の力を信じているので、
「次はきっと売れるはずだ!」
と前向きに考えられるので、多少のことで挫折することはありません。
逆に、セルフイメージが低い人の場合、
「やっぱり売れなかった。やっぱり自分には無理なんだ。」
と感じるので、すぐに諦めてしまうわけです。
目の前で起こっていることに差がないにも関わらず、感じることが違うというのは、非常に重要なポイントになります。
例えば、他人と議論や意見交換をする中で、相手が自分の意見を否定して来た場合、セルフイメージが高い人はこんな風に考えます。
「なるほど。この人は自分と違う考え方を持っているんだな。」
これに対して、セルフイメージが低い人の典型的な反応はこうです。
「こいつは俺を見下してるんだ。バカにしやがって!」
自分が持っているセルフイメージが「馬鹿にされるような人間」だから、相手の言っていることを無意識にそれに結びつけてしまうわけです。
自分の外見に自信がない人は、他人がクスクス笑っていると、何の根拠もなく「私のことを見て笑ってるんだ。」と考えたりしがちなのと同じです。
さらに、セルフイメージというのは、本人すら気付かない形で、行動に影響を与えることもよくあります。
例えば、セルフイメージが低い人は、本人が「痩せたい!」と言っているにも関わらず、ダイエットを始めるとすぐに挫折してしまうということがよくあります。
これは、もしダイエットに成功してしまうと、「自分がモテないのは太っているせいだ」とか「太ってるせいで不当に評価されてるんだ」という言い訳ができなくなるからです。
つまり、「痩せたってダメかも」というレベルのセルフイメージを持っているから、それが現実になるのを怖がっているんです。
「将来は起業する」といいながら、いつまでたっても本を読んだりセミナーに参加したりするだけで終わっている人の中にも、低いセルフイメージに縛られている人は多いです。
「自分はダメかもしれない」という思いが強いから、実際にビジネスを始めて厳しい現実に直面するよりも、「成功できるかも」という想像をしているだけのほうが居心地がいいというわけです。
セルフイメージを書き換える方法
次に、僕たちの人生の質を決めるといっても過言ではないこのセルフイメージを、より良いものに書き換える方法に付いて説明していきます。
自分の長所に目を向ける
セルフイメージというのは、頭の中の意識だけを変えようとしても、なかなか向上していきません。
行動を積み重ねることで、少しずつ書き換えていかないと、良いイメージがしづらいんです。
それでも、行動を起こす最初の段階では、まず自分の長所を意識した方がやる気も出やすくなるし、挫折のリスクも小さくできると思います。
そこで、セルフイメージ向上の第一歩として、どんなところに君の長所(強み)があるのかを探ってみましょう。
方法1:周りの人に聞いてみる
これは君の周りの人に、君の長所について聞き取りをするという方法です。
他人から見て長所だと思ってもらえるようなことであれば、少なくとも自分自身の「思い込み」である可能性は低いので、きっとセルフイメージ向上のために役立つでしょう。
方法2:診断プログラムを利用する
一人で自分の長所を発掘したいという場合は、手軽にできる診断プログラムを利用するのも一つの方法です。
例えば、リクナビが提供している「グッドポイント診断」などは、設問数も多く、ネット上の診断の中では信頼性が高いと思います。
(診断にはリクナビのアカウントが必要ですが、無料で取得できます)
僕はワークショップなどでもこの診断を使わせてもらっていますが、自己診断の結果と周りの人へのヒアリングの結果が一致するケースが多いです。
「人並み以上リスト」を作る
セルフイメージが低いと感じている人、言い換えれば劣等感が強いと感じている人は「人並み以上リスト」を作るというワークをやってみてください。
「人並み以上リスト」というのはその名の通り、他の人と同じ(平均レベル)か、あるいはそれ以上にできることをリストにしたものです。
人より「得意なこと」となるとなかなか思い付かないという人も多いですが、そういう人にも人並み以上にできることはたくさんあるでしょう。
そして、人並みに何かができるということは、大まかに言って「世の中の半分くらいの人よりは上」ということであり、さらに言えば「努力次第で長所にできる」という事でもあります。
ちなみに僕の場合、勉強も運動も平均以下でしたが、その中でも文章を読んで内容を理解することや、パソコンなどの機械を操作することに関しては、あまり苦手意識がありませんでした。
今の仕事はその延長線上にあるものですし、それで独立して仕事をできているということが、セルフイメージの向上にも大きく役立っていると思います。
得意なことを伸ばす
月並みかもしれませんが、何か一つでも得意だと思えることがあるなら、それを伸ばすことで確実にセルフイメージを向上させることができます。
言葉の定義の部分で出てきた図の通り、セルフイメージというのは自己評価を含んでいるわけですから、自己評価が上がれば当然セルフイメージにも影響してくるわけです。
今の段階で「長所」と呼べるものがない場合は、「人並み以上リスト」の内容を参考にしたり、「理想の自分がわからない時はロールモデル分析ワークをやってみよう」のページで紹介しているワークに取り組んでみて下さい。
苦手な事を克服する
苦手意識が強いものがあって、それがセルフイメージを低下させていると思うのであれば、それを克服する事に挑戦してみてください。
ずっとマイナスだと思っていたことが人並みになるだけでも、大きく意識が変わると思います。
僕の場合は、特に運動能力が低いことが大きなコンプレックスでしたが、筋トレを続けて体力が付いたことで、セルフイメージが一気に向上しました。
ただし、本当に苦手でしかたなくて「向き合うのも嫌」だと思うのなら、思い切って諦めてしまうというのも一つの手です。
例えば、人と話すのが極端に苦手な人が、わざわざ社交的な性格になろうとする必要は全く無いと思います。
今の時代、限られた人間関係の中だけでも十分に自立して行きていけますし、幸せの価値観は人それぞれですから、苦しい思いをしてまで、いわゆる「リア充」的な幸せを追求する意味はないでしょう。
外見を整えたり、身に付けるものを変える
日本には「ボロを着てても心は錦」なんていうことわざもありますが、実際には外見がみすぼらしいと、セルフイメージも低くなりやすいです。
これまたちょっと極端な話ですが、自分に似合っている服を着て、髪型もバッチリ整えた状態で外を歩くのと、ボロボロの部屋着にボサボサの頭で同じことをする場合を想像してみて下さい。
前者のほうが、絶対に誇らしい気持ちで行動できるはずですよね?
洋服や小物、アクセサリーなどにお金をかけることを「見栄っ張り」だと感じる人も多いですが、セルフイメージということを考えれば、外見や持ち物にこだわるというのは正しいことなんです。
無理をして高いものを買ったり身につけたりする必要はありませんが、高いセルフイメージのためには、多少の投資はアリだと思います。
今回のまとめ
最後に、今回のまとめです。
ポイント
- セルフイメージとは「自分は何者か?」という自分自身の認識
- 人は無意識のうちに、セルフイメージに沿って行動する
- セルフイメージは、行動の積み重ねで書き換えることができる