・自分の口癖が人にどんな印象を与えているか気になります
人の口癖というのは、その人の性格や考え方を表していることが多いものです。
なので、口癖から相手の考え方の傾向を少しでも掴むことができれば、少なくとも何も考えずに話すよりは、コミュニケーションが取りやすくなるでしょう。
また、自分自身の口癖を分析して、それが話す相手に「どんな印象を与えているか」を考えることも、人間関係を考える上で重要なことだと思います。
そこで今回は、口癖から分かる話し手の心理や、その口癖が他人に与える印象についてまとめてみることにします。
必要に応じて「口癖」のパターンを追加していこうと思っているので、何かリクエストがあれば遠慮なくお知らせ下さい。
この記事についてご質問・ご意見がある場合は、記事の下部にあるコメント欄からご連絡ください。原則として24時間以内に回答を掲載させていただきます。
目次
口癖と話し手の心理・相手の印象一覧
ご注意
このページで紹介している口癖と話し手の心理の関係は、あくまでも「そういう傾向がある」という一般論に過ぎません。
口癖には本人の性格だけでなく、職業や地域性なども影響してきますので、「この口癖だから○○だ」と短絡的な判断をしないようにしてください。
「もちろん」
「もちろん」を口癖にする人の心理
「もちろん」が口癖になっている人は、理論的に物事をとらえて話そうとするタイプであることが多いです。
このタイプの人に何かを伝える場合は、感情論よりも理由や根拠を説明したほうがいいでしょう。
例えば、
「なんで分かってくれないんですか?」
と言っても、このタイプの人にはあまり響きません。
何が嫌で、相手に何をして欲しいのかということを説明しないと、話が平行線になりやすいです。
そして「もちろん」を多用する人は、どちらかというとMeタイプ(詳しくは「Meタイプ・Weタイプ診断を天職を見つける材料にしよう【1分判定】」に記載)なので、この手の人との距離を縮めたい時には、話を聴く側に回ったほうがスムーズに事が進むでしょう。
基本的にはポジティブワードなので、周りに対して前向きで積極的であったり、そういう印象を与えようとしている人が使う言葉だと思います。
ただし、接客業、営業職などの経験が長い人の場合、他人からの依頼に対して反射的に「もちろん」を使ってしまうこともあるので、額面通りに受け取ってしまうのは危険かもしれません。
「もちろん」が他人に与える印象
相手の言っていることに対して適切に使えば「認めてもらえている」という印象を持ってもらうことができます。
ただし、使う状況によってはやや威圧的に聞こえることもあるので、その点には注意が必要です。
例えば、
「もちろんそう思ってますよね?」
という形で使うと、相手の考えを決めつけている印象になります。
また、頼み事などをするときに、
「もちろん○○してくれるよね?」
みたいな使い方は最悪の例で、実質的に相手に与える印象は「命令」になってしまいます。
文法的には「副詞」、つまり文章の意味を強調するための言葉であって、「もちろん」を省いても意味が伝わらないことはありません。
なので、多用しすぎていると思ったら、できるだけ省略して頻度を少なくする努力をしましょう。
「そもそも」
「そもそも」を口癖にする人の心理
「そもそも」も、理論的に物を話そうとする人に多い口癖です。
物事を定義する時や、意見が正しいことを主張する場合にもよく使われます。
ビジネス関係の記事を多く扱う「AERA」によると、コンサルティング会社として有名な「マッキンゼー・アンド・カンパニー」に勤める人たちの代表的な口癖の一つでもあるそうです。
参考:仕事ができる人の口癖は「そもそも」と「◯◯」
このタイプと話す時も、やはり感情ワードで共感を求めるよりも、理屈で具体的に説明したほうがいいでしょう。
感情的な言葉で共感を得ようとしても、
「結局、何が言いたいの?」
と、理屈で返されてしまう事が多いと思います。
「そもそも」が他人に与える印象
「そもそもこれは○○が問題なんです」というように、説明の中でポイントになる部分で使えば、話が論理的で分かりやすくなるでしょう。
その内容が的確なら、賢い人、デキる人だと感じてもらえると思います。
ただし、相手と自分の意見に対立するような要素がある時は要注意です。
「そもそも」は問題の根本的な部分について何かを言う時に使う表現なので、議論の中で使うと、相手の意見を真っ向から否定している印象を与える危険があります。
「そもそもさぁ・・・」
という言い方をしたりすれば、「もちろん」よりもさらに高圧的な態度に見られるでしょう。
「ちなみに」
「ちなみに」を口癖にする人の心理
「ちなみに」というのは「何かに関連する」「何らかのつながりがある」という意味の言葉で、感じで書くと「因み」です。
「Aの名前にちなんで(因んで)Bと名付けられました。」
という表現の親戚みたいなものですね。
話している内容「そのもの」ではないけれど「ついでに付け足して言うと」という意図で使われます。
なので、これを口癖にする人は、おしゃべり、説明好き、親切、場合によってはややおせっかいな人である事が多いです。
また、知識が豊富な人は、関連情報をたくさん持っているので「ちなみに」を多用しがちです。
いずれにしてもメインの話題と「付け足し」であるサブの話題を切り分けているので、理論的な考えの人であることが多いでしょう。
「ちなみに」が他人に与える印象
相手が求めている情報に対して適切に使えば、親切で丁寧な印象になる言葉で、物事を分かりやすく説明する効果もあります。
「ちなみにAには、Bという機能も付いている。」
「ちなみにこの日は風も強かったんだけど・・・」
というような使い方ですね。
ただし、乱用すると「話が長い」「自己顕示欲が強い」という印象を与える場合もあるでしょう。
特に、自慢だと取られかねない話を「ちなみに」で付け加えると、「わざわざ付け足した感」が出るので、あまりおすすめできません。
実例を示したりする場合は「例えば」に置き換えて
「ちなみに私の場合は」→「例えば私の場合は」
という形にするのが良いと思います。
「なんか」
「なんか」を口癖にする人の心理
「なんか分かる」「なんかいい」「なんか嫌だ」というような口癖を持つ人は、理論よりも感覚や感情で物事を捉える傾向にあります。
どちらかというとWeタイプ(詳しくは「Meタイプ・Weタイプ診断を天職を見つける材料にしよう【1分判定】」に記載)で、自分から主導権を取るというより、相手から自分がどう見えるか、集団の中で自分がどんな存在か、ということを重視する性質が強いです。
このタイプの人を理屈で納得させようとすると、逆効果になることが多いので、正論で説得するよりも、まずは話をよく聞いてあげるのが良いでしょう。
「~だと思うんだよね。」と相手の感情を反復したり「そうだよね。」相手の言葉に共感を示すようにすると、スムーズにコミュニケーションが取れると思います。
「なんか」が他人に与える印象
個人的な関係の中で使う表現としては、言葉の印象を和らげる効果がありますが、ビジネスのやり取りの中で使うのはやめましょう。
基本的に、仕事や商取引の現場ではロジカルシンキング、つまり理論的な言葉を使うのが基本です。
「なんか」の類似表現に「何となく」という言葉もありますが、意味に変わりはありません。
理論的に話すことが求められる場所で「なんか」「何となく」を使うと、きちんと考えられない人、説明できない人、つまり仕事ができない人だと思われてしまいかねません。
言葉で表現しにくいことを伝える場合には、感情と理論を切り分けるという意味で「言葉にするのは難しいのですが」「個人的な感覚として」という言葉に置き換えるのが適切です。
「なるほど」
「なるほど」を口癖にする人の心理
「なるほど」を口癖にしているのは、知識欲・探究心が強い人であったり、理論的に物事を考える人であることが多いです。
色々なことを理解しようとする気持ちが強い人は、それが分かった時に「なるほど」と言うわけです。
僕の経験則として、専門的な知識を必要とする職業や、何かを研究することを仕事にしている人などには「なるほど」を口癖にしている人が特に多い印象があります。
「なるほど」という表現は、相手にしっかり耳を傾ける「傾聴」の中でも好ましいあいづちだとされているので、本心からこの言葉を使っているのであれば「相手に対する関心や同意の現れ」だと言えるでしょう。
ただし、中には相手の話を打ち切ったり、単に反論する場合の緩衝材(クッション)として「なるほど」と言ってみたり「なるほどなるほど」と繰り返す人もいます。
この場合の「なるほど」は「とりあえず聞いたよ」という前提を作るためだけの言葉でしかありません。
直後に否定語が入るような
「なるほど。でもさ・・・」
という言い方に関しても同じです。
「なるほど」が他人に与える印象
「なるほど」は適切に使えば、相手に「ちゃんと話を聞いてもらえている」「理解力がある」という印象を与えます。
しかし、相手の言葉を理解しているという意識が無い状態で安易に使うと、「とりあえず言っているだけで、真剣に聞いていない」と思われてしまうでしょう。
ビジネスの現場では「なるほど」を不適切という人も多いので、使わないほうが無難です。
代替え表現として、マナー本などには「作用でございますか」という表現がありますが、これは今の時代の話し言葉として、ちょっと不自然かもしれません。
置き換え表現として自然なのは「そうなんですね。」「そういうことなんですか。」というあたりだと思います。
「まあ/まぁ」
「まあ/まぁ」を口癖にする人の心理
これは使われ方によって、意味が変わってくると思います。
「まあ見事に」「これがまあ大変で」という場合は単なる強調表現で、「まあ、そう怒らずに」「まぁ、そういう考え方もあるけど」と言った場合は、逆に言葉の印象を和らげようとする表現です。
前者の場合は「自分の感覚を相手にも分かって欲しい」という意味合いが強く、後者の場合は相手の感情に配慮を示そうとする意図を持って話していると言えます。
「まあ/まぁ」が他人に与える印象
「まあ/まぁ」は、特に言葉の印象を和らげたい時に便利な表現ですが、多用すると、何でもあいまいにしている印象を与えるので要注意です。
同じことをやるにしても
「まあ、やってみます」
というよりも、単に
「やってみます。」
と言ったほうが、当然印象はいいですからね。
特に、感情的になっている人に対して
「まあ、ここは一旦落ち着いて。」
みたいな言い方をすると、上から目線に捉えられたり、相手の神経を逆なでする結果に終わることもあります。
「自分にとっては大事なことなのに、適当にあしらおうとしているな。偉そうにしやがって!」
と思われかねないということです。
「そうですね」
「そうですね」を口癖にする人の心理
相手の意見を肯定して受け入れる言葉なので、人間関係を重視する人や、協調性を大事にする人がよく使います。
「明確に言葉で表現するあいづち」のような感じで「そうですね」を口癖にする人が独断的だったり、高圧的であることは少ないでしょう。
「そうですね」が他人に与える印象
基本的には無難で悪い印象を与えない表現です。
ただし、あいづちをすべて「そうですね」で表現すると、さすがにしつこい感じがするので、口癖として指摘されてしまうような場合は、「はい。」「分かります。」というような他の表現と混ぜて使ったほうがいいと思います。
例外として、何かを考える時に「そうですねぇ~」と語尾を伸ばしたりすると「はっきりしない人」「鈍い人」という印象を与えてしまうので、これは避けたほうがいいです。
「でも」
「でも」を口癖にする人の心理
これを多用する人は保守的で、現状維持傾向が強い人が多いです。
何か提案しても「でも○○だから無理」「でも、○○じゃないの?」と、まず否定的な考えが口をついて出てきます。
こういう人にアドバイスをしても、残念ながら無駄になることの方が多いです。
「でも」が他人に与える印象
「でも」は、相手に「この人はネガティブな人間だ」という印象を与えてしまう口癖の一つです。
英語の慣用句には「No ifs and or buts.」というものがあり、これは親が子どもに対して(「もし」も「でも」も言ってはいけない=言い訳するな と叱る時などによく使われます。
つまり、文化の垣根を超えたネガティブ表現ということです。
「でも」を使う必要がある時には、相手の発言ではなく、自分の言葉に続けて使うようにしましょう。
相手の意見に対して、
「でも、でも○○なので・・・。」
という言い方をすると、相手の意見を否定した印象が強くなりますが、
「私もそれについては□□だと思います。でも○○なので・・・」
と、一旦相手の言葉を肯定して、その自分の言葉に対して否定をする方が、印象は少しマシになります。