・劣等感を克服する方法を知りたい
こんな風に嘆いている人に対して、伝えたいことを書きます。
何を隠そう、昔の僕は本当に劣等感の塊でした。
というより僕の場合は、単に自分でそう感じていたというだけでなく、客観的に見ても人より劣っている部分が多かったので、問題はさらに厄介でした。
例えば、勉強に関しては常に下位10%くらいの範囲に入っていましたし、スポーツの方はさらにダメで、クラス内でチーム分けをしようとすると、必ず最後の1~2人になるまで「売れ残る」というようなタイプです。
完全に人生ハードモードですよね(苦笑)。
だから、芸能人とかアーティストのように、多くの人に愛されている人が亡くなったりするたびに、「こんなに世の中から必要とされている人が死んで、なんで自分なんかが生きてるんだろう?」と考えたりしたものです。
今でもその劣等感が消えたわけではありませんが、一方でその劣等感をバネにすることで、色々なことを意欲的に頑張れるようになってきました。
なのでこのページには、僕自信が葛藤の中で行き着いた結論や心理学に基づく知識などを、できるだけ分かりやすい形でまとめておきたいと思います。
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劣等感と劣等コンプレックス
最初に、僕たちがよく使う「劣等感」や「コンプレックス」という言葉の意味について、少しだけ掘り下げてみましょう。
回り道に感じるかも知れませんが、僕たちの中に存在する感情の正体を正しく理解しておかないと「劣等感の塊」という状態から抜け出すのは難しいからです。
今はまだピンと来ないかも知れませんが、この項目の終わりまで読んでもらえれば、その意味を分かってもらえるはずです。
自分が人よりも劣っているという感じ。
Google検索結果(SERP)より
精神分析用語。情緒的に強く色づけされた表象が複合した心理。抑圧されながら無意識のうちに存在し、現実の行動に影響力をもつ。
日本では特に、インフェリオリティーコンプレックス(劣等感)の意味で使われる。
goo国語辞典より
ここまでは、僕たちの考えている言葉のイメージとほぼ一致していると思います。
ところが、最近注目されている「アドラー心理学」の中には、劣等感とコンプレックスという2つの言葉について、とても興味深い定義があります。
参考:アドラー心理学(Wikipediaより)
- 劣等感・・・単に「劣っている」と自覚すること
- 劣等コンプレックス・・・劣等感を解消すことを諦め、心が歪むこと
この考え方は、劣等感の問題を解決するための重要なヒントになるものです。
自分を劣等感の塊だと思うような人からしてみれば、劣等感なんていうものはまさに「無用の長物」で、消えてしまえばいいと感じるでしょう。
しかし、この区分で言うと、劣等感というのは「事実を認識している」に過ぎません。
そして、僕が実際に接してきた限りでは、いわゆる「成功者」と呼ばれている人たちも、僕たちと同じ様に「他人よりも自分のほうが劣っている」という感覚は持っているんです。
例えば、億単位の年収を稼ぐwebマーケッターの知り合いは「昔から勉強が大の苦手で、分数の計算あたりから怪しいんですよ。」なんて言っていました。
僕がまだ会社員だった頃、ビジネスの基礎を教えてくれた起業家の先輩は、「頭が大きい」ということが子供の頃からのコンプレックスで、大人になるまでずっと悩み続けていたそうです。
でも、彼らはいつも前向きでポジティブで、目標を持って頑張ってるし、周りからも尊敬されている人たちです。
つまりアドラー心理学的な意味で考えれば、劣等感は持っていてもいいということになります。
ただし、劣等コンプレックスからは抜け出さなくてはいけません。
言い換えれば、一般的な言い方で言うところの「劣等感を克服する」というのは、「人より劣っている」という感覚はあってもいいから、劣等コンプレックスから抜け出して、前向きに頑張れるようになる」という意味だと考えることができます。
劣等コンプレックスを克服するには?
自分自身を「劣等感の塊」だという人は、単に劣等感を持っているだけでなく、劣等コンプレックスを持っている場合が多いです。
そして劣等コンプレックスというのは、以下のような行動につながります。
- 他人の成功を妬んだり、不幸を喜んだりする
- イジケたり、すねたりして行動しなくなる
- 自分が周りよりも優れている事を見つけて自慢する
また、より一層症状がひどくなると、自分の存在を周りにアピールするために他人を傷つけたりすることもあります。
これはネットやSNSに登場する「荒らし」や、一部の犯罪者などに見られる行動パターンですね。
それでは、劣等コンプレックスから抜け出すためにはどうすればいいんでしょうか?
物事を肯定的に考える「ポジティブシンキング」や「ありのままの自分を認める」という事で問題を解決しようとする人もいますが、実際には役に立たないことがほとんどです。
そもそも人間の脳は、他人と自分の関係を元に物事を判断する性質を持っているので「考え方を変えよう」なんて思ったところで、それは一時しのぎにしかなりません。
参考:妬みや他人の不幸を喜ぶ感情に関する脳内のメカニズムが明らかに
お金に困っているような人は「世の中には、食べ物すら満足に買えない人もいる。自分は恵まれているんだ。」なんて考えてみたところで、すぐにまた周りの人達と自分の状態を比較して「貧乏な自分」を意識してしまうことになるのと同じです。
さっき引用したアドラー心理学では「承認欲求」つまり「他人から評価されたい」という気持ちを捨てる(他人と自分を分離して考える)という事が一つのテーマになっていますが、これを完全に実現するのは「悟りを開く」というレベルの精神力が必要になるはずです。
なので、究極的にはそれを目指すとしても、今はもう少し現実的な方法を考えていきましょう。
「変わりたい!自分が嫌になった人が生まれ変わるための方法」で引用した大前研一さんの言葉にあるように、「決意を新たにする」ことにはほぼ意味がありません。
僕の経験上、最も効果があるのは、劣等感から生まれるマイナスの部分はとりあえず置いといて、ポジティブな部分を伸ばすための行動をとることです。
劣等感の塊から脱出する行動とは?
「この世の中に完璧な人なんていない。」
「だから劣等感を言い訳にしていないで、バネにして頑張ればいい。」
こういう事を言う人はたくさんいますし、考え方として正しいのかもしれませんが、残念ながらそんな「当たり前のお説教」が僕たちの心に響くことは少ないと思います。
本人がどう感じているかはともかくとして、少なくとも劣等感で凝り固まっている人から見れば、容姿にも才能にも恵まれているような「完璧」に近い人は世の中に存在しますし、頑張ったところでその差が埋まるとは感じられないでしょう。
そもそも、僕たちが持っている根強い劣等感は、今日や昨日に始まったものではなく、長い年月をかけて潜在意識のレベルで染み付いているものです。
たくさんのつらい経験を通して変わってしまった心の状態を、簡単に治す方法なんて、まず存在しないと思います。
だからこの際、劣等コンプレックスのことに関しては一旦「よそに置いといて」別のアプローチを考えましょう。
ここで僕が提案したいのは、小さな成功体験になり得るような行動を積み重ねることです。
劣等感の塊のような状態になっている人は、どんなにポジティブに物事を捉えようとしても、すぐにまた自分を責めてしまいがちです。
自分に対して疑い深くなっているので、いくら「自分はできる」と信じようとしたところで、実績がなければ信じられないんです。
だから、考え方はさておき、行動による実績を作ることに集中するのが、最も現実的で効果的な方法になると思います。
一つ前の項目にも書きましたが、強い劣等感を持っている人に限らず、比較的才能や実績に恵まれている「自信家」タイプの人でも、劣等コンプレックスがゼロということはほとんどありません。
そういう人たちも、飛び抜けた実績を出す人の事を羨ましいと思ったり、自分の理想と現実の間のギャップを腹立たしく思ったりすることは当然あって、少しずつ実績を積み上げることで劣等コンプレックスと戦っています。
堀江貴文氏の著書「多動力」をヒットさせたカリスマ編集者の箕輪康介氏も「嫉妬との向き合い方」という話の中で、次のように語っていました。
※引用した部分は6:30頃
人間は誰でも劣等感を持っていて、自信につながるような実績があればあるほど、劣等コンプレックスは小さくなるということだと思います。
劣等コンプレックスのブレーキを外す
劣等コンプレックスが自動車にとってのブレーキのようなものだとすると、劣等感をバネにする反発力はアクセルのような存在です。
そして、劣等感の塊になっている状態では、ブレーキのほうが強く作動することで、アクセルの力はほぼ抑え込まれてしまっています。
なので、自分自身を認められるようになると、劣等コンプレックスのブレーキが緩むことで、一気にアクセルの力が開放されるという反応が起こるわけです。
僕は、多くの成功者が劣等感をバネに成功できたと語るのは、このしくみによるものだと考えています。
例えば、世界チャンピオンにもなったプロボクサーの内藤選手は、子供の頃にひどいイジメを受けていました。
その状況は、精神的に追い詰められて胃潰瘍になるほどのもので、ボクシングを始めたきっかけも、そのイジメから身を護るためだったそうです。
天才数学者としてたくさんの著書を出している秋山仁さんは、学生としてはとてもデキが悪く
「他の科目よりも、数学ができない人は本当にバカだと思われのが悔しかった」
というような話をしていたのを聞いたことがあります。
秋山さんは「努力は報われず正義は滅びる」なんてタイトルの本を出していますが、その中で語られているのは、「それでも歯を食いしばって努力する」という話です。
今では売れっ子タレントになったイモトアヤコさんも、
「なぜ、なぜそんなに過酷なロケの連続に耐えられるのか?」
という質問に対して、
「私には本当に何もないから、頑張ることしかできないんです。」
と答えていましたが、その「頑張れる」ということが素晴らしい事だと思います。
コンプレックスの塊だったような人は、劣等感全体のパワーが大きいので、一度反発力が開放されると、とてつもない力を発揮できる可能性があります。
もし君の劣等感が、過去のつらい記憶から来ているとしたら、こんな風に考えてみてください。
勉強でも仕事でも何でも、結果を出すための努力というのは一定の苦しみを伴うと思います。
面倒くさかったり、疲れたり、時には失敗して落ち込んだりすることもあるでしょう。
でも、そんな苦しみなんて、人に相手にされなかったり、バカにされたり「自分なんてこの世に存在する意味が無いんじゃないか」と思う苦しみに比べたら、全然大したことはないと思いませんか?
そう考えることができれば、たとえ今は劣等コンプレックスが大きかったとしても、変わるための第一歩を踏み出すことは決して難しくないはずです。
なお、「そうは言っても、具体的に何をすればいいかわからないんです。」という人は、ぜひコメント欄に質問を書き込んでみてください。
また、当サイト内の以下の記事も参考になると思います。
「何をしたらいいか分からない」から脱出する3つのワーク」
「将来の夢がない人がないための「展開型」思考法」
今回のまとめ
ポイント
- 劣等感よりも、劣等コンプレックスを持つことが問題
- 劣等コンプレックスを克服するには行動により実績を作ること
- 行動することによって、劣等感は成長のための反発力になる