・AIが進化しても消えない仕事を教えて下さい
テレビや雑誌などの色々なメディアで「AIに仕事を奪われる」とか「AIの進化で無くなる仕事」なんていう話がよく出てくるので、将来的に仕事を失う不安を持っている人も多いんじゃないかと思います。
また、これから副業をしたり、独立などを考える上で「これから需要が増えるのはどんな仕事なんだろう?」と迷っている人もいるでしょう。
僕も職業相談に乗ることが多いという立場上、そういう話に関してはちょくちょく情報収集をしているのですが、中には根拠のよく分からない、信頼性が低いと感じる情報もあります。
なので今回は、既存の「需要が増える仕事」「将来有望な仕事」の選び方に関する問題を指摘した上で、今からごく普通の人が、比較的短期間で目指せるという条件で、これから需要が増える仕事のランキングをまとめてみたいと思います。
「これからは弁護士だ」とか「医者を目指しましょう!」なんて書いたところで、「なれるなら苦労しねーよ」って話ですからね(笑)。
この記事についてご質問・ご意見がある場合は、記事の下部にあるコメント欄からご連絡ください。原則として24時間以内に回答を掲載させていただきます。
既存の「需要が増える仕事」の問題点
週刊誌やwebサイトなどを検索すると「消える仕事」や「残る仕事」そして「これから需要が増える仕事」などの情報が見つかります。
しかし、恐らく一部の人達だけから偏った情報を聞いて作られているので、その内容ははっきり言ってメチャクチャです。
例えば、介護の仕事に関して「人の痛みを理解する必要があるので、ロボットにはできない」と書いておきながら、歯科医師の仕事は「AI搭載ロボットに仕事が奪われる」なんて書いてあったりします(笑)。
個人的な感覚としては、介護ロボットに寝返りを助けてもらうより、歯科医師ロボットに口の中をいじられる方が、ずっと恐ろしいと思うんですが・・・。
そして、特に介護の仕事に関しては多くのサイトで取り上げていますが、これにはweb業界の裏事情があると僕は推測しています。
某週刊誌が、将来給料が「上がる仕事」と「下がる仕事」についての記事を公開しているんですが、その話の元になったのが、オックスフォード大学のマイケル・オズボーンさんという人が書いた「雇用の未来」という論文なんだそうです。
参考:AIと共存する未来 ~AI時代の人材(厚生労働省PDF)
確かに日本でも介護の仕事の「需要」自体は増えています。
しかし、法律の問題で介護の職場には構造的にお金が回らないようになっていて、介護士の人たちは劣悪な労働環境で働いているんです。
(詳しくは「介護士が底辺の仕事と言われる2つの理由-人材不足は当然?」をご覧ください)
100歩譲って「需要が増える」ことだけは事実だとしても、「給料が上がる」というのはどう考えてもおかしいわけです。
そういう日米の制度や法律の違いなどを考慮しないまま記事が作成されて、それを参考に多くのwebサイトが記事を作成したのではないか、というのが僕の考えです。
また、プログラミングについても「AIがシステムを自動的に構築できるようになりました」という話がその「某出版社」のサイトで紹介されています。
しかし、これについても、実際にweb業界でバリバリ働いている人から直接聞く話とあまりに違いすぎて、「一体どこの世界の話ですか?」という感じです。
もちろん将来的にはそうなっていくとは思いますが、今はAIに知識を覚えさせるにもエンジニアの助けが必要で、プログラミングができるエンジニアの世界は慢性的な人材不足でもあります。
当然僕の考えも「一人の意見」に過ぎないわけですが、これからどんな仕事に需要があるのか、どんな職業を目指すべきなのかを考える上では、色々な人やメディアを参考にして、総合的に考えることをおすすめします。
これから需要が増える仕事ランキング
それでは、当サイトなりの視点から、これから需要が増えると考えられる仕事を紹介していきましょう。
ちなみに、ランク付けの根拠としては、それを「仕事にする」ことのハードルの低さと、今後5年から10年くらいの需要の安定性をざっくりと評価しています。
実際にどの仕事を選ぶべきかということは、その人の適性や得意分野によって全く変わってくると思うので、順位については参考程度に考えてもらえたらと思います。
【1位】動画編集者
動画編集の仕事は、今でもかなりの需要がありますが、今後も市場自体が拡大していく見込みが高く、需要が増えそうな仕事の筆頭です。
そして、動画編集の仕事の良いところは、必ずしも高度な技術を持っていないくても、それなりに仕事として成り立つというところです。
当然ですが、テレビ番組のオープニングやエンディングを作ったりするようなクリエイティブな編集をするには、専門知識やセンスが必要になります。
しかし、不要なシーンをカットしたり、効果音や字幕を入れたりする作業は、ソフトの使い方さえ覚えれば、それほど難しくはありません。
それなら、その作業に特化して、安い値段で仕事を請け負うというようなやり方もあるということです。
動画を作る人と同じように、動画編集者の数も増えていくとは思いますが、5Gの導入などによって更に市場規模そのものが拡大することが見込まれています。
【2位】イラストレーター、CGアーティストなど
昔はwebサイトと言えば文字が中心でしたが、最近は通信速度が向上して画像の読み込みが速くなったこともあり、webサイトの内容はどんどんグラフィカル(絵や図などが多い)になってきています。
また、漫画による説明を取り入れたサイトも出てきていて、一部では漫画に関する知識を持った人材の取り合いのような現象も起きているようです。
イラストやCGは静止画だけに使われるわけではないので、インターネットの主役がwebサイトから動画メディアに変わっても、イラストやCGの需要が無くなることはないでしょう。
「人間の要望に合わせてAIが絵を描く」という事が実現するのも、まだまだ先の話になると思います。
【3位】エンジニア・プログラマー
冒頭にも書いた通り、IT系のエンジニアはまだまだ人材不足で、webビジネスの世界では「仕事はあるのに人手が足りなくて売上が上がらない」という声も聞きます。
いずれはプログラミングの世界にもAIが進出してくると思いますが、それが完全に実現するには、AIが「人間の意図を読む」必要があるので、完全にIT系エンジニアの仕事が無くなるのは、まだまだ先の話でしょう。
むしろ、AIを設計したり、AIの動きを調整したり、AIが上手に物事を覚えられるようにするための仕事が発生する分だけ、これからしばらくの間は需要が増える仕事の一つになると考えられます。
適正の問題もあるので、一部の情報商材屋さんが言っているように「すぐに稼げる」とは限りませんが、少しでもプログラミングができると、たとえ他人から仕事をもらえなかったとしても、役に立つことは非常に多いです。
僕も少しだけプログラミングを勉強したので、今では単純作業をプログラムに任せて仕事の時間を短縮したり、プログラムに仮想通貨の売買をさせて、小銭を稼いだりしています。
【4位】カウンセラー
人の悩みを聞いたり、相談に乗ったりするカウンセリング系の仕事も、AIによる代替えが難しい仕事の一つです。
臨床心理士や精神科の医師のような専門家になろうと思ったらハードルは高くなりますが、実はカウンセリング自体は医療行為とは見なされていないので、無資格でもカウンセラーを名乗って仕事をすることはできます。
ただし、何も資格がないと信用されにくい場合があると思うので、キャリアにハクをつけたいという場合は、心理カウンセラーなどの資格を取得してもいいでしょう。(数ヶ月から1年程度での取得も可能だそうです)
資格を取ったからといって必ず仕事に就けるかどうかは分かりませんが、今はSkypeで人の愚痴を聞くことが仕事になるような時代ですから、自力で集客して、web経由で人の相談にのることだって可能だと思います。
世の中全体で見ても、スクールカウンセラーを雇う学校が急増したり、企業内でのストレスチェックの重要性が注目されてきたりしているくらいなので、カウンセリング系の仕事は、今後も十分な需要が見込めると言えるでしょう。
【5位】webマーケター
web広告全体の市場は大きく伸びてきていますが、常に状況がどんどん変化するSNSの分野などについては、マーケティングの知識を持っている人がまだまだ少ないです。
広告の出し方やキャッチコピーの書き方などについても、メディアごとに攻略法が違ったりするので、そういう専門知識を持ったwebマーケターの需要は、これからも増えていくと思います。
こういった分野で活躍するには最新のトレンドを掴むための努力が必要ですが、逆に言えばどんどん新しい知識を取り込んでいく事ができれば、過去の長い経験や実績が必ずしも必要にならない仕事でもあります。
【6位】ゲーム関連事業
ゲームを競技として楽しむ、いわゆる「eスポーツ」は、今後市場規模の拡大が期待できる分野です。
日本では法律の規制もあり、現時点では大規模なイベントが成立しにくいという事情もありますが、ゲームプレーヤーやゲームの実況アナウンサーを養成する学科が出来たりもしているので、今後は少しずつ流れが変わっていくでしょう。
また、一部の人たちの間では、オンラインゲームのやり方を教えたり、ソーシャルゲーム内での作業を代行することが、既に有料のサービスとして行われています。
【7位】webライター
webサイト用の原稿を書くwebライターの仕事も、どちらかというと参入のハードルが低い仕事の一つです。
YouTubeなどの動画メディアが発達して来てはいるものの、自分のペースで見ることができる文字メティアが、すぐにオワコン化してしまうことはないでしょう。
今後、急激に需要が増えるということは無いかも知れませんが、安定した需要が見込める仕事ではあると思います。
ただし、マッチングサイトなどを経由して「誰でも書ける記事」を書くような場合の単価はかなり安いです。
仕事としてしっかり稼ぎたいのであれば、専門性の高いライティングやSEOに関する知識、コピーライティングのスキルなども必要になってくるでしょう。
また、今は大手のサイトが素人ライターを雇って、質の低い長文記事を大量に投稿するというやり方がトレンドになっていますが、今後検索エンジンがさらに賢くなれば、質の高い記事を書けるライターの需要は大きく上がるかも知れません。
【8位】通訳・翻訳家
通訳・翻訳に関しては、ここ数年でもかなりアプリの性能が進歩しているので、「AIに取って代わられる仕事」というイメージがあるかも知れません。
しかし、今の技術では、文章を機械的に訳すことはできても、必ずしも読み手にとって自然な文章にできるとは限りません。
正確でシンプルな文法で書かれた文章や言葉ならきちんと訳せても、くだけた話し言葉や、状況を理解して内容を解釈する必要のある文章を訳させると「とりあえず言葉を入れ替えてみました」という感じの、とても不自然な訳になってしまいます。
まだまだ、通訳や翻訳の分野には、人の力が必要なんです。
むしろ、今後は動画メディアをより多くの言語で見られるようにしたり、多言語での字幕を準備するようような需要も増えてくるでしょう。
翻訳や通訳の仕事をするためには、一定の量の勉強が必要にはなってきますが、数年程度の独学だけで翻訳業の仕事を始める人も珍しくはないので、決して「手の届かない」範囲ではないと思います。