・なぜ、日本のバブル経済は崩壊したんですか?
投資や好景気・不景気の話をする上で、必ず出てくるのが「バブル」(バブル経済)というものです。
日本では、昭和の終わりから平成の始めくらいまでの間にその「バブル」がやってきましたが、その時には社会全体が好景気ムードでした。
土地や株の値段、サラリーマンの給料なんかもすごく高かったんです。
でも、その後の経済は、不景気に向けて急降下していきました。
これがいわゆる「バブルが弾けた」と表現されているものです。
その後の日本は、20年以上にわたって景気の悪い状態が続き、その時代のことは「失われた20年」なんて言われていたりもします。
でも、そもそも「バブル」とか「バブル経済」とは一体何なんでしょうか?、
そしてなぜバブルは弾けたんでしょうか?
この記事は、日本の不動産バブルを中心に、バブル経済が生まれる理由や、崩壊していくしくみについて書きたいと思います。
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目次
「バブルが弾けた」の代表格は日本の不動産バブル
「バブル」という言葉が経済用語として使われ始めたのは18世紀くらいのことらしいですが、日本人にとってのバブルと言えば、何と言っても1980年代から1990年くらいまでの間に起こった不動産バブルでしょう。
この時に弾けたバブルの影響は、今でも日本の経済に大きな影響を与えています。
当時の日本では、土地の値段がどんどん上がっていました。
その主な原因は、多くの人が「土地は時間とともに値上がりするもの」だと思って、どんどん買おうとしたことです。
本来なら、物には「ちょうどいい値段」というものがあるはずです。
例えば、不動産なら「人に貸したときに家賃がどれくらいもらえるか?」とか、「そこでお店を開いたときにどれくらい儲かるか?」とか、そういう事をベースに考えれば、「本来の価値」というのは、ある程度決まってくるでしょう。
今の住宅の相場で考えると、仮にその家を人に貸して、年間100万円くらいの家賃が取れるとしたら、家そのものの値段はだいたい2000万円前後だと思います。
もちろんこれはケースバイケースですが、年間100万円の家賃しか入らない家なのに、その値段が1億円なんてことになったら、明らかにバランスが悪いわけです。
でも、バブルの時には、それが問題になりませんでした。
本来の価値がどうだろうと、自分が買ったよりも高い値段で売ることができれば、それだけで儲かるからです。
そんな風に、
買えば儲かるから買う→買う人が増えてさらに値段が上がる
ということを繰り返し、土地の値段はブクブクに膨らんでいったわけです。
空気いっぱいの風船か、泡みたなに膨らむ値段。
まさにバブルそのものです。
でも、ある時に、日本の政府が法律を変えたことで、不動産を売ったり買ったりしにくくなってしまいました。
具体的には、銀行からお金を借りて不動産を買うことが難しくなったり、土地を持っていると税金がかかるようになってしまったんです。
それによって「高く買う人がいるから」というだけで値上がりしていた土地の値段は、どんどん安くなっていきました。
ただ土地を持っていても得にならない(税金などの分だけ損をする)から、できれば売りたい、でも、買ってくれる人がいないから値段を下げるしか無い。
それでも売れないから、さらに値段を下げる・・・
その繰り返しによって、土地の値段はものすごい勢いで下がっていきました。
借金して不動産を買ってた人や会社は、売れない不動産と借金だけが残ったり、倒産したり破産したりしてしまいました。
そうなると、その人達にお金を貸していた銀行も貸したお金を取り戻せなくなって、一気にお金の流れにブレーキがかかり、不景気が加速していきました。
簡単にいうと、これが日本の不動産バブルが生まれ、弾けた時の流れです。
その他のバブルの例
その他にもバブル経済が弾けた例はたくさんあります。
アメリカ発、日本にも飛び火した「ITバブル」
1999年から2000年にかけて、日本では「ITバブル」が起こりました。
これは既にアメリカで始まっていた、
「インターネットとかで商売している会社って、これからものすごく儲かるんじゃないの?」
という期待によるブームが日本にも飛び火したもので、IT系の会社の株が極端に値上がりしたんです。
当時は「「ドットコム」という名前が会社の名前に付いていると、それだけで銀行からお金が借りられる」なんて言われるほどインターネットに対しての期待が高まっていました。
しかし、その後、多くの人が、
「さすがに加熱しすぎじゃない?」
ということに気づき始めたり、IT業界向けに作られた製品が思ったよりも売れなかったりして、株価が下落、バブルが弾けたんです。
大企業の倒産が引き金になったリーマン・ショック
リーマン・ショックはアメリカの不動産バブルがきっかけになって起こった事件です。
アメリカでは当時、普通なら住宅ローンを利用できないような、所得の低い人達(サブプライム層)にもお金を貸し出して、家を買ってもらうという商売が流行っていました。
収入が低い人達は、当然返せなくなるリスクも高いわけですが、銀行はローンの金利を高くすることでバランスを取っていたんです。
つまり、返せない人が一定の数いたとしても、返せる人からガッポリ利子を取れば、銀行は損をしない、という計算です。
しかし「お金を返せない」という人がどんどん増えることで、売られる家の数が増えて、住宅の価格がどんどん下がっていきました。
そうすると、ローンが返せなかった人は、たとえそのローンで買った家を売り払ったとしても、借金だけが残ってしまいます。
結果として、銀行も、お金を貸していた人から返してもらえなくなっていきました。
そんな流れの中で、大手の投資銀行であるリーマン・ブラザーズという会社が倒産したもんだから、多くの人が「ヤバいぞ!」とパニックになって、一気にバブルが弾けたわけです。
ちなみに僕は、このリーマン・ショックによって、FXで約200万円の大損害を出しました(涙)。
※この時のエピソードについては「FXで大損した体験談-地獄のようなリーマンショックを振り返って」に書いています。
新しい投資先「ビットコイン」による仮想通貨バブル
2017年から2018年にかけては、仮想通貨(今の正式名称は「暗号資産」)によるバブルが起きました。
2017年の約1年間の間に、ビットコインの値段が14倍にまでグングン上昇し、「買えば値上がりする」という状態が続いたんです。
それによって、インターネットはもちろん、テレビでも雑誌でも「ビットコイン」の名前を見ない日は無いというくらいの大ブームになりました。
その値動きは凄まじく、昨日まで80万円だったビットコインが、今日は100万円、みたいな日も珍しく無かったほどです。
しかし2018年になると、流石に値上がりのスピードも減速しはじめて、その後は一気に値段が下がっていきました。
ピーク時には230万円くらいまで値上がりしていたのですが、2018年には40万円弱と、大体6分の1くらいになってしまったんです。
(2019年9月現在では、100万円くらいまで回復しています)
もともとビットコインには、その価値を裏付けるようなものがありません。
株なら会社の権利の一部を買うことになるので、その会社の価値がベースになっています。
金やプラチナなどの貴金属なら、それ自体が貴重なので、その価値が大きく下がるリスクは少ないでしょう。
でも、ビットコインなどの仮想通貨は、ただのコンピューター上のデータです。
その価値は買う人の価値観だけで支えられているので、「儲からない」と思われた途端に、一気にバブルが弾けたわけです。
仮想通貨バブルの影響は、不動産バブルやITバブルと比較すれば、「一部の世界だけで起きた出来事」ですが、バブルが弾ける時の動きとしては、とても参考になるものだと思います。
実は僕もビットコインには投資をしていましたが、最初から「これはバブルだ。絶対に弾けるぞ。」と思っていたので、損をすることはありませんでした。
今回のまとめ
最後に、今回のまとめです。
ポイント
- 日本の「不動産バブル」の要因は、土地価格に対する過剰な期待
- 加熱したブームは「バブルの崩壊」につながりやすい
- バブルが弾けると、違う業界や他国にも悪影響がでる場合もある