・夢が具体的じゃないので、はっきりとした回答ができない
・夢はまだ決まっていないけど、面接を上手に乗り切りたい
こういった悩みに対して、言葉を当てはめていけば文章が完成するような、いわゆる「テンプレート」と実際の回答の具体例、さらに「これはNG!」というような回答例などをまとめていきたいと思います。
僕は自営業という立場上、経営者の人と話をする人も多く、会社員時代には店舗管理の仕事を通して面接官をしていたこともあるので、「こんな人なら採用したい。」「こういう人はイラナイ。」というポイントについては普通の人よりも詳しいと思います。
また、自分自身でも複数回の転職経験をしていて、面接を受ける側の気持ちも十分に理解しているつもりなので、「将来の夢がない」という中で就職・転職の面接を受けるという人には必ず参考になるはずです。
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目次
「将来の夢は?」と聞く面接官の心理
さて、最初に結論から言ってしまいますが、実は「将来の夢」を持っているかどうかということと、採用面接で聞かれる「将来の夢は?」という質問の間には、ほとんど関係がありません。
人間の脳は質問をされると、反射的に的確な回答をしようとするので、
「将来の夢はありますか?」
と聞かれると、人生の目標のような大きなものを思い浮かべそうになりますが、実は採用面接で聞かれているのは全然別の話です。
なので、採用面接で「将来の夢は?」と聞かれたら、頭の中でこう翻訳して下さい。
「志望動機の裏にある理由や、雇われる側としての将来性をアピールしてください。」
そして、それに合わせて答えれば良いんです。
考えてほしいのは、「将来の夢は?」という質問をする会社、つまりは採用面接官の狙いです。
採用面接官が本当に知りたいと思っているのは、一言で言うと、
「この人を採用して、うちの会社にとって得になるだろうか?」
ということですよね?
これは、自分自身で誰かを雇うという状況を想像してみるとよく分かるでしょう。
やっと自分のお店をオープンして、人手が足りないからとスタッフを募集した時に、
「半年後に起業して、日本一のラーメン店チェーンを作りたいです。」
とか、
「30歳までに3人の子供をもうけて、40歳までには田舎に家を買います。」
なんていう話を聞いても、その人を雇う材料にはならないはずです。
多少は「面白い」と思うかも知れませんが、採用の決め手になるのは、もっと現実的な条件でしょう。
例えばですが、将来の夢を持っていて、それをはっきりと伝えることができる人は、
- 自分で考え、目標を立てることができる
→指示された仕事だけでなく、何が必要かを考えて行動できる - 相手に対して、自分の意図を明確に伝えることができる
→コミュニケーション能力が高く、会社という組織に貢献できる
というような評価がもらえるので、採用の可能性が高くなります。
また、将来の夢の内容によっては、その会社の「社風に合っているかどうか」という点が採用のポイントになる場合もあります。
なので、正直に答えるのがベストだなんて考えて、
「夢はまだありません。考え中です。」
なんて言ったら、まずその時点で失格になってしまうでしょう。
会社が求めているのは「いい人」や「面白い人」ではなく、冷たい言い方をすれば「使える人」なので、新入社員に「将来の夢があるかどうか」なんて二の次でいいわけです。
将来の夢:回答テンプレ&具体例
というわけで、ここからは「会社にとって必要な人材」が答えるべき「将来の夢」のテンプレートを紹介していきます。
面接の方法によって、ほぼ一言で終わるような場合もあれば、一定の時間を与えられて短いスピーチのような形で話をする場合もあると思うので、いくつかの項目に分けて考えてみましょう。
短時間なら上の方の項目だけを、長時間なら下の方の項目を付け加えて回答していくことで、時間の調整が可能になります。
なお、テンプレートはあくまでも「形」なので、文の形を変えたり前後に言葉を付け足しても問題ありません。
面接回答パート1:理想像を述べる
理想像とは、以下のような形のフレーズです。
この内容は、実際に応募した職種や仕事を盛り込めば、将来の夢が無い人でも特に問題なく作れるでしょう。
テンプレ(例文)
私の夢は、◯◯の仕事を通して、□□になることです。
具体例
- 私の夢は、営業という仕事を通して「あなたから買ってよかった」と言われるような存在になることです。
- 私の夢は、接客の仕事を通して、たとえ短い時間であっても、お客様に幸せだと感じてもらえるような人材になることです。
- 私の夢は、ものづくりをする中で、会社にとって無くてはならない存在だと思ってもらえるような人間になることです。
- 私の夢は、経理の仕事を通して、会計のプロフェッショナルと呼ばれるような存在になることです。
面接回答パート2:きっかけを述べる
次に、パート1の理想像を持つことになったきっかけを付け加えます。
よほど時間が短くない限り、このあたりまでは必須項目でしょう。
テンプレ(例文)
◯◯の時に、□□したのがそう思うようになったきっかけです。
具体例
- 以前に販売の仕事をしていたときに、わざわざ私から買いたいと言ってくださったお客様に出会ったのがそのきっかけです。
- アルバイトで接客の仕事をしていた時に、お客様に喜んで頂けたことで、私自身も幸せを感じられると分かったのがそのきっかけです。
- 前社で自動車の製造に関わっていた際に、チームで協力して何かをつくることの喜びを知ったのがそのきっかけです。
- 会計の資格を取ったことがきっかけで、自営業の友人や工場を経営している親戚から色々なアドバイスを求められるようになったのがそのきっかけです。
面接回答パート3:現在の行動について述べる
さらに、その夢に向かって、今どのように取り組んでいるかということを説明します。
テンプレ(例文)
そのために現在は、◯◯をしています。
具体例
- そのために、今は販売士の資格を取るための勉強をしています。
- そのために、今は接客のための英会話を学んでいます。
- そのために、今は製造工程管理の本を毎週1冊読んでいます。
- そのために、今は定期的に税法の改正についての情報を仕入れています。
「口先だけの夢」だと思われない為に
と、回答のテンプレーとについて説明してきましたが、採用面接官というのは言ってみれば「人を見る仕事」をしているプロです。
場合によっては、たまたまその仕事を回されただけの普通の社員である場合もありますが、それでもたくさんの人を観察して採用を決めるわけですから、口先だけのメッキはすぐに剥がれてしまうでしょう。
だから採用面接をパスしたいなら、十分な準備をしてください。
応募する会社がお店を経営しているなら、必ず一度はそのお店に行って、お客さんとして利用してみることです。
何かの商品を作っている会社なら、安いものでもいいので購入してみましょう。
そういう事が無理な業種でも、事前にオフィスや工場などを見学させてもらうことができるなら、できるだけそうすべきです。
さらに、地理的な問題でそれが無理だったとしても、最低限その会社のwebサイトくらいは十分にチェックしておきましょう。
そして、その時の体験を、将来の夢の「きっかけ」のパートに反映させたり、志望動機に付け加えたりするわけです。
具体例
- 先日、御社の◯◯を利用させていただいたのですが、そこで笑顔で働いているスタッフの方々を拝見して、改めてその思いが強くなりました。
- 私は御社の◯◯という製品を愛用させていただいていまして、将来は何らかの形で御社の製品の製造に関わりたいと思ったのが志望動機の一つです。
こういう話をすることができれば、
「それ、別にうちの会社じゃなくてもいいよね?」
という反論も避けることができます(笑)。
将来の夢:回答NG集
次に、面接でどんな回答をするとマイナス評価を受けやすいのかについてまとめておきましょう。
テンプレートに沿った形の回答を用意しても、そこに入れる言葉によっては全てが台無しになる可能性もあるので、その点には十分に気をつけて下さい。
個人的な都合を持ち出さない
仮にそれが本当だとしても、
「私の夢は、正社員になることを通して、住宅ローンを組めるような安定した収入を得られるようになることです。」
というように、個人的な都合を前面に出すのはNGです。
それはあくまでもその人だけの問題であって、会社にとってのメリットにはならないからです。
ネガティブワードは使わない
「営業などの人前に出る仕事はやりたくないので、事務系の仕事でプロフェッショナルを目指したいです。」というように、わざわざネガティブな表現をするのもNGです。
嫌なことについて説明するよりも、希望について強調したほうが、ずっと印象は良くなります。
独立・企業についてはケースバイケース
「将来独立したい」「起業したい」という話については、会社が積極的に「独立を応援します!」と公言していない限り言わないほうが無難です。
多くの会社は、短期間で辞めてしまうかも知れない人よりも、安定して長く働いてくれる人を採用したがっているものです。
大切なのは「自信を持って」答えること
面接に苦手意識を持っている人は、
「こんな回答で大丈夫だろうか・・・。」
「こんな事を言ったら落とされるんじゃ・・・。」
と不安になることも多いと思いますが、ビクビクしながら答えていたら、その回答がどんなに模範的だったとしていても、マイナスの印象を与えることになってしまいます。
なので、事前にしっかり準備をしたら、あとは役者としてのオーディションでも受けるつもりで、堂々としている「フリをして」面接にのぞむようにしてみてください。
ほとんどの人は、
「できないかも知れないけど、やってみます・・・。」
という人よりも、
「任せて下さい。頑張ってやり遂げてみせます!」
と言い切ってくれる人に仕事を任せたいと考えるはずです。
できなかった時に怒られるのはどっちも同じなんですから、無理に自分の言葉と本心を合わせようとせずに、まずはチャンスを掴むことだけに集中しましょう!。
今回のまとめ
ポイント
- 面接で夢を聞かれたら志望動機の裏にある理由や、雇われる側としての将来性をアピールすればいい
- 将来の夢のお手本は、理想像を述べる→きっかけを述べる→現在の行動について述べる
- 「口先だけの夢」だと思われない為には準備を怠らないこと
- 個人的な都合、ネガティブな言葉、独立・起業についての話は避けること
- 面接では演技でもいいので、自信のあるフリをすること