・会社を辞めたら、逃げる事になる気がする・・・
・今の仕事を辞めて、やりたい仕事を探したい
こんな風に考えたり、迷っている人に向けて役立ちそうな記事を書いていきたいと思います。
誰でも社会に出て働いていると、
「仕事やめたいなぁ・・・。」
と考えることはあると思います。
いや、中には今の会社が嫌でたまらなくて、毎日そう思いながら働いているという、昔の僕のような人もいるかも知れません(笑)。
ただ、会社を辞めるというのは大きな決断なわけで、辞めたいと思いながら「踏ん切りが付かない・・・」という人も多いんじゃないでしょうか?
というわけで今回は「こういう場合は逃げるが勝ち!」「こういう場合は逃げるな危険!」という判定基準のよなものを示していくことにします。
他のページにも何度か書きましたが、僕は労働法に関する仕事をしていたこともあり、法律に関しての話も盛り込んであるので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事についてご質問・ご意見がある場合は、記事の下部にあるコメント欄からご連絡ください。原則として24時間以内に回答を掲載させていただきます。
目次
逃げるが勝ち!こんな場合は会社を辞めるべき
さっさと会社から逃げるべきなのは、大きく分けて2つのケースです。
労働環境に大きな問題があるとき
もしも今の会社が、君の将来にとってマイナスにしかならないような職場環境だったり、心や体の健康を維持できないような危険な状態なら、今すぐにでも辞めたほうがいいでしょう。
見の危険を感じたら、まずは逃げる。
要するに自然災害と同じ考え方です。
次にどうすべきかは、安全が確保できてから考えても遅くありません。
ブラック企業体質の会社にいる場合
これは、会社がいわゆる「ブラック企業」的な体質である場合です。
具体的には、以下のようなものが条件になってくると思います。
- サービス残業が多い
- 労働時間が長すぎる
- 有給休暇が取れない
- 休日や夜間に呼び出される
- パワハラやセクハラ、イジメがある
日本には、一つの会社に長く勤めることが「美徳」という考え方をする人が多いので、会社を辞めることを「情けない」「忍耐が足りない」と考える人が多いですが、それも場合によりけりです。
そもそも「我慢」に意味があるのは、それがプラスのことにつながる場合だけで、法律もロクに守らないような会社の中でストレスを抱えていても、何の得にもなりません。
つらい環境で頑張ることで「辛抱強くなる」と考える人もいるかもしれませんが、実はこれは逆効果であることが科学的に証明されています。
脳はストレスを感じ続けると、ホルモンなどの影響によってさらにストレスに弱くなるので、我慢していると精神的には弱くなっていくんです。
参照:ストレスと脳(東邦大学のwebサイトより)
忍耐力がつくのは、それに耐えて何かを得た時だけ。
例えば「つらいトレーニングに耐えてスポーツで結果を残した」というような「成功体験」につながった場合だけです。
危険な環境で働かされている場合
これは、会社の安全対策が不十分で、明らかに危険だと思えるような環境で働かされている場合です。
以前に大手の派遣会社が、派遣スタッフを法律に違反する形で働かせていたことが、大きな社会問題になったことがありました。
その会社は、法律で許可されていない建設業の仕事に人材を派遣したり、派遣スタッフが怪我をした事実を(保険を使いたくないという理由で)隠そうとしていたんです。
参考:グッドウィル (人材派遣会社)(Wikipediaより)
そんな環境で働いていたら、下手をすれば命に関わるようなことにもなりかねません。
次の目標がはっきりしているとき
「逃げるが勝ち」にあてはまる第2の条件が、今の仕事の他にやりたいことが明確に決まっている場合です。
例えば事務職などで働いている人が、
「建築関係の仕事につきたい!」
と本気で思っているのなら、転職を考える価値は大いにアリでしょう。
また、興味のある業界・会社で働いていても、仕事の内容が単純作業ばかりで全くスキルアップできない、というような場合には転職したほうがいいと思います。
例えばですが、IT系の会社で仕事をしていたとしても、「アプリやwebサイトの動作確認」のような業務は単純作業であることが多いので、それだけをやらされている人は何のスキルも身に付きません。
僕の会社員時代の知り合いのSEの中にも、
「待遇が悪くなってもいいから、将来につながる仕事がしたい。」
と言って辞めていった人が少なからずいました。
仮に一時的に年収が下がったり、履歴書に書く転職の数が増えてしまったとしても、その会社にいることで時間を浪費してしまうようなら、転職をした方が時間を有効に使えると思います。
逃げるな危険!こんな場合は会社を辞めない方がいい
その一方で、安易な気持ちで辞めるのは危険!というケースもあります。
本当なら環境を変えるべきでない時に、その時の気分で行動してしまうと、後で後悔するリスクが大きいので十分に気をつけましょう。
いつきで退職してしまったら、後になって「しまった!」と思っても、同じ会社に再就職するのは難しいと思います。
運良く同じ会社に勤めることができたとしても、全く同じポジションで同じ仕事をできる保証はないですからね。
やりがいがない、つまらないと感じているだけのとき
強い不満や大きなストレスは無いけれど、
「やりがいが感じられない。」
とか、
「自分がやりたいと思えることが他にあるんじゃないだろうか?」
という疑問が頭から離れないという人は多いでしょう。
実際に僕のところには、
「今の仕事がつまらないので、退職して他にやりたいことを探そうと思っているのですが、どう思いますか?」
という相談がけっこう頻繁に届きます。
ちょっと厳しいようですが、そんな理由で会社をやめても、大抵はろくな事になりません。
まず、本当に「やりたいこと」というのは、会社をやめたからといって簡単に見つかるようなものじゃありません。
なんとなく仕事を辞めた人が求人サイトや就職情報誌を眺めてみたところで、「これだ!」と思うものに出会える確率はほぼゼロでしょう。
やりがいのある仕事というのは、その多くが何らかの仕事で実績を残した人に与えられるのもので、求人情報に載っている案件の多くは「お金のためにやる仕事」です。
そして残念ながら、「考える時間」もタダではありません。
「次はやりたい仕事に・・・」とあれこれ迷っているうちに、やがて生活費が底をつき始め、結局は生活のためだけに仕事を探すという結果になりがちです。
僕の知っている限りでは、
「自分のやりたい仕事じゃないと思った。」
と言って転職する人は、転職先でも「やりがいを感じない」「仕事の内容に興味が持てない」と言う事が多いです。
だから、もし「今の仕事がつまらない」という理由で転職を考えているのなら、とりあえずは今の仕事を続けながら次のステップを考えましょう。
何か興味のある分野が見つかったら、その分野について働きながら勉強をすることだってできますし、在職しながらだって転職活動をすることは可能です。
逆に言えば、必要なことすらちゃんと継続できない人に「やりがいのある仕事」なんて見つけられないと思います。
「辞めさせてくれない会社」から逃げる方法
労働相談の中には、
「辞めたくても、会社が辞めさせてくれない。」
という事例も時々ありました。
また、退職すること自体は認めても、
- 退職願を出してから3ヶ月は辞められない
- 退職による損失を従業員に請求する
というような、とんでもないことを言い出す会社もあるようです。
そこで最後に、そんな会社から逃げ出す時に知っておくべき情報をまとめておきます。
従業員には自由に「会社を辞める」権利がある
実を言うと、会社にはもともと「辞めます」という従業員に「ダメです」という権利がありません。
これは日本国憲法で「職業選択の自由」が保障されているためで、その理由が「何となくつまらない」だろうと「通勤が面倒くさい」だろうと、従業員は自由に仕事を辞めることができます。
参照:日本国憲法
「辞めます」と言ってから実際に会社を辞めるまでの期間は、民法の627条1項で2周間と決められています。
参照:民法(e-Govより)
ただし、就業規則などに「1ヶ月前に告知すること」というような記載がある場合は、一定の範囲でそれが認められることもあるので、事前に確認しておきましょう。
なお、文書で会社に辞めることを伝える場合は、絶対に「退職願」ではなくて「退職届」にしてください。
「退職願」だとあくまでも「お願い」と判断されて、会社がそれを認めるまで有効にならないと判断される場合があります。
ただし、仕事をする上での条件(給料の金額や労働時間、仕事の内容や休日の決まりなど)が契約内容と違っている場合は、即日(その日)にいきなり退職することもできます。
参照:労働基準法第15条(e-Govより)
また、従業員が会社を辞めたことによって「会社に損害が出た」と言って従業員に賠償させたり、支払うはずだった給料を減らすということもできません。
参照:労働基準法17条(e-Govより)
参照:労働基準法24条(e-Govより)
これは法律上の決まりなので、仮に会社が従業員に「退職する場合には、会社に与えた損害を弁償します」というような誓約書を書かせていても全て無効です。
参照:労働基準法16条(e-Govより)
自分で対処できなければ代理人に依頼できる
いくら「会社を辞める権利がある」とは言っても、パワハラやセクハラ、いじめなどを経験している場合は、自分自身で会社に「辞めます」と言いにくい場合もあるでしょう。
そういう場合は辞める本人ではなく、代理人が会社に退職の意思を伝えることもできるので、例えば家族などが連絡しても大丈夫です。
ただし会社がそれを認めようとしなかったり、トラブルに発展しそうだと思った場合には、法律知識のある専門家(退職代行サービスなど)を利用したほうがいいかも知れません。
今回のまとめ
最後に、今回のまとめです。
ポイント
- こんな場合、会社からは「逃げるが勝ち」
→ 労働環境に大きな問題があるとき
→ 次の目標がはっきりしているとき - やりがいがないという理由だけで辞めるのは危険
- 従業員には自由に会社を辞める権利がある