・失敗怖がらないようになる方法を知りたい
いわゆる成功者や講演家のような人たちの話を聞いていると、
「失敗を恐れずに、どんどん行動しよう!」
「失敗こそ何かを学ぶ最大のチャンスだ!」
的なメッセージに出会うことはメチャクチャ多いと思います。
言っていることは確かに正しいです。
よく分かります。
でも・・・。
みんな多分、そんなこと頭では分かってるんですよね。
「できてないってことは、本当に分かっていないということだ。」
と言われたら「スイマセン」と謝るしかありませんが、理屈としては分かっていてもできないからこそ、多くの人が悩んでるんだと思います。
だから、
「それができたら苦労しねーよ。」
で話が終わってしまうわけです。
(実は僕のところにも、時々そういうメッセージが届きます)
そんなわけで、今回はこの「失敗を気にしないで行動する」という話の理想と現実を踏まえた上で、何とかして活路を切り開くための記事を書いていきたいと思います。
この記事についてご質問・ご意見がある場合は、記事の下部にあるコメント欄からご連絡ください。原則として24時間以内に回答を掲載させていただきます。
目次
誰でも失敗は気にするし、できる範囲の事しかやっていない
多くの人たちが語っている成功哲学を否定するつもりは全く無いんですが、僕は失敗を完全に「気にしない」とか「恐れない」なんて、まず不可能だと思っています。
というより「失敗」という言葉の意味について考えれば、「そう言わざるを得ない」と言ったほうがいいかも知れません。
辞書を見ると「失敗」の意味は以下のようになっています。
※Goo国語辞典より
ここで注目すべきなのが「良い結果」の意味です。
「良い」とか「悪い」というのは、事実に対して人間が後から判断するものなので、視点によって変化することがあります。
例えば、一般的に「晴天」は「良い天気」ですよね。
でも、天気予報をする人が「明日は雨です」と言ったのに、実際には晴天だったとしたら、その予報士にとっては「失敗」になります。
自分にとって都合が悪いからこそ「失敗」になるわけですから「失敗」呼んでいる時点で、それは多少なりとも「気にしている」という事になるわけです(笑)。
だから、どんなに心が強い人にとっても、失敗は嫌なことだし、100%「気にしない」ということはできません。
ただし、失敗に対しての抵抗力は人によって大きく違います。
自分に自信がなくて、行動力が未熟な人は、ちょっとした失敗だけでも「もうダメだ!」というレベルのダメージを受けてしまいます。
逆に、成功体験を持っていて行動力がある人は、他人から見たら非常に苦しい状況であっても、なぜか涼しい顔をして切り抜けて行くわけです。
それなのに、行動力のある成功者のような人が、
「失敗なんて気にするな!どんどん行動しろ!」
というのは、大人が全く自転車に乗ったこともない小さな子どもに、
「転ぶのなんて気にするな!どんどん練習しろ!」
と言っているようなものです。
・・・というと、「それって正しいんじゃない?」と思うかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。
確かに「転んで覚えろ」的なスパルタ方式が有効なやり方になる場合もありますが、子どもによってはひどい転び方をしたことが原因で、自転車の練習がトラウマになってしまうこともあります。
また、練習中に大怪我をする可能性もゼロではないでしょう。
そういう事を避けるには、スパルタ方式以外の方法が必要なんです。
例えば、子どもに自転車の乗り方を教えるプロは、
「痛いのは当たり前だ。転んで覚えろ。」
なんて言いません。
どうすれば子どもに苦手意識を持たせずに、しかも安全に自転車に乗れるようになるかを知っていて、その方法に沿って指導をします。
具体的な方法としては、最初にペダルを取り外した特殊な自転車を用意して、それに乗ってバランスを取る練習をさせることから始めたりします。
自転車が倒れるのは重心のバランスが崩れるからですが、ペダルを取り外して両方の足をダランと下に下ろした状態だと、よほどのことがない限り左右のバランスが大きく崩れることはありません。
バランスが崩れるのは、片方の足を上げて、ペダルを漕ぐために力を入れたりする動作が原因だからです。
また、両足を常に地面の近くにスタンバイさせているわけですから、多少バランスを崩したとしても、自分の足で姿勢を立て直すことができます。
そうやって、十分にバランス感覚のトレーニングをやってから、はじめてペダルで漕ぐ練習をすれば、転倒のリスクは最小限にできるということです。
もちろん練習中に転ぶこともありますが、それはあくまでもアクシデントです。
最初から転んで痛い思いをすることを想定して練習するわけじゃありません。
そんな風にやり方を工夫すれば、余計な怪我や精神的な負担は軽減できます。
こういう事を言うと「そんなやり方は甘えだ!」というような事を言う人がいますが、そもそも「失敗を気にせず行動できる」という人たちだって、自分が耐えられないような大きな失敗は避けようとしているはずです。
例えば、賢い経営者なら、いくら「失敗を恐れるな」と言ってたって、全財産を一つの株に投資したり、一つの商品の売上だけに頼ったビジネスをしようとは考えないでしょう。
そして、万が一自分の耐えられる範囲より大きな失敗をすれば、後悔したり思い悩んだりするはずです。
アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズは、自分自身が膵臓がんであることが分かった時、手術を受けることを拒否して東洋医学で治そうとしましたが、その後に病気が進行していることが分かった時にはかなり後悔していたそうです。
参考:スティーブ・ジョブズ(Wikipediaより)
つまり、「耐えられない失敗」というのは誰にでもあって、全ての人が「失敗しても何とかなる」と思えるレベル行動することしかできないんです。
問題なのは「失敗が怖いから」と何もせずにいることです。
他人の平均値や成功者のレベルに合わせて、大きな失敗を受け入れなければならない理由なんてどこにもありません。
失敗への抵抗力は、経験によって上がっていく
一つ前の項目で、「失敗に対しての抵抗力」という表現しましたが、この抵抗力は失敗を乗り越えれば乗り越えるほど上がっていきます。
これは「失敗してもやる価値がある」ということが、理屈としてではなく感情のレベルで分かるようになってくるからです。
このしくみについて、もう少し詳しく説明しておきましょう。
失敗が「ハズレくじ」で、成功が「当たりクジ」だとすると、たくさんクジを引いていれば、一定の確率で当たりクジに出会うことになります。
脳はその時の「やった!」という興奮を学習するので、またその快感を味わうことを求めて、失敗という痛みをだんだん気にしなくなっていくわけです。
さらに、人間の脳は一度快感を味わうと、さらに大きな快感を得ようとするので、それを動機として乗り越えられる失敗のレベルも上がっていくことになります。
ただし、失敗のレベルがあまりに大きすぎると、それを「気にしないで進む」ということができず、そのまま挫折してしまうこともあります。
これは「「苦労は買ってでもしろ」は間違い-逆境は人を弱くする【脳科学】」にも書きましたが、人は逆境の中で強くなるのではなく、逆境を乗り越えて「逆境を乗り越えるに値する体験」をした時にしか強くなれないんです。
だから、失敗を気にしない人になりたいと思うのなら、まずは失敗しても気にならないようなことからやってみてください。
ネットビジネスをやってみたいなら、まずは有料の情報商材を購入したりしないで、無料ブログで「とりあえず何かを書く」事に挑戦してもいいでしょう。
やることはあくまでも「練習」ですから、仮に見てくれる人が少なかったとしても、大きな失敗にはならないはずです。
資格試験の勉強をするなら、とりあえずテキストを買って読むだけでも、何もしないよりはるかにマシです。
そして試験を受けて落ちるのが怖いと思ったら、まずは教材に付いている模試などで実力だめしをしてみましょう。
仮に合格点に達していなくても、本番の試験よりは失敗のダメージを軽減できると思います。
片思いしている異性をデートに誘うのが怖いなら、まずは笑顔で挨拶することを習慣するところから始めてもいいでしょう。
もしも全く話をしたことが無いのなら、そのあたりの適当な場所までの道を訪ねたりして、会話するチャンスを作るというのも一つの手です。
そして、次に会った時に「この間はありがとうございました。」と言えば、もう知り合いになったようなものです(笑)。
とにかくまずは、失敗しても大ダメージを負わない範囲で、前に進むということが大切なんです。
失敗のダメージを軽減する方法
とはいえ、失敗に対する抵抗力が鍛えられていない段階では、小さな失敗を大きな失敗のように感じてしまうこともあるでしょう。
なので、ここからは、失敗のダメージを最小限にする方法を2つほど紹介しておきたいと思います。
「マイナスの一般化」について知っておく
人の心理には「一般化」と言って、ひとつの出来事を他の出来事に結びつけようとする性質があります。
参考:認知の歪み(Wikipediaより)
だから小さな失敗をしただけで、過去の失敗経験までわざわざほじくり返して、「ほら、やっぱりダメだった。俺はいつもこうなんだ。」なんて思ってしまうわけです。
これを完全に無くすのは難しいかも知れませんが、一つの失敗をした時に過去の失敗までさかのぼって傷つきそうになったら、まずはそれが「一般化」という典型的な反応であることを思い出してください。
(この場合は悪い形で出来事を一般化しているので、ここでは「マイナスの一般化」と呼ぶことにします)
そして、何らかの行動をして、それが良い結果につながった時には、必ずどこかにその時に起こったことを記録しておきましょう。
人はちょっとした成功体験はすぐに忘れてしまいますが、マイナスの一般化をしてしまいそうになった時に成功の記録を見直すようにすれば「失敗ばかりじゃない」という事実に気付きやすくなります。
「プラスの一般化」を利用する
これは、ごく簡単に言うと「こんな失敗はよくあることだ」「大失敗している人に比べれば大したことはない」という風に、失敗に対して客観的な目を視点を持つということです。
(マイナスの反対なので、ここでは「プラスの一般化」と呼ぶことにします)
例えば、「中国版Amazon」と呼ばれているアリババ(Aribaba)の創始者であるジャック・マー氏は、努力家であったにも関わらず成績が悪く、就職活動も全くうまくいかなかったそうです。
30社以上に応募したのに、結果はことごとく不採用。最終的にはケンタッキー・フライド・チキンのアルバイトも落選となってしまいました。
ちなみに、そのアルバイトに応募した人の数は24人で、採用されたのは23人。
つまり、落とされたのはジャックマー氏のみだったそうです。
こんな風に、成功者や有名人の中にも、凄まじい失敗エピソードを持っている人はたくさんいます。
そういう多くの例と比較してみれば、自分の失敗なんて気にするほどのことじゃない。
そう考えるのが「プラスの一般化」ということです。
今回のまとめ
最後に、今回のまとめです。
ポイント
- 失敗を完全に「気にしない」でいられる人はいない
- 誰でも「許容できる失敗」の範囲でしか行動できない
- 大失敗をしない範囲で行動すれば、失敗への抵抗力が身につく
- 認識の「一般化」を活用することで、失敗のダメージを軽減できる