・節約とケチ、倹約ってどう違うんですか?
経済社会を生きていく上で、節約というのはとても大事なことだと思います。
入ったお金を何も考えずに片っ端から使ってたら、お金持ちになるどころか、イザという時に困ったことになりますからね。
でも、節約の意味をちゃんと考えておかないと、気づかないうちにお金を失うことになったり、お金持ちになる可能性を潰してしまうことにもなりかねません。
というわけで今回は、節約の本当の意味や、すべき節約と、してはいけない節約について書いていきたいと思います。
これを読んでもらえれば、「一生懸命節約しているはずなのに、なんでこんなにお金が無いんだろう・・?」という状態になりにくくなるはずです。
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目次
節約の意味を辞書で引いてみると?
言葉の意味を正確に把握するために「節約」の意味を辞書で引いてみると、以下のようになっていました。
むだ遣いをやめて切りつめること。
※goo辞書より
無駄をはぶいて、切り詰めること。
※weblio辞書より
また、似たような意味でよく使われる「倹約」や「ケチ」の意味はこうです。
むだを省き、費用を切り詰めること。節約。
※Google SERP(検索結果)より
むやみに金品を惜しむこと。また、そういう人や、そのさま。
※goo辞書より
つまり、節約と倹約は同じ意味で、無駄に何かを買ったりしないことや、無駄に何かを使ったりしないこと。
ケチというのは、それが「無駄かどうか」ということを判断せずに、とにかく持っているものを出し惜しみするという意味の言葉です。
さすがに「ケチになりたい」という人はいないと思うので、ここからは特に「お金を無駄に使わない」という意味での節約に的をしぼって話を進めていくことにします。
その節約に意味はある?
それが経済的に意味のある「節約」になるのか?、それともただ単にお金をケチるだけで、結果的には損をすることになるのか?
これを見極めるポイントは、大きく分けて2つあります。
その1つ目は、総合的なコストを考えること。
そして2つ目は、機会損失を計算に入れることです。
総合的なコストを考えること
経済的に意味のある節約をするには、目先のお金の金額だけを計算するのではなく、その節約に関係する色々なものにかかる手間や費用なども考える必要があります。
例えば、何かを普通の値段より安く買えたりしても、交通費などで余計なお金がかかっていたら、必ずしも得になるとは限りません。
トータルではほぼ意味がなかったり、本人が節約だと思いこんでいても、実際には損をしているような場合もあるでしょう。
機会損失を計算に入れること
多くの人が見落としがちなのが、この「機会損失」というコストです。
機会損失を別の言葉に置き換えるなら、
「それをすることによって、別のことをする機会を失う」
ということです。
例えば、人と会う約束をしていて、さんざん待たされた挙げ句、結局その人が来なかった、という状況を想像してみて下さい。
もし待ち合わせをしていなければ、その時間を仕事に使ってお金を稼いだり、勉強をして知識を身に着けたり、遊ぶことでストレスを発散できていたかも知れません。
そういう機会を失うことが「機会損失」です。
機会損失というのは、直接的に銀行口座や財布の中のお金が減るわけじゃないので、本人が損失だということを気づきにくいという特徴があります。
意味のない節約の例
それでは次に、本人は節約だと思っているにも関わらず、実際にはお金を失うことになりがちな「意味のない節約」つまりただのケチになってしまっている例を紹介していきましょう。
とにかく安売りにこだわる「節約」
食料品や日用品などを買う時に、値段が安いからといってわざわざ遠くのお店まで足を伸ばしたり、「野菜はA店が安いけど、お惣菜ならB店」という感じで、複数のお店を周る人がいます。
本人は一生懸命節約しているような感じがするかも知れませんが、そのためにかかる労力や時間を考えると、節約というよりも単なるケチになってしまっている事が多いです。
例えば、買い物をするお店を増やして、そのために1時間余計にかかったとすると、交通費とその1時間分の「時給」くらいは稼がないと、実質的には損をしていることになります。
車などで移動していれば、当然ガソリン代がかかることになりますし、仮に歩いて移動していたとしても、その時間はお金に換算して考えなくてはいけません。
もしも買い物にかかる時間が1時間増えたとしたら、最低でも1000円以上は安い買い物になっていないと、経済的に得をしているとは言えないでしょう。
こういうことを書くと、
「働いているわけじゃないんだから、少しでも得になるだけいいじゃん。」
という事を考える人もいると思いますが、実はその考え方も危険なんです。
このことについては少し長い説明が必要なので、次の項目でまとめて書きたいと思います。
限定品のために出かける「節約」
これは、「卵が1パック10円(お一人様1点限り)」とか、「牛乳が1本30円(一家族あたり2本まで)」というような限定品を求めて、わざわざ買い物に出かけるという行動です。
確かに「客寄せ」のために売っているものは赤字覚悟の値段になっているので、買えればかなりのお得感があります。
というより、限定価格を知っていると、買えないことが損だと思えたり、普通の値段で買うことが馬鹿らしく感じることもあるかもしれません。
しかし、そういう物を買いにわざわざ出かけたところで、金額にすればせいぜい1個数十円程度の得にしかなりません。
家族を連れて何人かで行ってみたところで、せいぜい数百円くらいのものです。
もともと買い物に出かけた「ついで」ならともかく、そのために時間を割いてまで限定品を買おうとするのは、大抵の場合意味のない節約になってしまいます。
最安値にこだわって検索しまくる「節約」
インターネットで買い物をする時に、とにかく安値にこだわって、色々なサイトを長時間検索しまくる人がいます。
送料を計算したり、割引のためにせっせとレビューを書いてみたりして、限界まで安く商品を買おうとするわけです。
中には、「他に安いところを見つけたから」と、わざわざ最初の注文をキャンセルしてまで、別の安いお店で注文し直す人もいるようです。
確かに、商品やサービスの内容が同じなら、値段が安いに越したことはないでしょう。
自分が買った値段よりも安い値段で売られているサイトを見つけたりすると、損した気持ちになるのもよく分かります。
それでも、労力と金額のバランスに関しては、よく考えるべきです。
数十万円もする高い商品を購入する場合や、ホテル代や航空券を予約する時など、金額差が大きくなりやすいものなら、ある程度の比較は必要でしょう。
しかし、数百円の価格差のために何十分も検索をし続けたりすれば、それこそ低賃金で働いているのと同じことになってしまいます。
安売りの長い列に並ぶ「節約」
「明日からガソリンが値上がりする」というニュースを聞くと、前日のガソリンスタンドに、給油のための長蛇の列ができたりする事があります。
できるだけ安いコストで車を使いたい気持ちはよくわかりますが、これはお金を失う意味のない節約の典型です。
仮に1リットルあたりのガソリンの値段が5円違ったとしても、50リッターで250円くらいの差にしかなりません。
そんな事のために時間を無駄にしているような人は、いつまで経っても「貧乏暇なし」のままでしょう。
値段の安い飲食店や、半額イベントの居酒屋に長時間並ぶ場合も、その節約のコスパを十分に考えるべきだと思います。
どうしてもそのお店で食事がしたいとか、誰かと一緒に並ぶこと自体を楽しめるのなら「時間の使い方」としてはアリですが、それを節約だと考えるのは間違いだということです。
「少しでも得になるなら」という考え方は危険
「時間あたりの節約効果が少ない」という話をすると、「働いた場合と比較するのはおかしい」とか「たとえ少しのお金でも、得になるだけいい」と考える人もいるでしょう。
確かに、1時間に300円だろうと500円だろうと、場合によっては100円だろうと「プラスになるだけマシ」という考え方もできなくはないと思います。
ただし、そういうやり方は経済的に得をするための「節約」ではなく、あくまでも「一種の娯楽」だと考えるべきです。
効率を考えずにお金を減らそうとした結果として、得られるお金が1時間に500円とか1000円くらいだった場合、それは法律上の最低賃金かそれに近い条件で働いているようなものです。
私生活の一部と「働いた場合の賃金」と比較する事には違和感があるかも知れませんが、お金のために節約をするのなら「時間あたりに得られる金額」として、同じレベルで考えなくてはいけません。
なぜなら、そう考えないと、さらに大きなお金を手に入れるチャンスはどんどん小さくなっていくからです。
この話は、学歴と収入について考えてみると分かりやすいと思います。
もしも、経済的に得をするための方法として、「とりあえず金銭的にプラスになればいい」のなら、中学校を卒業してすぐに働き始めるのがベストだということになるでしょう。
高校や大学に通っている7年の間は(アルバイトなどを別にすれば)基本的に無収入だからです。
しかし現実には、一生のうちに稼げるお金は大卒者の方が圧倒的に多いです。
独立行政法人の統計によると、平均的な年収は圧倒的に大卒者の方が高く、ざっくりと生涯賃金を計算すると、大卒者の方が一億円くらい多くなります。
※参考:独立行政法人 労働政策研究・研究機構の調査資料(PDFファイル)
つまり、その場で得られるお金のために時間を犠牲にすると、将来的に得られるお金は安くなるということです。
大卒者は中卒者や高卒者に比べてば、働く年数は短くなります。
その代わりに、働き始めるまでの間の時間を自分に投資して「学歴を得る」ことで、将来の高収入を実現していることになるわけです。
たとえその場ではお金を得られなくても、将来に役立つための知識や技術、資格などが得られるとしたら、それは「未来のための投資」として意味があると言えます。
しかし、目先の利益のためだけに時間を浪費して、その結果として得られるお金が最低賃金以下というレベルでは、そのわずかなお金のために自分の未来を「切り売り」することになってしまいます。
「時間を買う」という発想
それとは逆に、お金持ちになるような人は、余計にお金を支払ってでも自分の時間を確保して、それを有効活用しようとします。
例えば、家や車のメンテナンス、料理や家事などを、他人にお金を支払ってやってもらったりするわけです。
繰り返しになりますが、そういうことを自分でやるのが好きで、楽しんで出来るようなら、それを「娯楽」としてやる意味はあるでしょう。
でも、金銭的に裕福になりたいのなら、まずはできるだけ時間を節約して、その時間を将来のための勉強や、自分の仕事のために使ったほうが合理的です。
能力さえあれば、収入を何倍にも増やすことも可能ですが、時間についてはどんなにうまく使っても1日に24時間以上にはなりません。
経済的に得をするための節約をしたいのなら、それを頭に入れた上で行動していく必要があると思います。
今回のまとめ
最後に、今回のまとめです。
ポイント
- 「節約」の意味は「倹約」と同じで「無駄に使わないこと」
- 「ケチ」は意味を考えず、とにかく支出を減らそうとすること
- 総合的なコストや機会損失を考慮しないと、節約はケチになりがち
- 「少しでも得になるなら」という考えは「時間の切り売り」につながる
- お金持ちはお金を払ってでも、自分の時間を増やそうとする