・何かある度に、自分のことを責めてしまいます
こんな風に、自分のことを責めてしまいがちな人に伝えたいことを書きます。
僕が自己批判の沼にはまり込んでいたのは、もうはるか昔になってしまった10代の頃でした。
毎日、心の中で自分自身を「お前なんか生きてる価値がない」「誰にも必要とされてない」と否定し続けたので、しまいには十二指腸潰瘍になってしまい、昼食の後は必ずみぞおちを押さえてうずくまってたのを思い出します。
まあ、人生の中でそういう経験をする人は少なくないのかも知れませんが、自己批判する癖をそのままにしておくと、本人が考えているよりもずっと深刻な事態になることも多いので注意が必要です。
そこでこのページでは、自己批判を生み出す根本的な原因と、自己批判のスパイラルから抜け出すための方法について解説していきます。
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目次
なぜ人は自己批判に走ってしまうのか
それでは最初に、なぜ僕たちが自己批判をしてしまうのか?ということについて考えていきましょう。
理想と現実のギャップ
自己啓発本やカウンセリング系のwebサイトでは、
「完全主義を捨てることが大事」
という表現を見かけます。
つまり、少しのミスや失敗すら許せないので、結果として自分を責める事が多くなってしまうというわけです。
確かにこれは正しいと思いますが、僕の経験からすると、全ての人がこれに当てはまるわけではありません。
僕自身、子供の頃から完璧主義でも真面目でもありませんでしたし、一見ルーズな生き方をしている人たちの中にも、自己批判が癖になっている人はたくさんいます。
そういう人たちを含めて、全ての例に当てはまる要素は一つだけ。
それは、理想の自分と現実の自分のギャップです。
いわゆる完璧主義やマジメ人間に該当しない人でも、人はそれぞれ「自分はこうあるべき」という理想像のようなものを持っています。
仮にそれがぼんやりとしたイメージだったとしても「今のままの自分には我慢できない」という気持ちは生まれてくるので、それが自分を攻撃する原因になるというわけです。
東京女子大の論文によると、特に日本人の場合は自分に対しての評価が厳しく、その反対に他人への評価は高いという傾向にあるそうです。
参考:日本人における自他の認識(東京女子大の論文情報(英語))
また、自己批判という心の動きは、社会で共有されている「標準的な優秀さの基準を見つけ、それを正そうとする」という心の動きの中で生まれることだということも書かれています。
現実からの逃避
自己批判が癖になっている人の中には、自分自信に対しての低評価を、成長のためではなく「自分の殻に閉じこもるための言い訳」に使っている人もいます。
これは、過去に嫌な経験や失敗をしたことによって、自分を低く評価するようにったのが、最初のきっかけです。
その後、自己批判をしていることを「つらい」と思いながらも、無意識のうちに逃げ道として利用するようになったわけです。
最初から自分を低く評価していれば、物事が期待通りにいかなくてもガッカリすることはないからです。
つまり、「ダメな自分だから仕方がない」と考えることで、それ以上色々なことを考える苦痛から逃げているということです。
他人からの不当な評価
これは自己批判している本人ではなく、周りの人に原因があるケースです。
残念ながら、世の中には他人を低く評価することで自分を安心させたり、人を批判することを楽しむような迷惑な人たちもいます。
なので、他人からの評価をそのまま「自分の価値」だと感じてしまいやすい人は、自分でも自分を批判してしまうわけです。
これは少し極端な話に聞こえるかも知れませんが、いわゆるサイコパス(良心や愛情が理解できない性質を持つ人)と関わることで、自己批判の無限ループにハマってしまう人もいます。
「人間同士なんだから、ちゃんと話せば分かり合えるはずだ。」
「この人との関係がうまく行かないのは、自分の努力不足だ。」
なんて考えて自分を責めているうちに、自己評価がどんどん低くなってしまうんです。
なぜ自己批判してはいけないのか?
自己批判というのは、いくら本人が「やめよう」と思っても、すぐに無くなるようなものじゃありません。
タバコやアルコールもそうですが、本人が決心しただけで止められるものなら誰も苦労しないし、そもそもこのページが存在する意味がありません(笑)。
しかし、簡単には改善できないことだったとしても、自己批判を続けていると「どんな悪影響があるのか?」ということを、まず理屈として理解しておくことは非常に大事です。
これは、禁煙しようとするのなら、単に「体に悪い」というだけでなく、「肺ガンになるリスクが10倍以上になる」ということを知っておいたほうがいいのと同じです。
自己批判がNGな理由1:自己評価がさらに低下する
「「苦労は買ってでもしろ」は間違い-逆境は人を弱くする【脳科学】」の記事にも書きましたが、自己批判によって脳がストレスを感じると、その人の性格はさらにマイナス思考に偏っていきます。
つまり、自己批判をすればするほど、さらに自己批判しやすくなってしまうということです。
親から「お前はできない子だ」と言われて育った子どもが、自分の能力を発揮できなくなっていくのと同じように、自分に批判され続けた自分は、本当ならできるはずの事までできなくなっていきます。
自己批判がNGな理由2:問題解決能力が低下する
何でも「ダメな自分が悪い」という考え方をしていると、それ以上の事を考える必要がありません。
だから自己批判を繰り返していると、何か問題が起こったり失敗をしたときに、それを次の行動に活かすこともできなくなります。
そして、根本的な問題がいつまでも残ることで、また新しい自己批判のチャンス(?)がやってくるというわけです(苦笑)。
自己批判がNGな理由3:他人からの評価が低下する
当然ですが、いつも自己批判ばかりしているような性格は、周りの人にも良い印象を与えません。
これによって、他人からの評価は本来よりも低くなり、人間関係の問題も起こりやすくなってしまします。
自己批判を減らすための方法
ここまでに書いてきた通り、自己批判を繰り返す人というのは、その考え方が癖になっている事がほとんどです。
そして、何度も繰り返して習慣化してしまっている考え方の癖は、いくら「やめよう」と強く決心しても、すぐに無くなることは無いでしょう。
なので、ここから先で紹介する方法は、繰り返し行うことで、少しずつ自己批判体質を改善するものだと考えて下さい。
実際にやってみて効果がありそうだと思ったら、それを何度もやることで、習慣化させていくことが大切です。
ネガティブワードを使わないようにする
人間は何かを考える時、まずは脳の中でイメージを作り、それを言葉に変えるという処理をしています。
だから「考えていることをうまく言葉にできない」という事はあっても、「言葉に出していることを考えられない」ということはまずありません。
なので、自分で自分を批判してしまいそうな気持ちになったら、まずは「私は馬鹿だ」とか「俺は無能だ」というような「言葉」に変換することをやめてみてください。
些細なことのようですが、はっきりと言葉で批判されたときの精神的ダメージというのはとても大きいので、それを減らすだけでも被害はかなり小さくなります。
批判の代わりに反省する
自分のせいで何か失敗をしてしまったり、やるべきことができなかった時には、自己批判よりも「次はどうすべきか」という事を考えるようにしましょう。
これは他人から言われるときのことを考えれば分かると思いますが、
「お前のせいでこんな事になったんだぞ。」
と言われるよりも、
「こんな事にならないように、次は○○してみよう。」
という言葉のほうが、ずっと前向きに捉えることができるはずです。
褒め言葉を増やす
自己批判をしてしまったと思ったら、その後には多少「こじつけ」でもいいので、褒め言葉を追加するようにしましょう。
例えば、
「ほら、またミスした。だから私はダメなんだ。」
と思ったら、
「でも、少なくともちゃんと行動したんだから、そこは偉いよな。」
という言葉を続けるわけです。
普段の仕事や日常生活の中で、なかなか自分を褒めるポイントが見つからないという場合は「頑張れない人が変わるための最も確実な方法【実証済み】」の中の「タイニーベイビーステップ」のワークを応用して、何か自分のためになる小さな事に挑戦してみて下さい。
自分を褒めるネタが無いなら、それを作ってしまえばいいということです。
チェンジ行動を活用する
特に何も起こっていないにもかかわらず、過去のことを思い出して自己批判をしてしまう場合に有効なのが「チェンジ行動」を設定することです。
「チェンジ行動」というのは、「行動科学」という分野で使われる用語で、やめたい行動の「代わりになる行動」のことを言います。
つまり、自己批判をしてしまいそうになった時に、代わりに何を考えるかを事前に決めておくわけです。
例えば、「学生時代に一番楽しかった事を思い返す」でもいいですし「頭の中で好きな音楽を流す」でもいいでしょう。
現実には起こっていないような「芸能人とのデートを想像する」とか、「宝くじで当たったら何を買うか考える」みたいな妄想でもOKです。
人間の脳は、複数のことを同時に考えられるようにはできていないので、チェンジ行動を使うことで自己批判の思考をブロックすることができます。
自分を客観視する
自己批判をする人は、他人よりも厳しい目で自分を評価していることが多いです。
なので、自分のことを責めそうになってしまったら、
「もしこれが他人のことだったとしても、同じように批判するだろうか?」
ということを考えてみて下さい。
その答えが「YES」なら、次から同じことをしないように「反省」すればいいですし、「NO」ならそもそも批判の必要が無いということが理解できると思います。
それですぐに自己批判がゼロにならなかったとしても、「自己批判の一部は不当なものである」ということを理解できれば、心のダメージはかなり軽くなるでしょう。
環境を変える
自己批判の原因が他人からの不当な評価だと思ったら、その時は環境を変えることを検討してみるべきです。
そのために転職をしたり、引っ越しをすることは大変かもしれませんが、ずっと公平な評価を受けられないまま残りの人生を行きていくことに比べたら、ずっとマシなはずです。
色々な事情ですぐに環境を変えることが難しいという場合は、せめてそのための準備だけでも始めましょう。
僕の場合も、会社では全くと言っていいほど評価してもらえませんでしたが、独立のための準備をすることで「いつか辞められる」と思えるようになり、精神的にはかなり楽になりました。
味方・仲間を作る
少しでも気持ちをポジティブにするためには、君のことを評価してくれるような仲間と交流することも大切です。
例えば、会社や家庭の中だけの狭い世界で行き詰まりを感じているようなら、趣味の世界などで新しい人間関係を作ることで、心のバランスを取るようにするといいでしょう。
なお、僕はこのページの内容を読んでくれる人を勝手に「同志」だと思っていますので、コメント欄に何か書き込んでもらえたら、ポジティブな言葉を返して励ましたいと思います^^。
今回のまとめ
最後に、今回の話を簡単にまとめます。
ポイント
- 人が自己批判に走る理由
→ 現実の自分と理想の自分とのギャップ
→ 「自分がダメだから仕方ない」という現実逃避
→ 他人からの不当な評価 - 自己批判をやめるべき理由
→ 自己評価が下がり、さらに自己批判が増える
→ 現実逃避により、問題が解決できなくなる
→ 他人からの評価が低下する - 自己批判を減らすための方法
→ 自分を言葉で批判しない
→ 批判を反省に変える
→ 自分を褒めるようにする
→ 代わりに考えることを用意する
→ 他人に置き換えて考えてみる
→ 環境を変える
→ 味方や仲間を作る